じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 3月15日夜から16日朝の岡山はよく晴れて、月の出と日の出を眺めることができた。国立天文台の情報によると、3月15日夜の月の出の方位は98.5°、3月16日の日の出の方位は91.6°で、日の出の方位のほうがやや南に偏っていた。
  • 写真上:月の出。右上の明るい星は木星
  • 写真中:日の出の瞬間の様子。彗星型の飛行機雲が見えた。
  • 写真下:太陽が顔を出す。

2017年3月15日(水)



【思ったこと】170315(水)オドノヒュー&ファーガソン『スキナーの心理学』(27)第4章 徹底的行動主義(9)

 3月14日の続き。

 「知るとは?」の節の最後では、スキナーの哲学についての特徴が16項目にまとめられていた。いっけん「知るとは?」と関係なさそうな内容にも思えるが、これは原書のタイトル「「WHAT IS KNOWING?―SKINNER'S INDIGENOUS, PSYCHOLOGICAL EPISTEMOLOGY(知る行為とは何か?―スキナーの固有の心理学的認識論」が翻訳書で簡略化されているためである。

 そのうちの1.は
1. Psychology is a branch of biological science. Skinner (1963) as serted that psychology is "part of biology, a natural science for which tested and highly successful methods are available" (p. 956).
1.心理学は生物科学の一分野である。「心理学は生物学の一部をなすものであり、検証可能性を持つ自然科学である。高度な成功を収めている科学の方法論が適用できるものである」(1963,p.956)


となっていた。【出典は、Skinner, B. F. (1963). Behaviorism at fifty. Science, 140, 951-958.】

 この文面だけを読むと、ペパーのいう「機械主義」の立場を主張しているようにも見える。しかし、これは、スキナーが科学や科学の方法論をどう考えているのかを把握しないと即断できない。

 6.の 6. Behavior should be studied by manipulating environmental variables that precede and follow behavior to attempt to identify functional relationships between these environmental variables and behavior.
6.環境変数の操作によって行動を研究し、環境変数と行動との間の関数関係を明らかにしなければならない
で述べられている「関数関係」については、少し前に指摘したように、必ずしも量的な関数関係の同定を目ざすとは言えない。むしろ、環境変数と行動の質的な機能的関係を明らかにすることが主目的であるように思う。

 7.の 7. Cognitions are behavior; more specifically, they are covert be havior (i.e., behavior that cannot be seen by others). Cognitions have a legitimate status in a science of behavior. However, they are more behavior to be explained, rather than behavior that explains other behavior.
7.認知は行動そのものであり、それは潜在的行動(他者には見えない行動)である。認知は明らかに行動科学の研究対象であり、説明されるべきものであるが、別の行動を説明するためのものではない。
という点は、誤解を避けるためにも特に重要であろう。スキナーは認知を無視しているのでは決してない。認知は研究対象であると明言した上で、説明変数ではなく、従属変数として説明されるべきであると言っているのである。


 次回に続く。