じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
岡大西門西側の落葉の小径。 |
【思ったこと】 151224(木)「サリーとアン課題」からの連想(3)正直族と嘘つき族に道を尋ねる 12月21日の続き。 前回同様、
今回は、良く知られている「分かれ道のクイズ」を取り上げる。こちらの問題文を借用すると、 あるところにうそつき村と正直村という2つの村がありました。リンク先の解答例では「あなたはどちらの道から来たのですか?」となっていたが、嘘つき族の人が正直族の村から戻ってきた場合もありうるので、ここでは、 ●分かれ道のどちらかを指さし「あなたの村はこちらですか?」と尋ねる を正解としておく(指さしが禁じられている場合は、言葉で「左の道を進めばあなたの村に行かれますか?」でもよい)。 もっとも、この正解は、正直族と嘘つき族いずれも、肯定するときは 「はい」、「否定するときは「いいえ」と答えることが前提となっている。いっぽう、前回から取り上げている「ダー」、「ニエット」は、部族で答え方が逆になっているので、上記の正解は当てはまらない。じっさい、上記のように尋ねると、指さしたほうの道が正直村であった場合、正直族はそれが真であるゆえ肯定する意味で「ダー」と答える。いっぽう嘘つき族は、それが偽であるが、嘘をつくために肯定しなければならず、肯定の意味で「ニエット」と答えるであろう。要するに、「あなたの村」の意味が異なるため、答えが違ってくるわけで、これでは確実に正直村にたどり着くことができない。 もっとも、正直村への道を探すだけであれば、「こちらの道は正直村に行かれますか?と尋ねるだけでOKとなる。指さした道が正しい場合、正直族は「ダー」と答えるし、嘘つき族は命題が真であることに嘘をつくため、否定の意味で「ダー」と答えるからだ(指さした道が嘘つき村報告であった場合は、いずれも部族でもニエットと返事する。) ということで、今回取り上げた古典的クイズも、「あなたの村」という二人称表現(回答する側にとっては「わたしの村」という一人称表現)と、「正直村」や「嘘つき村」といった、回答者が誰であっても同じ意味となる「客観表現」との区別が重要なカギとなっている。前回も書いたように、こうした会話が繰り返しなされることが自己の形成に大きな役割を果たしていることは間違いない。 不定期ながら次回に続く。 |