じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 4月25日の楽天版に半田山植物園のナニワイバラの写真を掲載したが、ウォーキングコース沿いにはさらに規模の大きい生け垣があり、近隣住民からも注目されている。
 モッコウバラと違ってナニワイバラには鋭い棘があり、生け垣に仕立てれば泥棒の侵入を防ぐことができるが、反面、小さな子どもが怪我をする恐れもある。以前、妻の実家でも育てていたが、棘が危険ということで伐採されてしまった。



2023年4月25日(火)



【連載】シリーズ宮沢賢治 久遠の宇宙に生きる(2)法華経と『銀河鉄道の夜』

 昨日に続いて、4月23日(日)に初回放送された、

シリーズ宮沢賢治 久遠の宇宙に生きる (1)「法華経」との出会い

についての感想・考察。

 放送の後半では『銀河鉄道の夜』の中に、法華経の考え方が暗示されている例として、次のような点が指摘されていた。
  1. ジョバンニが持っていた切符。4つに折った葉書ぐらいの大きさの緑色の紙で、「いちめん黒い唐草のやうな模様の中におかしな十ばかりの字を印刷したもの」。
  2. 自分の身を焼いて周囲を明るく照らすサソリの物語。
  3. 死者と生者の別れ。
  4. 12年間の推敲の中で、最後に削除された文章。

 このうち1.の謎の10文字については諸説あるが、北川先生は、今野勉さんの見方に注目しているという。すなわち、10文字は、『漢和対照妙法蓮華経』の表紙に梵字で書かれていた『サッダルマプンダリーカ・スートラ』、つまり『妙法蓮華経』ではないかという見方である。

 4.の削除された部分というのは、カンパネラが姿を消したあとで謎めいた男が姿を現し、
「さあ、切符をしっかり持っておいで、お前はもう夢の鉄道の中でなしに本当の世界の火やはげしい波の中を大股にまっすぐ歩いて行かなければいけない。天の川の中でたった一つのほんたうのその切符を決しておまへはなくしてはいけない。」
というように語るラストメッセージであった。最後の推敲でそれが削除された理由について、北川先生は、読者に結論を押しつけず、「その先は皆さんで考えてください。」という語りかけにとどめたため【←長谷川の表現】と説明された。

 放送ではこのあと『Miyazawakenji』と名づけられた小惑星が紹介された。




 ここからは私の感想・考察になるが、賢治の有名な作品の中に法華経の考えが反映されている例として『雨ニモマケズ』があることは以前に聞いたことがあったが【2016年4月10日の日記参照】、『銀河鉄道の夜』についての話、特に切符の文字が『サッダルマプンダリーカ・スートラ』であるという説や、最後の推敲で削除されてしまった「結論部分」があるということについては、今回初めて知った。

 『銀河鉄道の夜』を初めて読んだ時は、どちらかというとキリスト教的な印象があり、神様に召される死者たちが乗る鉄道という印象があった。仏教であれば三途の川や閻魔大王が出てくるという固定観念があって、賢治の高邁な精神を読み取れなかったためかもしれない。もっとも、この作品は別段、布教目的で書かれたものではないし、法華経から独立して読んだとしても十分に感動できる内容であるとは思う。

 余談だが、2016年4月10日の日記に記したように、この放送でも背景に使われていた賢治がコートを着てうつむいて歩いている写真は、ベートーベンの真似をしているというトリビアがある。これは弟の清六さんが語ったエピソードであるというからかなり確実。

 もう1つこれも賢治とは全く関係のない話だが、最近視た、

●NHK『コズミックフロント』奇跡の旅路 太陽大移動

によれば、太陽はじつは銀河系の中心から4キロパーセクのあたりで誕生し、本来このような中心に近い場所、すなわち6.5キロパーセクというラグランジュ半径の内側にある天体はそのまま内側にとどまり続ける位置にあった。それが、渦状腕のトルクの力でより外側に飛び出し、漂流の旅を踏み出し、現在はローカルバブルの中心を通過中であり、銀河系の中でも最も安全なルートで旅を続けているという。『銀河鉄道の夜』も松本零士の『銀河鉄道999』も創作であるが、実際の太陽そのものも実は銀河系の中を移動しており、中心部分で金属元素を吸収したり宇宙放射線を浴びるといった様々な環境をくぐり抜けてきたというのはまことに興味深い。