【小さな話題】
世界は教科書でできている「人口一位の都道府県の推移」
1月12日の夜、NHKで世界は教科書でできているという番組をやっていた。その中で意外だったのは、人口ランキングが1位だった都道府県はどこか?というクイズであった。素朴に考えると、明治以来ずっと東京都が1位だと思ってしまうが、じつはそうではないらしい。
- 1872年の1位は、広島県。大阪や京都で消費される「綿」や「牡蠣」の一大産地として栄えていた。
- 1885〜1886年の1位は、大阪府。紡績会社で働く人たちが集中。
- 東京都(東京府を含む)が初めて1位になったのは、1893年。多くの人たちが疎開した1945年以外はずっと一位。
- このほか、1873年から東京が1位になった1893年までの間で1位になった回数が最も多かったのは新潟県で12回、ついで石川県が5回、その次が既出の大阪府で2回、愛知県と既出の広島県が各1回となっている。新潟が最多であった理由は、江戸時代初期からの新田開発に伴い移住者が増えたため【人口ばかりでなく耕作面積も日本一】。
となっており、新潟がこんなに栄えていたとは思ってもみなかった。ウィキペディアにも、
1874年(明治7年)から1896年(明治29年)の統計では、約150万から180万人で推移し日本一人口の多い道府県であった。この時期は、都市化が進んでおらず、日本人の9割近くが農業によって生活を成り立たせていたため、収穫高が大きい新潟県は人口涵養能力が高かった。
と記されている。なお、石川県の人口が5回も日本一になった理由についてはよく分からなかった。
番組ではこのほか、
- 単三の電池が必要だが単四の電池しか在庫が無いとき、どの家庭にもあるモノを使ってどうやって代用するか?
- 通じる英語と通じない英語(和製英語)のどちらかを見分けるクイズ(ソフトドリンク、フライドポテト、ジェットコースター、プリントアウト、ガソリンスタンド)
- グランドで、分度器を使わずにメジャーだけで直角の線を引く方法は?
- 以下の6つの言葉の使い方が本来とは異なる意味になっている3つの言葉は?
- うがった見方:疑ってかかるような見方
- 甲乙付けがたい:両者の間に差がなく優劣が付けにくい
- 陳謝:事情を述べて謝ること
- 割愛:重要でないものを省略する
- 琴線に触れる:感銘を受ける
- たそがれる:物思いにふける
といったクイズが出題された。以下、順番に正解とコメントをつけさせていただくと、
- アルミホイールを使って単四電池の隙間を埋める。電池が2本必要なのに1本しか在庫が無い場合も、1本分の代わりにアルミホイールを埋め込めば、電圧は半分だが使えることがある。但し事故の危険もあるのであくまで緊急的な対応。
- ○ソフトドリンク、×フライドポテト、×ジェットコースター、○プリントアウト、×ガソリンスタンド
ソフトドリンクは×ではないかと思っていたが、和製英語だったのは「ソフトクリーム(英語では「soft serve」)であってソフトドリンクはちゃんとした英語だった。「ジェットコースター」は以前はATOKで変換すると「商標登録」という表示が出ることがあったが、これはパチンコ台の機種名であったようだ。ウィキペディアに説明されているように、本来の英語「ローラーコースター」に相当するマシンは1890年7月9日に登場したが、ジェットコースターという名前が付けられたのは1955年、後楽園ゆうえんちに導入された遊具が最初であり、7月9日はジェットコースターの日と呼ばれる。
- 3:4:5の直角三角形をつくる方法が紹介されていたが、これはメジャーの目盛りがないとできない。単にロープだけしか無い時、つまり「同じ長さを測ることができない」という条件のもとであれば、
- ロープの一部を使って、起点の左右に、同じ長さの線分を作り印をつける。
- ロープからいま作った線分の2倍より長めの適当な長さだけ切り取り、等分の長さで2つ折りにする。
- ロープを折り曲げた点(中点)に印をつけておき、ロープのそれぞれの端を上記の1.に合わせる。ロープを「く」の字がたに広げて、中点と、1.の起点との間に線を結べば、もとの直線と直角な線が引ける。
という「二等辺三角形の底辺の中点と頂点を結ぶ線は底辺と直角に交わる」という性質を利用したほうが一般性がある。
- ×となったのは、
- うがった見方:本来の意味は「物事の本質を的確にとらえた見方」だが、2011年の文化庁調査では48.2%が「疑ってかかるような見方」「ひねくれた見方」と回答
- 割愛:本来の意味は「惜しいと思うものを思い切って省略する」
- たそがれる:本来の意味は「夕方になる」、「盛りを過ぎて衰える」
であた。うがった見方は私自身も「誤用」することが多い。「穿った」とは「細かいことを指摘する」、「穿つ」は「穴を空ける」という意味であるという。
「割愛」については、現役時代、教授会でときたま「教員の割愛依頼について」という議題が出ることがあり、本来の意味からして「本当はこのまま在籍してほしいが、ご本人の希望や将来のことに配慮し、やむをえず転出を承認する」という意味であることは知っていた。
|