じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



09月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
 京都駅近くにあった、路上喫煙等禁止の案内板。文面によると、
  • 市内全域で路上喫煙等をしないよう努力する義務を課している。
  • 路上喫煙等禁止区域で喫煙等をすると1000円の過料に処せられる。
  • 「路上喫煙等」とは、たばこを吸うこと及び火のついたたばこを所持することを指す。
 この対策はある程度守られているようで、京都駅西側の喫煙所では多数の喫煙者が集まっていた。しかし、私がこの周辺を歩いていた時には、歩行喫煙者が少なくとも2名(いずれも男性)あり受動喫煙の被害を受けた。徹底的に取り締まってもらいたいものだ。



2014年9月12日(金)

【思ったこと】
140912(金)日本心理学会第78回大会(4)高齢者への記憶支援(1)

 9月5日の日記に記したように、大会ではさまざまなシンポ、講演、チュートリアル、ポスター発表などが行われて、3日間の参加選択組み合わせ総数は392兆7929億8222万799通りにも及んだ。今回は主として、ACT(アクト)&マインドフルネス関連と高齢者関連のセッションに参加させていただいた。ACT(アクト)&マインドフルネス関連は話が長くなりそうなので、先に、高齢者の記憶支援に関するセッションについて、私自身の記憶が減衰しないうちにメモと感想を記しておくことにした。

 このシンポでは、学習支援を児童や生徒だけでなく高齢者にも広げようという趣旨であり、今回は特に記憶支援に焦点が当てられた。シンポでは4件の話題提供と、高齢者心理学の第一人者の方からの指定討論があった。

 まず、企画趣旨説明において、
  • 自動車学校などをみればわかるように、学校の生徒というのは必ずしも若い世代に限定されるものではない
  • むしろ高齢者のほうが学習支援を必要としている
  • 高齢者における学習困難、特に記憶困難、自立のための重要な問題となっている
といった点が強調された。

 話題提供の中では「し忘れ」の問題が取り上げられた。これは展望記憶のエラーであり、自立生活に影響を与える薬の飲み忘れや火の元の消し忘れ、社会生活に影響を与える予定や約束のし忘れが挙げられるという。もっとも、簡単な実験調査で若年者と比較すると、高齢者のほうが「し忘れ」が多いという証拠はあまり得られていないようであった。しかしこれは若年者のほうが忙しかったり、実験課題があまり重要でなかったためとも考えられ、日常生活の「し忘れ」を反映していない可能性がある。そこで、健常高齢者に1日3回電話をするといった4通りの課題(うち2課題はエピソード記憶に依存する課題)を遂行してもらったが、60歳代でも70歳代でもそれほど顕著な困難は認められなかったという。

 ということであくまで私が理解した範囲でメモすると、
  • 健常高齢者の場合は、記憶機能が低下しても直ちには「物忘れ」や「し忘れ」にはつながらない。
  • 認知症の場合、記憶障害があれば、当然「物忘れ」や「し忘れ」をもたらす。
  • だからといって、認知症の方の記憶機能の維持・向上をめざしても、「物忘れ」や「し忘れ」など日常生活の問題を改善することには必ずしもつながらない。
というように、このお話の範囲では、記憶支援以外のサポートが強調されていたように思われた。

 ちなみに私自身も岡山県・落とし物未然防止検討会で微力ながら会長を仰せつかっているところであるが、忘れ物や落とし物の発生と記憶はあまり関係が無いように考えている。むしろ重要となるのは、特定の場所、特定の文脈における弁別刺激を明確にすることである。薬の飲み忘れをみてもわかるが、患者さんの記憶機能をアップさせても飲み忘れを防止することはまず不可能。そうではなく、「お薬習慣カレンダー」のポケットにその日に飲むべき薬を入れておき、かつ、飲む時間になると弁別刺激が発せられるようにすることが有効。このほか、火の元の消し忘れとか約束のし忘れなども、習慣化と弁別刺激制御で解決していくほかはないように思われた。

次回に続く。