じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園の展望台から眺める岡山市街。35℃前後の炎天下ということもあって、ここまで登ってくる人は少ない。 青い円内には、土日月曜日に運行している観光列車「SAKU美SAKU楽(さくびさくら)」号、世界三大黄金像の1つ「岡山の大黒天」が見えている。
 なお、津山線「SAKU美SAKU楽(さくびさくら)」は、8月11日20時からのBS朝日「夏休みにまだ間に合う!? 今年デビュー!最新観光列車(#325)で紹介される予定。

2022年8月8日(月)



【連載】太陽系の基本知識を更新する(5)金星(2)

 昨日に続いて、NHK「コズミックフロント

●「冒険者たちが語る 太陽系のヒミツ」

についての備忘録と感想。引き続き、金星を取り上げる。

 放送内容から脇道に逸れるが、まず、昨日取り上げた「金星の自転周期は243日であり、公転周期の224.7日よりも長く、かつ逆行している」という点についてもう少し考えみる。
 ウィキペディアに記されているように、惑星やその衛星の自転周期と公転周期はしばしば、一致もしくは一定の比率になる。これは、中心の星と周りを回る衛星が互いに重力で引き合うことによって同期し安定状態になるためで、火星のフォボス・ダイモスや木星のガリレオ衛星を始め、太陽系の惑星にあるほとんど全ての衛星は自転と公転とが同期しているという。これは「1:1」共鳴と呼ばれるが、離心率が高くなると3:2共鳴となる場合もある。じっさい、水星の公転周期は87.97日、自転周期は58.65日で、公転周期と自転周期は3:2の比率になっているという。このことが金星ではなぜ起こらないのか、しかもなぜ逆行しているのかは大きな謎である。
 このほか、金星の公転周期である224.7日と地球の公転周期365.2422日から、金星は8年周期で同じ位置に見えることが知られている【金星が13周するあいだに地球は7.9977周するため】。これが何か特別の意味をもつのかどうかは分からない。

 さて、放送では続いて、金星の大気がなぜ高温・高圧化したのかについて解説された。金星と地球は誕生後しばらく同じ経緯をたどっていた。原始の金星には海があり生命が存在した可能性もある。しかし、金星は地球より太陽に近く、地球の2倍もの太陽光を受けており、太陽が明るくなるにつれて暴走温室効果(水蒸気の増加による保温効果とそれによる金星表面の高熱化の悪循環)が生じた。また金星には磁場がないため、太陽風によって金星の大気に含まれていた水蒸気が酸素と水素に分離され(光解離)、水が失われていった。

 1984年5月にスペースシャトルを使って送り出された探査機マゼランは、金星の表面の様子を詳細かつ全域にわたって探査した。これにより金星にはたくさんの火山があり、長い間火山活動が活発であったことが明らかになった。これが大量の二酸化炭素をもたらし、温室効果をさらに強めた。

 金星の表面から水が失われると、惑星内部の動きが止まったことで火山活動が停止し、また核の内部に熱が閉じ込められて対流が起こらなくなったために磁場が失われた。

 放送ではもう1つ、金星の大きな謎として、上空を吹き荒れる超高速の風について紹介された。発見したのはフランスのアマチュア天文家、シャルル・ボワイエであった。1957年、ボワイエは、金星の表面に4日ごとに同じ模様が現れることを観測した。これは秒速100mを超える高速であった。その説があまりにも斬新であったため当時は全く受け入れられなかった。しかし、1974年2月に金星に最接近したマリナー10号が大気の模様を撮影し、このことを確認した。このことについては2016年11月25日の日記でも取り上げたことがある。ボワイエの発見は、当初、「A young Harvard astronomer named Carl Sagan rejected the paper on the grounds that "four-day rotation is theoretically impossible, and shows how foolish the work of the inexperienced amateur cam be.(4日間で大気が循環【回転】する事など論理的に不可能であり、経験の浅い素人の観測がいかに愚かな事であるかの証拠だ)」と批判されていた。

 次回に続く。