じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 夏至が近づいていることもあって、日の入り前に散歩をする機会が増えてきた。写真は、2本のイチョウの間に沈む夕日。ロールシャッハテストの図版のように見えてしまう。

2018年6月3日(日)


【小さな話題】

超古代文明

 NHKの幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリーで今度は

「神々の遺産!?謎の超古代文明を徹底解明!」(5月31日放送)

をやっていた。ネットで検索したところ2015年11月頃に初回放送されたものの再放送であったようだ。

 今回紹介された「超古代文明」遺産は、オーパーツ(「out-of-place artifacts」、「OOPARTS」)と呼ばれるものの一部。

 
6月1日に取り上げた「宇宙のミステリー」と異なる点は、
  • 「宇宙のミステリー」は多くの場合、写真には写っているが、その現象(または物体)を精査することができない。
  • 「オーパーツ」のほうは、事物そのものは存在しており、誰もが確認できる。そえゆえ、条件が揃えばいくらでも精査可能。
という点にあるように思う。

 「宇宙のミステリー」のほうは正体が分かると「なんだ、そんなものだったのか」とがっかりすることもあるが、「オーパーツ」のほうは、捏造も多いとはいえ、古代人の優れた製造技術に驚かされることがある。「高い技術を持った宇宙人が古代人を支配した」と見なして思考停止してしまうよりも、「我々の先祖が努力の積み重ねによってこれだけ高い技術を生み出した」と考えるほうがロマンがある。

 アトランティス伝説に関連して、全く交流が無かったエジプトと中南米で、太陽信仰や、同じような形のピラミッドが造られたことの共通性が取り上げられていた。もっとも、時代や地理的に完全に遮断されていたとしても、同じ地球環境で適応していくためには似たような行動様式が生まれ、その般化として、似たようなスタイルの宗教が生まれるのは必然であるようにも思える。

 このほか、「大ピラミッド(ギザの、クフ王のピラミッド)の底面の辺一周の長さを、高さの二倍で割ると、円周率(円周を直径で割った値)π=3.14159...の近似値が得られる」というミステリーの真相も興味深い。こちらに詳しく紹介されているように、初歩的な作図の中にも結果的に円周率に相当する比が生まれることはありうる。【もっとも、他のピラミッドでは異なる数値になっているとのことで、実際にはそのような作図により設計されたのではなく、偶然の一致であると考えるべきかもしれない。】 番組に登場したピーター・フランクルさんによれば、円周率や、地球と太陽との距離などの近似は、東京タワーの高さを港区の郵便番号で割ったり、トイレットペーパーの寸法などからもこじつけることができるとのことであった。

 元の話題に戻るが、宇宙のミステリーとは異なり、「超古代文明ミステリー」は、それぞれの時代の権力者に利用されたり、選民思想や人種差別、民族差別にも結びつきやすい。それだけに、固定的な価値観や妄想に囚われない科学的な考古学の発展が望まれる。