じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
5月14日の日記で農学部販売所ベンチ前の常習悪質喫煙行為について取り上げたことがあったが【この場合の「悪質」とは、全面禁煙の掲示を無視して喫煙し、かつ、その吸い殻を投げ捨て続けるという意味】、その後も、毎朝1〜2本のポイ捨てが続いている。写真は7月4日(金)朝の状況。真新しい吸い殻と灰が散らばっていた。なお、雨天のため清掃活動が行われておらず、1日以上前の吸い殻も残っている。 |
【思ったこと】 140704(金)長谷川版「行動分析学入門」第11回(2)嫌子消失の随伴性による強化(2)逃避と回避 昨日述べたように、嫌子消失の随伴性とは、あらかじめ存在していた嫌子が、当該行動の直後に消失するような随伴性のことをいいます。しかし、「あらかじめ存在していた」と言っても、長時間にわたって嫌子に晒されていたり、嫌子が頻繁に出現したりしているようでは、慢性的なストレス状態に陥ってしまいます。そこで、特に有害で危険な嫌子に対しては、それが出現してから「逃避」するのではなく、その出現を未然に防止するという行動が形成されるようになります。これは、後述する「嫌子出現阻止の随伴性」であり、一般には回避行動(Avoidance Behavior)と呼ばれています。行動と結果との関係は、形式上以下のように記述されます。
回避行動は人間以外の動物でも広く知られており、行動分析学以外の領域でも広く研究されてきました。例えば、回転カゴにネズミを入れて、
しかし、そのうち、ネズミは、電気ショックを回避するために、電気が流れなくても回転カゴを回し続けるようになります。こうなるともはや嫌子は「あらかじめ存在」しませんので、嫌子消失の随伴性もはたらかなくなります。よって、回転カゴを回す行動は、形式上、「嫌子出現阻止の随伴性」によって強化されているとみなすことができます。 もっとも、これは、形式的制御としての話です。実際には、電気ショック(=無条件刺激)と回転カゴという環境刺激自体(=条件刺激)が何度も対提示されることで、レスポンデント条件づけが形成され、回転カゴ自体が習得性嫌子になっている可能性があります。とりわけ、回転カゴが制止している状態は強い習得性嫌子であり、カゴを回せばそれを消失させることができますので、 【回転カゴ静止(=習得性嫌子)】→回転カゴを回す→【回転カゴ動く(=習得性嫌子消失)】 という嫌子消失の随伴性で行動は強化され続けるというわけです。 次回に続く。 |