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岡山地域限定のローカル番組によれば、全国の県庁所在地・政令市の中で岡山市は、パンの購入量、菓子パンの購入金額と購入量はいずれも1位になっているという【総務省家計調査。2人世帯以上、県庁所在地政令市別調査】。↓の記事参照。 |
【小さな話題】パン購入量日本一が岡山市である理由 6月12日(土)の朝7時半から、NHK総合、岡山地域限定で、 @okayama「もんげー香ばしい パンの秘密」 という話題が取り上げられた。 番組によれば、全国の政令市の中で岡山市は、パンの購入量、菓子パンの購入金額と購入量はいずれも1位になっているという。番組ではその理由について、いくつかの説が紹介され、さらにパンで町おこしを目ざしている総社市、津山市で閉園となった幼稚園の建物を借りて開業したパン屋さん、さらにはパンを使った料理、パン皿の開発などのエピソードが紹介されていた。 岡山には30年以上住んでいるが、パンの購入量等が日本一、かつ菓子パンが人気ということは全く知らなかった[※]。念のため、総務省統計局の家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(※)ランキング (2018年(平成30年)〜2020年(令和2年)平均)をチェックしたところ、この調査は全国52の県庁所在地と政令市を比較したものであり、
いっぽう、食パンについては、
このほか、
以上の数値から見て、岡山市でパンの購入量が多いこと、但しその内訳は食パン以外であること、また米の購入量は全国最下位レベルであることが確認できた。 番組では3人の方が、この原因について推測しておられた【いずれも長谷川の聞き取りによるため不確か】
岡山の人は甘みにぜいたくさを感じる文化がある。岡山は、近隣の香川県で砂糖が生産されていたことなどから、江戸時代には他の地域よりお金さえ出せば砂糖を食べることができた。今も岡山の人は少々甘いものを食べることがぜいたくで、おそらくそれがパンにも反映されており、菓子パンの文化をつくっている。というように推測しておられた。 ここからは私の考察になるが、まず上掲の力石さんの説は、「欲求が高まっているので加熱している」というようなトートロジーになっていて科学的な説明とは言えない。何かの流行現象について「欲求が高まっているから」という後付けの説明をしても、何も予測できないしコントロールすることもできない。 宮本さんが指摘した老舗パン屋の影響だが、番組でも紹介されたように、確かに岡山には岡山木村屋という製パン会社がある。もっとも、スーパーや地域生協、ドラグストアなどで売られているパンは、大概は山崎製パンやタカキベーカリーのパンであり、これらは岡山に拠点があるわけではない。北九州へ帰省した帰りによく立ち寄る中国道小谷SA上りにはアンデルセンがあるがこれまた岡山拠点ではない。 磯田道史さんの、「麦食→工業化→麦食回帰」という説はさすが歴史学者だとは思うが、仮に「工業化が進むと食事時間を短くすることが必要」であったとしても、それが今の岡山のパン人気に繋がっているかどうかは疑わしい。今の岡山市は必ずしも工業都市ではないし、また食事時間を短くするためにパンを食べるというなら、菓子パンばかりでなく食パンの購入量も全国一になるはずだ。また、総務省統計の中の平成21年〜23年平均を見ると、岡山市のパンの購入量は20位、食パンを除く「他のパン」の購入量は8位であって全国的にみてダントツというわけではなかった。歴史的な経緯が影響を与えるのであれば、過去からずっと1位を保っているはずであり、10年前には低く、最近になってから増えた現象は、説明できないように思う。 あと、岡山市民が甘みを好むとすれば砂糖消費量が多いはずだが、総務省の統計によれば、岡山市の砂糖購入金額は50位、購入量は42位で、必ずしも甘党というわけではなさそうだ。パン屋さんで買った菓子パンをたくさん食べるので、その分、他の料理に使う砂糖は少ないという可能性もあるが。 岡山である程度パンが売れていることは間違いなさそうだが、私の住んでいる町の近辺では、倒産撤退したパン屋さんもあり、店の数はそれほど変わっていないように思われる。また、岡大生協のピーチユニオンではかつて焼きたてパンのコーナーを設置していた時期もあったが、あまり売れなかったせいか、現在では、パンを食べながら食堂を利用することができない。子どもたちが小さい頃にはよく利用していたベーカリーレストランも近隣からはすっかり姿を消してしまった。 [※追記]2015年4月20日の日記で、日本一パンを食べる都市が京都である理由という話題を取り上げたことがあった。 |