じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
10月後半となり、備前富士(芥子山)の頂上からの日の出の瞬間が輝く「ダイヤモンド備前富士現象」の時期となってきた。昨年は10月19日がその日にあたっていたが、今年は東側に雲がかかっていることが多く、日の出の瞬間を見られない日が続いている。写真は、直近で東の空が晴れていた10月15日の日の出。 |
【思ったこと】 161018(火)2016年版「人はなぜ○○するか?」(8)恋をする 昨日の続き。 今回は5票を集めた疑問の中から、 という問題を取り上げることにしたい。 何度か述べているように、「ひとはなぜ○○するのか?」という問いについては、進化のプロセスに基づく回答(その行動がなぜ人間の行動リパートリーに含まれているのか?)と、その行動を変化させるには(=増やしたり減らしたり質的に向上させたり)どうすればよいかという2通りの回答がある。行動分析学は後者に対して有用な回答を用意できる可能性がある。 進化のプロセスに基づく問題の立て方から言えば、この疑問は恋愛が人間という種にとってどのような適応的価値をもたらしているのか?という問い置き換えることができる。恋愛自体は勉強や仕事の邪魔になるという点で非生産的であり、個人のスキル向上にプラスにはたらくわけでもない。にも関わらず恋愛にのめり込んでしまうのはなぜかというのは大きな謎である。また、自由な恋愛が可能になったのは日本では戦後の70年余りに限られており、それまでの男女交際は家柄や身分によって大きな制約があった。現在でも、自由な恋愛が困難になっている国もある。であるからして、「人はなぜ恋をするのか(恋愛をするのか)」というのは必ずしも普遍的な問いではなく、時代や文化によってかなり内容自体が大きく変わる可能性がある。もちろん、総合的に見れば、恋愛は結婚に発展し、それによって子孫が生まれて、次の世代が形成されるという重要な意義がある。恋愛や結婚は個人レベルでは自由であり、同性愛や非婚といった選択肢も現代社会では認められているが、社会全体としては極端な少子化が進まないように、恋愛や結婚、子育てをサポートするような体制作りがどうしても必要となる。 もう1つのタイプの回答、 については、行動分析学よりも、一般的な恋愛論や小説、ドラマのほうが有益な回答が得られるのではないかという気がする。というのも、恋愛は、相手があって可能となる行動であり、行動分析学的なセルフマネジメント(セルフコントロール)のテクニックが適用しにくいからである。英会話の上達をめざすのであれば、具体的な課題を設定し、遂行を適切に強化するプログラムを用意すれば、まずまちがいなく成功する。しかし、恋愛の場合は、理論上これでうまくいくと思われても、相手次第では嫌われることもあるし、強力なライバルが現れて失恋してしまうこともある。行動分析学の立場からの回答は、対人関係のちょっとした衝突や行き違いの解消には役立つかもしれないが、あまり大きなアドバイスはできないように思う。 次回に続く。 |