Copyright(C)長谷川芳典 |
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3月6日は前日の黄砂の影響がやわらぎ、輪郭のはっきりした日の出が見えていた。 |
【連載】コズミックフロント「“幽霊粒子” ニュートリノの謎」(5)未知のニュートリノとダークマター/反射、吸収、衝突 昨日に続いて、2月24日に初回放送された表記の放送の感想・考察。 昨日の日記の最後のところで、太陽から放出されるニュートリノの数が、理論予想の1/3にとどまるという、太陽ニュートリノ問題について取り上げたが、放送ではニュートリノ振動の話の続きとして、第4のニュートリノをめぐる研究が紹介された。アメリカ・イリノイ州にあるフェルミ国立加速器研究所では行われた研究によれば、ニュートリノのビームを500メートル弱離れた検出器に向けて飛ばしたところ、検出器では発射されたものとは違うニュートリノが捉えられた。理論上、このような短い距離ではニュートリノが振動することはないゆえ、振動周期を早めている第4のニュートリノの存在を仮定する必要が出てきた。これは、通常のニュートリノ以上に相互作用をしないため、不毛なニュートリノ(Sterile Neutorino)と呼ばれているという。この第4のニュートリノは標準理論の神の数式には収まりきれない。この存在が証明されると標準理論の美しい対称性は破れる。 第4のニュートリノは、質量はあっても他の物質とは相互作用しないという性質を持つと仮定されているが、これと全く同じ性質の物質が宇宙物理学でも提示されている。これこそがダークマター(暗黒物質)である。フランク・クロース名誉教授(オックスフォード大学)によれば、標準理論で記述できるのは全宇宙にある物質のおよそ6分の1の物質にすぎない。残りはこのダークマターと呼ばれる観測不能な謎の物質であり、その解明の糸口となるのがニュートリノであるという。梶田隆章先生(東京大学宇宙線研究所)も、何かしら今の素粒子の標準理論よりも大きい枠組みの考えが必要であり、これを答える鍵をニュートリノが持っているかもしれないと指摘された。 ここからは私の感想・考察になるが、まずニュートリノと「ダークマター」との関係については、ウィキペディアでは、1つの候補として挙げられているが、 ニュートリノは宇宙全体に存在する数が非常に多い(計算では?100個/cm3)ので、質量が10eV程度あれば暗黒物質の候補になるとされていた。しかしながら、ニュートリノの寄与は臨界密度の高々1.5%程度であることが分かってきたので、現在では主要な暗黒物質であるとは考えられていない。さらに、ニュートリノが暗黒物質の主成分だとすると銀河形成論的に困ったことがおこる。銀河団以下のスケールの構造が生まれなくなってしまうのである (free streaming mixing)。これは、ニュートリノ同士の相互作用がほとんど無く互いに通り過ぎてしまい、圧力が生じないことによる。従って、ニュートリノ説は否定された。という否定的見解が紹介されていた。但し、素粒子論からの候補としてそれ以外に挙げられているニュートラリーノ、アクシオン、ミラーマター、LKP(Lightest KK Particle)は存在が未確認であり、推測や予言の域を出ず、実在しない可能性を持つ候補もあるとされていた。そういう意味では上掲の「第4のニュートリノ」も現時点では推測や予言の域を出ていないように思われた。 さて、ダークマター(暗黒物質)も第4のニュートリノも、何らかの物質として仮定されているが、そもそも物質とは何かということがますます分からなくなってきた。国語辞典(大辞泉)では、 物理学で、物体を形づくり、任意に変化させることのできない性質をもつ存在。空間の一部を占め、有限の質量をもつもの。素粒子の集まり。相対性理論ではエネルギーの一形態、量子論では場とされる。と定義されているようだが、分野によって定義が異なっていて何のことだかイマイチ分からない。但し、直観的には、
ところで、3月4日の日記で、「光は存在するか?」という疑問を述べたことがあった。ウィキペディアによれば、光子は電荷を持たず、質量はゼロであり、寿命は無いという。このことでふと思ったが、光は電荷や質量を持たないのに、なぜ透明でない物質を通り抜けることができず、反射したり吸収されたりするのだろうか? そのいっぽうでニュートリノはわずかな質量を持つというのに、なぜ地球内部をも通り抜けることができるのだろうか。 じっさいウィキペディアでも「光は物体に当たると特殊な場合(屈折率が等しい場合や完全に黒色の物体)を除いて表面ではね返る。これを光の反射という。」というように、光に反射という性質があることは述べられているが、質量ゼロで電荷を持たない光がなぜ反射するのかはどこにも説明されていなかった。 光の反射は、子どもの頃から鏡で遊ぶ中で当たり前の現象として捉えられる。また、なぜ反射するのかというのは、ボールが壁や床にぶつかって跳ね返ることのアナロジーとして、光が物体にぶつかって跳ね返っているように理解される。しかし本当のところは、ボールの跳ね返り(下記の「衝突」参照)とは全く異なっており、どうやら波の性質であるようだ。透明というのは、「ある物質がある電磁波に対して「透明である」とは、その物質と電磁波との間に相互作用が起こらず、電磁波の吸収および散乱が生じないということを意味する。 」と記されている。また、光が吸収されるのは、 物質は光エネルギーを吸収したままなのではなく、すぐに励起状態から基底状態に戻り、この際に吸収したエネルギーを放出する。しかし、エネルギーの一部は無輻射過程を経るため、吸収した光と完全に同じ波長・強度の光として放出されるわけではない。したがって、光の一部は物質に吸収され続けるように観測される。と説明されていた。 反射でも吸収でもない現象に「衝突」があるが、物理的な衝突と、素粒子レベルでの衝突も同じ現象なのか、単なるアナロジーであって全く異質の現象であるのか、勉強不足の私にはよく分からない。 次回に続く。 |