【連載】太陽系の基本知識を更新する(9)火星(3)
昨日に続いて、NHK「コズミックフロント:
●「冒険者たちが語る 太陽系のヒミツ」
についての備忘録と感想。
まず昨日取り上げた、マリナー計画についての補足。放送ではマリナー4号、6号、7号の成果が紹介されていたが、ウィキペディアによれば、この計画では1962年から1973年にかけて合計10機が打ち上げられている。但し、火星ばかりでなく、金星や水星の探査も行われていた。以下、ウィキペディアの記事を要約すると、
- マリナー1号・2号
マリナー1号は金星フライバイを目的として打ち上げられたが、打ち上げ後すぐに失敗した。
マリナー2号は1号のバックアップとして用意されており、1962年8月27日に打ち上げられた。3ヵ月半の飛行を経てミッションを成功させ、初の惑星フライバイを実現した。
- マリナー3号・4号
マリナー3号は火星のフライバイを目的としていたが、打ち上げ機先端部の切り離しに失敗した。
姉妹機の4号は1964年11月28日に打ち上げられ、初の火星フライバイを成功させた。
- マリナー5号
マリナー5号は金星探査を目的とし、1967年6月14日に打ち上げられた。同年10月に到着し、金星大気のラジオ波による観測、金星からの紫外線強度の観測、太陽粒子の採取、および惑星磁気の変動の観測を行った。
- マリナー6号・7号
マリナー6号と7号は、同型の探査機を用いた火星探査計画である。マリナー6号は1969年2月24日に、7号は同年3月27日に打ち上げられた。両機は火星の赤道および南半球上空を通過した。
- マリナー8号・9号
マリナー8号と9号は、ともに火星の地図を作るために計画された探査機である。しかし8号は打ち上げ機の失敗により失われた。
姉妹機の9号は1971年5月30日に打ち上げられ、初の火星の人工衛星となった。1971年の11月に火星周回軌道に乗り、火星表面の写真撮影と、赤外線と紫外線による大気の分析を行った。
- マリナー10号
マリナー10号は金星および水星の探査を目的とし、1973年11月3日に打ち上げられた。金星でスイングバイを行って軌道を変え、水星に向かった。二つの惑星に接近した初の探査機であり、また水星を訪れた初の(2008年までは唯一の)探査機でもある。
- マリナー11号・12号
ボイジャー計画に移行され、それぞれボイジャー1号および2号となった。
このように、当時は有人月面着陸を成功させたアポロ計画と並行して、月、水星、金星、火星というように多角的な探査が進められており、必ずしも火星だけに関心が向けられていたわけではないことが分かる。また、合計10機のうち、1号、3号、8号は打ち上げの段階で失敗しており、かなり難易度が高いミッションであったことが分かる。
もう1つのバイキング計画のほうは、火星探査に特化しており、バイキング1号が1975年8月、バイキング2号が1976年6月に打ち上げられた。昨日も述べたように、この2機のランダー(着陸船)はいずれも着陸に成功し、パノラマ写真、日没、霜が降りた写真などを送信した。
さてここからは昨日の続きに戻るが、バイキングのランダーはそれぞれ、
- ガスクロマトグラフ―質量分析計(GCMS)
- ガス交換(GEX実験)
- ラベル付きリリース(LR実験)
- 熱分解放出(PR実験)
という、4種類の生物学的実験【←機械翻訳のため一部意味不明】を行った。
このうち、3種類の実験は代謝の確認を目的としたものであったが、そのうちのLR実験では、データから陽性反応が確認された。担当スタッフたちはこれを生命の存在の証拠であると主張したが、他の研究者たちは、塩素と酸素で構成される分子が土壌の中で反応してデータに影響を与えたと批判した。3種類のうち他の2種類の実験で陰性であったことから、NASAは火星には生命がいないと結論し、人々は火星への興味を失った。これにより火星探査は小休止となった。
次回に続く。
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