【思ったこと】 140610(火)長谷川版「行動分析学入門」第8回(7)好子出現の随伴性による強化(33)そのほかの好子出現のスタイル(7)目標との整合性、目標達成度の点検、累積的成果の明示(3)
前回、長期的視点に立った大きな目標を達成するための行動は、次の4つの行動が付随すると円滑に遂行されるであろうと述べました。
- 目標達成の価値を高める行動/目標と整合性があることの確認
- 目標達成への度合いを確認する行動
- 累積的結果の確認・表示
- 周囲の人々に目標や遂行状況を公開。
じっさい、現実社会では、経験則に基づいて、これらが実践されています。いくつか例を挙げてみましょう。
まず、「健康維持のため、体脂肪率を30%から20%に下げる」と目標のため毎日1万歩のウォーキングをすると決意したとします。上記の1.〜4.は以下のように具体化されるでしょう。
- ウォーキングは有酸素運動であり脂肪の燃焼に有効であるという情報をたくさん仕入れる。こうすることは、種々の日常行動の選択において、ウォーキング行動を優先させるという確立操作になる。
- 日々、体脂肪率を測定し、わずかであっても減少効果が目に見えるようにする。
- 毎日1万歩以上ウォーキングしたことを表にして、累積でどのくらい歩いたのかを図示する。必要に応じて、「東海道五十三次」、「四国巡礼」、「日本一周」などの地図を掲示し、もし徒歩旅行をしていれば、毎日自分が歩いた累積距離でどこまで到達できたのかを表示するとよい。
- 日々の行動や体脂肪率減少の成果を、家の中に掲示したり、ブログで公開し、第三者からの激励・賞賛の言葉をもらう。
次に「マラソン金メダルを目ざして、毎日2時間、走り込む」という場合。
- これまでの金メダリストを称える記録番組、著書などを読み、金メダル獲得がいかに素晴らしい夢であるかを実感する。また、経験豊かなコーチから、1日2時間の走り込みが有効であるという助言を貰う。
- タイムを計ることで、目標タイムまでどれだけ近づいたのかを確認する。
- これまでの練習量を表示する。
- 沿道での声援、ファンからの励ましメッセージなど。表彰式。報道による賞賛。
3番目に「某宗教において、天国に行かれるように日々、お祈りをする。」という場合。但し、ここでの「某宗教」はあくまで仮想の団体であり、一般性のありそうな特徴について述べます。
- 「天国」をイメージしやすいよう、礼拝堂の壁画などに描く。祭壇を飾る。荘厳な建築。教祖を神格化。自身の信仰が教義に一致していることの確認。
- 僧侶であれば、より徳の高い地位につく。
- 巡礼の回数。お経を唱える回数。
- 信者どうしの励まし合い。教祖からの褒美。
このほか、長期的な目標は必ずしも明確ではなく、具体的な数値それ自体が達成目標となる場合もあります。「日本百名山踏破」、「富士山100回登山」、「ギネス認定記録樹立」などなど。多くの場合、これらの行動を支えているのは社会的好子(達成した時に得られる栄誉)ですが、「目標達成への度合いを確認する行動」もきわめて重要です。
次回に続く。
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