じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 朝日に輝く時計台。原理的には、晴れていれば朝の光は一年中どこかの方向に反射しているが、その時間帯や樹木の位置関係によって、見られる時期は限られている。2010年1月19日や、2016年12月2日の日記に関連記事あり。

2017年10月25日(水)


【思ったこと】
171025(水)日本行動分析学会第35回年次大会(14)超高齢社会における行動分析学(12)巨視的視点(9)ライフスタイル

 時間が限られていたため、今回の話題提供ではカットせざるを得なかったが、巨視的な視点はライフスタイルの違いを説明することもできる。

 自己中心的な人と博愛的な人の違い、あるいは、刹那的に生きる人と目標に向かってコツコツと努力を重ねる人の違いは、性格の違いとして説明されがちであるが、これは単なるトートロジーに過ぎない。要するに、質問紙で「自分の利益を最優先する」という項目に「当てはまる」と回答した人は利己的性格であると判定され、あの人は利己的性格だから自分の利益を優先しているのだと説明するようなものであり、質問紙の回答を「利己的」と言い換えただけにすぎない。

 活動の究極的結果がどのような範囲に及ぶのかという「広さ」に関する軸と、究極的結果がどのくらい遅延するのかという「時間」に関する軸によって、2×2の分類を行うと、ライフスタイルの違いをうまく説明することができる。その基本的な考え方は電子版教科書の中の発展学習に記した通りである。

 なお、巨視的に見れば、活動は究極的結果によって包括的に強化されていると言うことができるが、これはあくまで形式的な図式であり、間接効果的な結果と考えるべきである。それらは概ねルール支配行動の中で機能しているが、どう機能しているのか(確立操作なのか、何らかの直接効果的結果を付加しているのか)については別途分析する必要がある。また、活動を構成する諸行動はそれぞれ、直後に随伴する直接効果的な結果によって強化されることが多い。例えば受験勉強という活動は、合格という究極的結果によって包括的に強化されているが、日々の勉強行動自体は、当該科目についての知識拡大や能力向上、問題集や模擬テストの成績アップ、教師・家族による激励などによって直接的効果的に強化されていると考えられる。

 発展学習に記した2×2のライフスタイルの分類は、高齢者の生き方にも大きく影響する。このことについては以下のようにまとめてある。
高齢者の場合は余命に限りがあることから、数十年後の結果は想定されにくくなります。それゆえ、
  • 直後の結果で強化される活動(「いま、この瞬間を楽しむ」)
  • 自分の死によっても好子消失が起こらないように、子孫や社会に遺るような好子出現で強化されるように活動
  • 天国や輪廻を信じる人の場合は、死後の結果を想定して、教義に合致するように活動する
といったパターンが生じやすくなるものと思われます。自分の資産を殖やすことしか頭になかった大金持ちは、晩年に熱心に慈善活動に取り組むようになるかもしれません。しかし、その場合、『クリスマスキャロル』のスクルージのような恐怖体験は必ずしも必要ではありません。単に、自分の死による好子消失を避けるために、結果が及ぶ広さを自分自身から世間一般に拡げただけかもしれません。


 次回に続く。