Copyright(C)長谷川芳典 |
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少し前、岡大周辺の路上で自転車同士がぶつかる事故があり、そのうちの一人は重体になったという。現場は、以前毎日ウォーキングをしていたあたりで、ローカルニュースで映像が流れた瞬間にどこなのかがすぐに分かった。NHKニュースではこの事故を以下のように伝えている。 22日午前、岡山市内の交差点で自転車2台が出会い頭に衝突し、50代の女性が病院に搬送されました。警察によりますと、女性は頭などを打ち重体だということです。自転車同士の衝突はこれまでにも何度か、岡大構内で見かけたことがあったが、たいがいは擦り傷やアザ程度の軽症に終わっている。しかし今回のように打ち所が悪ければ重体になることもあるから恐ろしいものだ。 なお民放のニュースによれば、男子学生が運転していた道のほうには一時停止の表示があったという【写真にも写っている】。であるなら、男子学生がきっちり一時停止をしていれば事故は起こらなかったはず。また56歳の女性がヘルメットを着用していれば重体にならなかったかもしれない。 岡大周辺では相変わらずヘルメット不着用や傘さし運転の自転車を見かけるが、今回の事故を他人事とは思わず、道交法を遵守して運転してもらいたいものだ。 |
【連載】笑わない数学(2)虚数(12)虚数以外の新しい数(3)2乗して初めて+1になる数(分解型複素数)と『代数学の基本定理』 9月25日の続き。 昨日の日記の終わりのところで、『分解型複素数』: ●その数自体は1ではないのに、2乗すると初めて1になる数。但し実数ではない。 に言及した。しかしこの概念は、複素数や二重数に比べるとイマイチ納得できないところがある。そもそも「2乗してマイナス1になる数」として虚数iが登場した背景には、
があったはずだ。このうち2.は、重解は2個として数えたとしても実数の範囲では「解無し」の場合があり、n個に満たないことがある。しかし、複素数まで拡張すればぴったりn個の解を持つことになり「美しい数学」になる。 ちなみに、こちらによれば、この基本定理は、広義には、 ●体 F 上の n 次方程式は, F 上に高々 n 個の解を持つ。 と表現されており、以下のように帰納法で証明できる【改変あり】。 まず次数が零の方程式,つまり f=c は, x の方程式になっていないので, x=... の形の解はない。n-1 次方程式に対して仮定が正しく, 高々 n-1 個の解が存在するとしたとき n 次方程式 f(x) を考える.解が無ければ、議論はここで終わりだが,仮定には矛盾しない.また,少なくとも1つは解 a を持つとすれば, f(x)=(x-a)q(x) ( q(x) は n-1 次多項式)と書けて,仮定より q(x) は高々 n-1 個の解を持つので定理が示される。上記では、「n次方程式はたかだかn個の解を持つ」ということは証明されているが「必ずn個の解を持つ」ことまでは証明できていないように思われるが、体が複素数体の場合に限っては n 次方程式は常に n 個の解を含むことが知られておりこれが『代数学の基本定理』となる。但しウィキペディアではもう少し広範囲な記述があり、因数定理を機能的に用いることにより導かれるという。 ということで元の話題に戻るが、2乗して+1になる数というのは、χ2=1 で求められる。であるならば、 χ2−1=(χ+1)(χ−1)=0 と因数分解ができるので、この2次方程式の解は−1、+1の2個となる。2次方程式の解は上記の基本定理から高々2個なのでこれで解は尽くされていることになるはずだ。にもかかわらず、 ●その数自体は1ではないのに、2乗すると初めて1になる数。但し実数ではない。 というのは相当無謀なことのように思える。少なくとも、『体』には当てはまらない世界を構築しようとしているように見える。 じっさい、分解型複素数の全体は『体』ではなく『環』になるとのことである。ちなみに、群と環と体の違いは、ざっくり言えば、 ●群は加法・減法について閉じている。 環は加法・減法・乗法について閉じている。 体は加法・減法・乗法・除法について閉じている。 ということになるようだ。 ネットで検索したところ、こちらに、分解型複素数の特徴についていくつかの記述があり、抜粋させていただくと、以下のようになる。
とにかく、分解型複素数の世界を作るには何らかの意義がなければならない。Bingに質問したところ、以下のような回答をいただいた【Webの制約上、うまく表示されていない箇所あり】。 分解型複素数は、数学において2つの実数χとyとj = +1 を満たす実数でない量を用いてz = χ + yj と表される数です1。通常の複素数との最も大きな幾何学的な違いは、通常の複素数の乗法がR2における通常の自乗ユークリッドノルムχ2 + y2に従う一方、分解型複素数の乗法が自乗ミンコフスキーノルムχ2 - 1 に従うことです1。分解型複素数は、通常の複素数にはない非自明な(つまり、0でも1でもない)冪等元を含むという興味深い性質を持ちます1。ということで、イマイチ分からないものの有用性はあるようだ。また、ウィキペディアに記されているように、二元数は本質的には、『複素数体』、『分解型複素数環』、『二重数環』の3種しか無いとのことだ。その証明はこちらに記されており、わずか10行程度のシンプルなものであった【といっても私には一部の変形しか理解できない】。 次回に続く。 |