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10月27日の朝、美しい朝焼けが見られた。「秋のダイヤモンド備前富士現象」はすでに終わり、太陽は備前富士の右側(南側)山麓から昇るようになった。 |
【小さな話題】相対論と量子論から見た宇宙の始まりと終わり(3) 昨日の続き。 昨日記したように、宇宙の始まりについて宇治原さんは、 ビッグバンから始まって、そこからだんだん広がって、今も宇宙は広がり続けている。【ビッグバンの前の宇宙は?という問いに対しては】宇宙に今あるもの全部が1点に集まっていた。ビッグバンのような爆発があって広がっていって今も広がっている。と解答した。これに対して橋本先生は10点満点中9点という高得点を与えた。しかし、須藤先生の採点は、5点という低いものであった。その理由は、 宇治原さんは、ビッグバンが宇宙の始まりであるという言い方をされたが、厳密に言うとビッグバンは宇宙の始まりではない。宇宙が始まって、次にインフレーションと呼ばれる加速膨張があり、そのあと我々が考えている標準ビッグバンモデルになる。但しこれは定義の問題も絡んでいる。また宇宙の始まりからビッグバンまでの時間は10-35秒というきわめて短いものなので、これは同じ【同時】だと思ってもよい。宇宙の始まりについては全く分からない。しかしビッグバンまでの間にインフレーションという時期があったということは広く信じられており標準的な考え方になっている。須藤先生によれば、「宇宙のインフレーション」というのは、非常に小さいところから一気に1030倍まで膨張するような急激かつ巨大なものであり、そのため、宇宙は非常に遠いところも実は我々のところと非常に似ているということを説明できる。この宇宙が1030倍にも膨張したということを認めると、いろんな問題がクリアに説明できるというのが魅力的だという。ちなみにこの1030というのは、1ミリの大きさの砂粒が、今見えている宇宙の大きさになるくらいまでの膨張に匹敵するという。 インフレーションが起こったことを示唆する事実として、宇宙が誕生して38万年後に宇宙を満たしていた光の分布が紹介された。宇宙の温度は3K(ケルビン)の所と、それより10万分の1ほど温度差のある所に分布している。こうした温度差は、電波望遠鏡(プランク衛星)による宇宙マイクロ波背景輻射の観測結果から明らかになった。ビッグバンは非常に高温の爆発であったが、膨張することで急激に温度が低下する。宇宙が138億年前に誕生した時の温度は3000Kという高温であったが、宇宙が膨張しているあいだに3Kまで低下したと考えられている。いずれにせよこの観測結果によれば、北極の方向と南極方向から観測された温度は全く同じものであったが、一度も混じり合ったことのない場所の温度が同じというのはきわめて不自然であり、「それらは元々同じ物だったから遠くに行っても同じ」としてしか説明できない。 ここまでのところでいったん感想・考察を述べさせていただくが、私が未だに分からないのは、まず、「138億年」とか「38万年後」といった時間が、どこで計測されたものなのかという点である。宇宙のどの場所で測っても同じ時間になるというのは相対性理論に矛盾するのではないかという気がする。もっとも私自身、「時間」については全く分からず、今年の2月頃にも疑問を述べたことがあったが、いっこうに理解が進まない。おそらく、相対性理論についてこちらの論文でも指摘されているような誤解に陥っているためかと思われる。 またもう1つ分からないのは、いまの宇宙がどんな大きさでどんな形をしているのかという議論をしたところで、我々は宇宙全体を瞬時に観測することはできない。我々が観測に使う望遠鏡というのはタイムマシンと合体したようなものであり、遠く離れれば離れるほど大昔の宇宙しか見えていないのである。なので、じつは、いま現在、遠く離れた銀河はすべて消滅しているかもしれないし、膨張から反転して収縮に向かっているかもしれない。しかしそのことを示す光が届かない限りは、その変化を察知することはできない。もっとも宇宙全体の温度がさらに低下して絶対温度に近づいた瞬間、宇宙全体が凍りついてしまってあらゆる運動が停止してしまうということはあるかもしれない。しかしそうなったとしても、その変化を観測することはできず、人間を含む全ての生命体は一瞬のうちに、つまり何が起こったのかも全く感じ取ることができないままに消滅してしまうというだけのことだろう。 次回に続く。 |