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各種報道によれば、2月16日未明、台風並みに発達した低気圧により、根室市では最大瞬間風速35.5m/s、観測史上最も低い気圧948.6hPaを記録した。この低気圧の中心気圧は、2月16日午前09時の時点で944hPaになると予想されていたが、じっさいには左の図の下のように946hPaであった。
この図で、予想天気図では944hPa、実況天気図では946hPaというように、いずれも気圧が2hPa刻みになっていることに疑問が生じた。中心気圧が945hPaの台風というのはたまに出現するのに、同程度まで発達した温帯低気圧の中心気圧は、なぜ2hPa刻みで表示/予想されるのだろうか? さっそくネットで検索したところ、天気図上の等圧線は4hPaごと、低気圧や高気圧の中心気圧は2hPaごとの表示が原則だが、台風の中心気圧の場合は、990hPa以上の時は2hPa刻み、990hPa未満の場合は5hPa刻みで表示されることが分かった。こちらの情報によれば、「中心気圧が5hPa刻みの「キリのいい数字」となっているのも、台風の中心気圧がドボラック法による推定値であって、推定精度を考慮すればそれ以上の細かい数字を出しても意味がないためです。」というのがその理由【←もっとも、そうであるなら温帯低気圧の中心気圧も5hPa刻みになるはずだと思うのだが...】。但し、ベストトラック(最終解析結果)では、もっと細かい最低気圧が推定されることもあるらしい。 なお、オホーツク海や北太平洋近辺での低気圧の最低気圧の記録は2014年11月8日に観測された920hPa、また、ウィキペディアによれば、温帯低気圧の世界記録は、1993年1月10日、イギリスとアイスランドの間の北大西洋上で、天気図解析により決定された915hPa(あるいは912hPaとも)であるという。【高気圧の最高気圧は、海面更生気圧で1084hPaという記録があり、昨年12月29日にも歴代タイ記録として観測されているようだ。】 最低気圧が870hPaまで下がる台風に比べると、温帯低気圧はそれほどではないように見えるが、暴風域が超大型台風並みになること、台風と違って、そう簡単には衰えないことなどに注意する必要がある。 |
【連載】「刺激、操作、機能、条件、要因、文脈」をどう区別するか?(54)杉山尚子先生の講演(19)杉山×武藤対談(4)スキナーの『Contingencies of reinforcement』と久保田新『随伴偶果性』 昨日までのところで何度か言及したが、Skinnerの考えは、彼の長い人生の中でも変化(発展)している。「タイプ1とタイプ2」が「タイプRとタイプS」、さらに「オペラントとレスポンデント」という呼称に変えられていったのもその1つだが、随伴性の定義についても、1930年代、1950年代、1960年代、...で、変遷が見られるはずである。 今回の対談ではあまり言及されていなかったようであるが、1960年代以降にSkinnerがどういう考えを述べていたのか、もう少し調べてみることにしたい。その代表的な文献は、 Skinner (1969). Contingencies of reinforcement : a theoretical analysis. New York : Appleton-Century-Crofts, であると思うが、その7ページ目では、 An adequate formulation of the interaction between an organism and its environment must always specify three things: (1) the occasion upon which a response occurs, (2)the response itself, and (3) the remforcing consequences. The interrelationships among them are the "contingencies of reinforcement."と明記されており、このことが、Skinnerは(1)〜(3)の三項で随伴性を定義したという根拠になっているように思われる。 上掲のSkinner(1969)について最も詳細に考察されていると思われる専門書に、 久保田新ほか(2003).『臨床行動心理学の基礎―医と心を考える 人はなぜ心を求めるか』丸善 がある。 あくまで私の不確かな記憶によるものだが、久保田新先生は、確か、Skinnerに面会した最後の日本人研究者であり、その面会時には『Contingencies of reinforcement』の本を持参しSkinnerからサインをもらったというようなエピソードがどこかに書かれてあったと記憶している。 上掲の久保田ほか(2003)の第四部第七章の中には、
久保田先生によるcontingencyの定義は、SD、行動B、強化刺激の3項目(あるいはそれに確立操作まで入れて4項目)のうちの2項目以上の相互関係, しかも,その直線的な前後関係ではなく,やや感覚的な言い方をすると<立体的な>相互関係のことを指す概念であり、簡潔に言えば、 ●ある状況のもとである行動が生起し,それが効果あるいは結果をもたらす とされていた。 久保田先生の本では、近接性(contiguity)や因果性と随伴性の違いについても詳細に考察されており、随伴性の理論的に重要な特徴として、 理論的にも重要なことですが,そのようにcontingencyを捉えると,4項目間の,ある関係は有機体なしの実験設定としては設定可能でも,それが,時間的前後関係,近接性contiguityにすぎないのか,機能的なあるいは因果的な関係causalityであるのかは,実際に生きた有機体と一緒にしてやってみなければわからない,つまり,<事前には>決定できない...【以下略】を指摘しておられた。 不定期ながら次回に続く。 |