じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 ウォーキングコース沿いで見かける西洋朝顔(品種は未確認)。真夏の頃よりも花の数が多く、しかも2色で咲き分けているように見える。ネットで検索したところこちらにヒントが記されており、どうやら、「夏が過ぎて涼しくなった秋には、前日に咲いた花が萎むことなく翌朝まで咲き続けた結果」であるようだ。写真の品種の場合は、
  1. 1日目に青紫色の花が咲く。
  2. 真夏の暑い頃は1日目の夕方までに萎むが、この時期は萎むことなく2日目の午前中まだ咲き続ける。その際、色はピンクに変わる。【青紫色の色素が、時間経過や紫外線などの何らかの原因でピンク色に変化、もしくは透明化するため】
  3. ピンクの花は2日目の午後には萎む。
ということになる。実際、萎みかけている花はピンク色になっていた。



2023年11月5日(日)




【連載】笑わない数学(5)非ユークリッド幾何学(3)幾何学の有名な諸定理と、証明に熱中したの思い出

 11月3日に続いて、10月4日にNHK総合で初回放送された、『笑わない数学 シーズン2』:

非ユークリッド幾何学

についてのメモと感想。

 放送では、当たり前とも思えるような5つの簡単な公理を出発点にするだけであらゆる図形の証明ができてしまうという、ユークリッド幾何学の素晴らしさが指摘された。その中では、
  • 4世紀に発見された『パップスの定理』(2つの直線の上にそれぞれ3つの点を指定しそれらを結ぶと、交点は常に一直線上に並ぶ)
  • ピタゴラスの定理
  • モーリーの定理
  • ヒポクラテスの定理
  • フォイエルバッハの定理
  • ブリアンションの定理
といった複雑に見える定理も、たった5つの公理だけから証明できるということが例示された。




 ここでいったん脇道にそれるが、YouTubeの解説動画の中にも興味深い定理や証明が紹介されている。
 【モリーの定理】数学の誕生から2000年後に発見された奇跡の定理【ゆっくり解説】では、
  1. ボヤイの定理(ボヤイ=ゲルヴィンの定理):1833年に発見。
    面積の等しい2つの多角形A、Bが存在した時、Aを有限回分割し組み直すことでBと合同な図形を作ることができる。例えば正方形Aを分割して並び替えると、同じ面積の正三角形Bと合同な形をつくることができる【鋏み合同】。なお、3次元への拡張は否定的に解決されている。
  2. ナポレオンの定理
    【ウィキペディアからの引用】任意の三角形に対し各辺を1辺とする正三角形を描き、これら3つの正三角形の重心同士を結んだとき、この三角形は正三角形となる。この三角形をナポレオンの三角形という。
    3つの正三角形をもとの三角形の外側に描く場合(右の図)と内側に描く場合で2通りの三角形が考えられるが、いずれも正三角形となる。この2つの正三角形の面積の差は、もとの三角形の面積と等しくなる。
    ナポレオン三角形の重心は、もとの三角形の重心と一致する。 ナポレオンが発見したと言われるが証拠はない。
  3. モーリーの定理
    【ウィキペディアからの引用】1899年に発見。任意の三角形においてそれぞれの内角の三等分線を引く。各辺に近い線同士の交点を P, Q, R とすると、三角形PQR は正三角形になる。

 このように、ユークリッド幾何学が成立して2000年も経ってから発見された定理もあるというからスゴい。動画では、他に『トレミーの定理』や『ヴィヴィアーニの定理』にも言及されていた。

 Youtubeでは、すでに証明されている定理についての新しい話題も紹介されている。2000年不可能と言われた方法で「三平方の定理」を証明した天才高校生【ゆっくり解説】という動画では、アメリカ・ルイジアナ州ニューオリンズ出身の2人の高校生が、2023年3月にプレゼンを行ったという新しい証明法の概略が紹介されている。この証明では三角比や三角法が用いられている。しかし、三角比や三角法の定理の中には三平方の定理から導かれたものが多く、下手に適用すると循環論法になってしまう。高校生たちの解法は、「三平方の定理に基づかない三角法」を用いたもので循環論法は回避されている。具体的には無限等比級数と正弦定理を用いたものであるが、正弦定理は三平方の定理とは独立しているので証明に用いることができるとされた。

