じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 ↓の記事で姫路城・昭和の大修理の話題を取り上げた。私自身は2013年の平成の修理の際に現場を見学したことがあった。大天守の外側を同じ高さから眺めるという貴重な機会であった。

2022年5月31日(火)



【連載】プロジェクトX4Kリストア版『白鷺舞え 空前の解体工事 〜姫路城・定年前の大仕事〜』

 5月28日に続いて、NHK-BSPで、4Kリストア版として再放送されているプロジェクトXの話題。本日は、5月3日に4Kリストア版として再放送された、

#65【2001年9月11日】『白鷺舞え 空前の解体工事 〜姫路城・定年前の大仕事〜』姫路城の昭和の大修理

について考察する。

 この放送は以前にも視た記憶があった。放送の終わりのあたりで加藤得二さん(工事のリーダー)が定年退職後もたびたび姫路城大天守を隅々まで見て回り、ポケットからピンポン球を取り出して城が傾いていないかをチェックするシーンがあり、少なくともこの場面については覚えていた。但し別の番組で放送された同じシーンであった可能性もある。
 この回の主な困難点と解決策は以下のようなものであった。
  1. 城を支える25メートルの心柱の丸ごと取り替え
    • リーダーの加藤みずからヒノキの巨木探し行脚。四国一円、山陰、長野、岐阜、静岡などを廻ったが高さ25mの巨木はなかなか見つからない。
    • 兵庫県市川町から村のご神木を提供したいという申し出があったが、15mのところに反りがあって使えないことが判明
    • 岐阜県裏木曾で営林署が巨木を見つけたものの幹の内部に空洞があり使えないことが判明
    • その後、高さ30mの巨木を発見し切り倒したが、トロッコに乗せる時に折れてしまった。
ということで巨木探しは絶望的となったが、棟梁の和田通夫さんの提案で、2本の巨木を木組みで繋ぐ方式を採用。上記の折れた巨木の下の15mと、先に提供の申し入れのあったご神木を繋ぐことで解決した。
  • 心柱への負担を減らすために、瓦の重さを「2割軽く、4倍強い」瓦を焼き上げる。 こうして、昭和の大修理は、昭和の築城とも呼ばれるほど大規模な工事となり無事に、1964年竣工した。

     なおウィキペディアによれば、「平成の修理」のほうは昭和の大修理ほどの大規模解体修理ではなかったという。

     ここからは私の感想・考察になるが、私自身は、姫路城には、1966年頃、2013年(平成の修理)、2017年というように少なくとも3回訪れたことがあり、それぞれの姿を眺めるという機会を得ることができた。
     放送を通じて、工事に携わった人々の思いや努力が伝えられている点は大いに感動的であったが、
    1. 計画通りに遂行され、何のトラブルもなく達成された偉業
    2. トラブルに見舞われ、独創的なアイデアや機転をきかせた対応でそれを克服する
    という2つのタイプを比較すると、どうしても後者のほうが物語になりやすいところが出てしまう。じっさいは、1.のほうが高く評価されるべきなのだが、描き方が難しい。

     次回に続く。