Copyright(C)長谷川芳典 |
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備前富士(芥子山)の後ろ側から太陽が昇る「春のダイヤモンド備前富士現象」が始まった。頂上付近からの日の出は2月21日頃となる見込みだが、晴れるだろうか。2017年の写真はこちら。
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【連載】「刺激、操作、機能、条件、要因、文脈」をどう区別するか?(55)杉山尚子先生の講演(20)杉山×武藤対談(5)『Contingencies of reinforcement』、「S+」や「S-」の表記 昨日の日記で Skinner (1969). Contingencies of reinforcement : a theoretical analysis. New York : Appleton-Century-Crofts, に言及した。ここで少々脇道に逸れるが、この本で「contingency」あるいは複数形の「contingencies」がどのように使われているのか、PDF検索によりチェックしてみた。 まず「contingency」であるが、ざっと調べたところでは、この言葉は目次や索引部分を含めて46回出現しているが、大部分は「contingency-shaped behavior」という形で使われていた。「contingency-shaped behavior」は「rule-governed behavior」と対比するために使われており「強化随伴性によって形成された(維持されている)行動」という意味のようである。 いっぽう「contingencies」のほうは533回も使われている。この本は本文297ページなので、毎ページあたり平均1回以上使われていることになる。本のタイトル通り、まさに随伴性の本ということになる。 さて、元の対談に戻るが、対談の中で、「SD」や「SΔ」ではなく、「S+」や「S-」という記号が用いられた背景には、当時のタイプライターでは上付き文字や「Δ」が入力しにくかったということがあるという興味深い話があった。確かに、私が学生の頃は、タイプ打ちの入力や修正で手こずっており、「Δ」は、あとから手書きで付け加えるほか方法が無かった。 ちなみに、このWeb日記では、「SΔ」は「S<SUP>Δ</SUP>」というタグを使って表示している。いちいち手打ちしているのではなく、「sでるた」と入力すると「S<SUP>Δ</SUP>」と変換されるように「漢字熟語登録」をしているので手間はかからない。 なお、「S+」や「S-」の使い方があまり話題にならなくなったのは、動物実験で刺激性制御を研究していた人たちが、実験的行動分析から比較認知科学に転じてしまったことに一因があるらしい。 なお、行動分析学における動物実験の意義に関しては、 佐藤方哉(1993). 行動分析学における動物実験の役割一<理論>の敗退と反復実験の勝利一. 心理学評論, 36, 209-225. という論文がある。 不定期ながら次回に続く。 |