 ここでBingに、「ユークリッド幾何学で発見された最も美しい定理を5つ紹介してください」と尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。
ユークリッド幾何学には多くの美しい定理がありますが、ここでは5つを紹介します1。
1. **ピタゴラスの定理**: 直角三角形において、斜辺の2乗は、他の2辺の2乗の和に等しい?。
2. **円周角定理**: 円周上の任意の2点とその間を結ぶ弧によって作られる角は、その弧が含まれる円の中心角の半分に等しい1。
3. **相似定理**: 2つの図形が相似である場合、それらの対応する辺の比は一定である1。
4. **平行線公準**: 与えられた直線と点に対して、その点を通り、与えられた直線に平行な直線がただ1本存在する1。
5. **正多角形の内角の和定理**: n角形の内角の和は、(n-2)×180度に等しい1。

以上の定理は、ユークリッド幾何学の基礎を築いたものであり、現代数学においても重要な役割を果たしています1。.

(1) ユークリッド幾何学 - Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E5%B9%BE%E4%BD%95%E5%AD%A6.
(2) ピタゴラスの定理 - Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%BF%E3%82%B4%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%90%86.
(3) カール・フリードリヒ・ガウス - Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%82%A6%E3%82%B9.
(4) ユークリッド 光の直進や反射の法則を発見した科学者 .... https://global.canon/ja/technology/kids/history/01_euclid.html.
(5) 【ユークリッドの幾何】 1-2.ユークリッドの原論-構成と定義. https://mathematica.site/web-mag/euclid/euclid1-2/.
(6) Getty. https://media.gettyimages.com/photos/pythagorean-theorem-picture-id1197499442?b=1&k=6&m=1197499442&s=612x612&w=0&h=fgbsG23Y1TAk5BnJAC52HuqgYrpB7ufNoksbpZxDuzw=.
 このうち4.は定理ではなく公準なのでその点を指摘したところ、誤りは認めたものの代替の定理は紹介してもらえなかった。さらに「ユークリッド幾何学の中で最近になってから証明された新しい定理にはどのようなものがありますか?」と尋ねたが、
ユークリッド幾何学において、最近に証明された新しい定理はありません。ユークリッド幾何学は、古代ギリシャの数学者ユークリッドによって定式化されたものであり、その後、多くの数学者によって研究され、発展してきました1。しかし、現代数学においても、ユークリッド幾何学は、数学の基礎を築く重要な分野の一つであり、多くの美しい定理が存在しています1。.
という回答内容で終わってしまった。さらに、1800年以降ならどうかと尋ねたが、「調べたところ、1800年以降にユークリッド幾何学において新しく発見された定理はありませんでした1。しかし、現代数学においては、ユークリッド幾何学を拡張したり、一般化したりする研究が行われています。例えば、非ユークリッド幾何学や、位相幾何学などがあります1。.」とのことで、上掲のボヤイの定理やモーリーの定理には言及されなかった。




 幾何学の証明はとっつきにくいところがあり、これが発端で数学が苦手になる人もおられる。そのいっぽう、クイズの謎解きのような面白さもあり、いったんハマると何時間も没頭するような魅力もある。
 私が中学生の頃、チェバの定理を五角形に拡張したらどうなるか、というような問題が話題になり、多くのクラスメイトが挑戦したことがあった。私自身は途中で挫折したが、解けた人もいた。この拡張についてはこちらの論文で教材開発として紹介されている。

 私自身の記憶に残っている美しい幾何の問題としては、
  1. 頂角が20°で、底角から60°と50°になるような斜線を引いた時にできる角の大きさを求める問題【こちらに関連情報あり】
  2. 正方形の中に1/4の円を4つ描いた時、その内部にできる領域の面積を求める問題【こちらに当該図形あり】
などがあった。特に1.は学部生の頃にたまたま話題となり、深夜まで没頭して自力で解決できたという達成感があった【もっとも当時の私は完全な夜型生活をしており、朝は11時頃に起きて、夜は翌朝4時頃に寝ていたため、別段徹夜をしていたわけではなかったが】。

 次回に続く。