じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



03月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る


 3月15日の午前5時06分、月と木星が2°27′まで接近した。私のデジカメでは月が明るすぎてどうしても輪郭がぼやけてしまう。

2017年3月14日(火)



【思ったこと】170314(火)オドノヒュー&ファーガソン『スキナーの心理学』(26)第4章 徹底的行動主義(8)

 3月13日の続き。

 第4章では続いて、知識を科学的に研究すべきであると主張する研究者がスキナー以外にもおられることが論じられていた。例として挙げられていたのは、クワインとキャンベルである。クワイン(Wilfbrd Van Orman Quine.1981) は、1908年のお生まれで2000年に亡くなっている。スキナーが1904年3月20日生まれ、1990年8月18日没なのでほぼ同時代。スキナーは、20世紀の心理学に最も影響を与えた一人であるが、クワインも「20世紀の哲学者のなかで最も影響力のある人物の一人である」とされている。しかも、ハーバード大学という点でも共通している。本書では、「認識論は心理学の実験室で究明できるはずであり、その成果はいずれも進化論的に位置づけることができるはずだというスキナーについて、クワインは全面的に賛同している。」と述べている。
 もうお一人のキャンベル(Donald Campbell)は、ウィキペディアでは同姓の著名人が多いので検索で手間取るが、こちらの方であり、本書では、

Campbell, D. T. (1987). Evolutionary epistemology. In G. Radnitzky & W. Bartley (Eds.), Evolutionary epistemology, rationality, and the sociology of knowledge (pp. 36-53). La Salle, XL: Open Court.

が引用されていた。キャンベルの「可視光線がものを通り抜ける性質を活用すると生存上の利点があり、電磁波帯のごく狭い範囲に感受性を持つ視力が動物に形成されたのであろう。半透明物体の中を移動運動で通過せずにすむのである。」といった指摘に対して、スキナーは、こうした主張に賛同し、認識論の疑問に対する多くの答えは進化論の立場から答えるべきだと強調した。

Distinctions can be made between ultimate questions and answers, that is, questions and answers in which a longer-term, evolutionary perspective is taken, and proximate questions and answers, that is, questions and responses that look at the more immediate processes. Skinner would argue that his research interest was largely in proximate questions and answers, that is, in selection processes that occurred in the organism's lifetime (the contingencies of reinforcement). However, he would also argue that these would need to be set in an ultimate context, provided by the contingencies of survival.
丹念な進化論的考察によるさまざまな疑問とその答えと、単に目に見える目前の過程に対する疑問とその答えとは、きちんと区別すべきである。スキナーは、生活体の生涯にわたる淘汰過程(強化随伴性)、すなわち、狭い範囲の疑問とその答えに関心を持ち研究したが、それを適者生存の随伴性に基礎を置き、種の生存という視点で考察すべきだと主張した。


 次回に続く。