じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



03月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る


 夕食後の散歩時、半田山植物園で夜桜見物用の照明の点灯テストが行われていることに気づいた。点灯は短時間で終了。今年の夜桜企画は、「4月1〜10日は午後9時(入園は同8時)、11、12日は午後6時半(入園は同6時)まで閉園時間を延長(開園は午前9時)。10日までは日没後からライトアップする。」となっているが、初めの頃はまだ咲いていないのではないかという気もする。

2017年3月30日(木)



【思ったこと】170330(木)徹底的行動主義の呼称の起源(11)

 昨日の日記で、著名な行動分析学者のN先生から、「徹底的行動主義」という訳語の発案は、佐藤先生ではなくてA先生(浅野先生)ではないかという御指摘をいただいた。さっそく、浅野先生に、訳語成立の経緯についてメールでお尋ねしたところ、「radical behaviorism」を徹底的行動主義と訳したのは、浅野先生が1975年に慶應義塾大学への文学博士学位請求論文「ニホンザルの実験的行動分析における基礎的研究 第一部 理論的展開」の中で使われたのが最初であるとを教えていただいた。この博士論文の理論的展開部分は、同じ年に、

浅野(1975). ニホンザルの実験的行動分析における理論的展開. 心理学評論, 18(3), 181-197.

として刊行されており、その193頁、「意識」の扱いという節で「徹底的行動主義」という訳語が使われているとのことであった。残念ながら、心理学評論のバックナンバーが私の手元に無いので、後日、図書館で閲覧させていただきたいと思う。

 なお、浅野先生によれば、「radical」を「急進的」と訳すと、「急進的では中心から外れてスピンアウトする印象があったので、中心に戻すイメージで、本来目指していたものに向かうという意味を込めて徹底的とした」とのことである。

 1975年と言えば私が卒論実験を行っていた年であり、浅野先生やFantino先生が集中講義に来られたことを記憶している。なお、行動分析学会のニュースレターによると、Fantino先生は2015年9月22日にお亡くなりになったとのことである。

 浅野先生には不躾ながらもう1つ、「随伴性」の訳語の発案についてもお尋ねさせていただいた。この件に関しては、以下のような貴重な情報をいただいた。
「随伴性」については小生が言い出したのか佐藤さんが言い出したのか分からないぐらいに、二人の議論の中でよく使っていました。どちらが先か不明です。先の心理学評論の中でも佐藤さんが随伴性について紹介しています。いずれにせよ、我が国においては、自由反応場面での反応率の変化を本格的に調べるようになった1968年以降に必要になった言葉で、1973年頃までには基本的用語の日本語訳はおわっていたのではないでしょうか。
 いずれにせよ、自由反応場面(=オペラント行動の実験場面)の研究は、日本の大学では1968年頃から本格的に行われるようになり、その中で日本語訳が定着していったと考えてよいだろう。昨日引用させていただいた、

G.S.レイノルズ(著)/浅野俊夫(訳)(1978). オペラント心理学入門 - 行動分析への道

という翻訳書も、訳語の定着に大きく貢献しているように思われる。