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【連載】笑わない数学(2)虚数(6)オイラーの公式 9月15日に続いて、NHK『笑わない数学』で2022年8月17日に初回放送された、 ●虚数 のメモと感想。 放送では、続いて、17世紀の天才たちが、√-1の存在について懐疑的な考えを表明したことが紹介された。
こうした懐疑的な見方を打ち破る重大な発見をしたのは、レオンハルト・オイラー(1707-1783)であった。オイラーは、「もし虚数が数であるならば、他の数と深い関係があるはずだ」と考え、「√-1」に「i」という記号を与えさまざまな計算に乗り出した。その結果、世界で最も美しいと言われる、 e i π+1=0 という公式を発見した。この公式には、数学の重要な定数であるeとπ、積の単位元「1」と和の単位元「0」に加えてまさにiが含まれており、虚数を認めるべきではないという考えの変更を迫るものであった。 ここでいったん私の感想・考察を述べさせていただくが、私自身がオイラーの公式を初めて知った時には、iは存在するのが当たり前だというように教わったこともあって、公式の中にiが含まれていることにはあまり疑問はいだかなかった。むしろ不思議なのは、なぜ円周率πがそのなかにあるのかということであった。iやπが含まれている理由について私が考えていたのは、これらはiの根源的な性質ではなく、複素平面(高校数学では「複素数平面」)として幾何学的に表示した際に派生した法則ではないだろうかということであった。じっさい、オイラーの公式は、 eiz=cos z+isin z というように一般化されているが、cosやsinというのは複素平面で考えればこそ出てくるのであって、πも同様ではないかと思われる。 もっとも私自身は自力ではオイラーの公式を証明することはできないし、複素平面という幾何学的表示に頼らずにこの公式が証明できるのかどうかは全く分からない【←無限級数を使えば証明できるようにも思えるが、これは最終的には円の面積を外接・内接する多角形の面積で近似していく方法に対応し、その段階でπに結びつくことになるのではないかと思われる】。 次回に続く。 |