じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



09月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
クリックで全体表示。



 数日前、近隣のドラグストアで買い物したところ、合計金額(税込み)がジャスト500円、ポイント使用により支払いゼロ円となった。
 税込み500円の商品を単品で購入する場合は別として、複数の商品の合計金額がジャスト500円になるということは滅多に無いことだ。もしかしたら70+α年の人生で初めてであったかもしれない。
 今回の場合、8%税込みで、袋入りミカンが322円、ドリンクタイプのヨーグルト40%引き商品が89円、2本で178円となり322+178=500円ジャストとなっていた。
 いっぽう、ポイントは500ポイントごとに使用が可能でお釣りが出ないため、普通は500円未満の金額は現金で支払っているところだが(例えば510円の時は500ポイントを使用し、差額の10円は現金払い)、今回はジャスト500円のため差額の支払いはゼロ。大した出来事ではないが、これまた人生初の体験であった。



2023年9月25日(月)




【連載】笑わない数学(2)虚数(11)虚数以外の新しい数(2)2乗して初めてゼロになる数(二重数)

 9月22日に続いて、虚数に関連する話題。この連載はもともと、NHK『笑わない数学』で2022年8月17日に初回放送された、

虚数

のメモと感想として開始したものであるが、すでに放送内容に関する感想は終了。この先の発展的考察としては、
  1. 複素数以外の新しい数としてはどのようなものが考案されているか? →二重数、四元数など。
  2. そもそも『数』とは何か? →量と質、名義尺度や順序尺度などの区別、「数」と「数でないもの」はどこで区別されるのか?
  3. 虚数や複素平面といった数の拡張のアナロジーとして、VRや宗教空間(極楽浄土、天国、地獄など)を創造(想像?)することは有用か?
といった問題がある。但し3.については話が大きくなりすぎるので、別の連載で扱う予定。

 ということで、まずは1.の「新しい数」について考察する。9月22日にも述べたように、この新しい数は、
  • 2乗して−nになる数(nは自然数)
  • n乗して−1になる数(nは自然数)
という方法では複素数以外には作ることができない。では、他にどんな方法があるのか? そこで思いつくのが0(ゼロ)にまつわる新しい数である。これには、
  1. 任意の数a(但しa≠0)に対して、j=a/0というjを考案する。
  2. n乗して初めてゼロになるような、k【但しn≧2】を考案する。
などが考えられる。但しこのうちの1.については、9月12日の日記に述べた通りであり、そのような新しい数を考案し、かつ従来の四則演算の諸法則がすべて成り立つと仮定すると、「すべての数は等しい」が証明されてしまうことになり、数学としては面白くないし、現実世界のモデルとして活用できる可能性も殆ど無いように思われた。

 ということで残るのは2.であるが、まずはn=2の場合、すなわち、

●2乗すると初めてゼロになる数

を考えてみることにする。といってもそんなことは数学者なら誰でも思いつく発想であり、すでに『二重数(または双対数)として知られている。ウィキペディアでは、
数学における二重数(にじゅうすう、英: dual numbers)または双対数(そうついすう)とは、実数 a, b と ε2 = 0(複零性)を満たす ε を用いて z = a + bε と表すことのできる数のことである。
二重数全体は、実数全体に ε2 = 0 を満たす新しい元 ε を添加して得られる。二重数全体からなる集合は、実数体上の二次元の可換かつ単位的な結合多元環(二元数)の一種になる。二重数全体の成す平面は、交代的複素数平面 (alternative complex plane) と呼ばれ、通常の複素数平面 C と分解型複素数平面とに対して相補的な関係にある。
というように説明されている。
 ネットで検索したところ、こちらに、もう少し分かりやすい説明があった。二重数の特徴について抜粋させていただくと、
  1. 足し算は問題無くできる:a+bε+c+dε=(a+c)+(b+d)ε
  2. かけ算は:(a+bε)(c+dε)=ac+(ad+bc)ε
  3. 「二重数平面」:複素平面ではかけ算は回転のように見えるが、二重数を縦軸とした「二重平面」では「剪断(ずれ変形)」のようになる。
  4. わり算:a+bεの逆数は、1/a−(b/a2)εとなる。この逆数をかけることがわり算になる。【但し、実数部aがゼロの時は逆数は存在しない】
  5. 代数方程式の解は実数解以外にもある。例えばχ2−6χ+9=0の実数解は3のみであるが、二重数まで範囲を広げると、3+aεのすべてが解となる(aは実数)。
  6. このほかに、零因子、単位円などに関する興味深い特徴がある。

 リンク先の終わりのところでは、さらに、

●その数自体は1ではないのに、2乗すると初めて1になる数。但し実数ではない。

というものに言及されていた。これがまさに「分解型複素数」と呼ばれているものである。

次回に続く。