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【連載】太陽系の基本知識を更新する(7)火星(1)太陽系の基本知識を更新する(7)火星(1) 8月9日に続いて、NHK「コズミックフロント: ●「冒険者たちが語る 太陽系のヒミツ」 についての備忘録と感想。今回から、火星を取り上げる。放送内容に入る前に、まず私自身の関わりから。 火星と言えば、かつては多くの人によって、火星人や運河の存在が信じられていた時代があった。またそこまで高度な文明は無かったとしても、コケ類やバクテリアのようなものが存在する可能性は科学本の中でも記されていた。じっさい、私が子どもの頃に読んだ『宇宙のすがた』(鈴木敬信, 1962年、偕成社)には、
ところで上記の「火星の運河」だが、その後の着陸船や、火星表面を移動する探査機には、それらしき映像は見られない。となると、私が子どものところにはほぼ常識化していた「運河のような地形」というのは全くの錯覚だったのだろうか?ということになる。ウィキペディアには、 ウィリアム・ケネス・ハートマン(en:William Kenneth Hartmann)は、1960年代から2000年代までの火星像を研究する科学者であるが、「運河」は、山岳およびクレーターの風下側の、風によって引き起こされた粉塵の筋痕であると説明している。と記されており、おそらく多くの観察者が、「ここには運河があるに違いない」という固定観念のもとに複雑曖昧な模様を運河の形であると錯覚してしまったものと思われる。 以上述べたように、私が子どもの頃には、火星にはコケ類や地衣類は存在していると思われていたが、ウェルズの『火星人』の存在を信じる人は、幽霊や霊魂の存在を信じる人より遙かに少なくなっていたように思われた。 もっとも、火星を舞台にしたSF小説にはそれなりのリアルさを感じるものがあった。特に、私の愛読書の1つ、 『火星救助隊』(ムーア作、亀山竜樹訳、岩崎書店、少年少女宇宙科学冒険全集、1967年) などは、実際にありそうな話であるような気がする。このSFに登場するのは、6本足のオオカミと、コウモリのような動物の2種類だけであるが、そのような「下等」な動物たちであればこそ火星に存在しても不都合はないという気になってくるのである。 次回に続く。 |