Copyright(C)長谷川芳典 |
※クリックで全体表示。 |
少し前に岡大生協ブックショップで購入した『天文年鑑 2024』。価格は1500円だが、生協で購入したので150円相当のポイントがつく。
昨年12月14日にも記したように『天文年鑑』は1963年版以来毎年買い続けており、今回で62冊目となる。昨年も記したが、この1年間で購入した本はこの1冊のみ。 ざっとめくってみたが、2024年は日本では日食も月食も一度も見られないという珍しい年になるという。いっぽう、北アメリカでは4月9日に皆既日食が見られる。皆既日食は、過去に3回(小笠原沖、イラン、エジプト)見に行ったことがあるが、近年、観測ツアーの代金が高騰しており、この日食の場合も最安値で65万円(2名1室、燃油サーチャージ約6万円別)となっており、以前のエジプトのツアーの2倍以上となっている。まだ一度も観たことの無い方にはオススメだが、私自身は日食見物だけのためにそこまでお金を払って行きたいとは思わない。 このほか、日本で観られる惑星食が3回あり、このうち12月8日の土星食は岡山では接食になるという。これはこれで珍しい。その翌日夕刻には海王星食もあるが、まだ空が明るいため観測不可能。 なお、月齢を大ざっぱに推定する計算法に必要なマジックナンバーは、2024年は「17」となる。 なお、『天文年鑑』とともに購入した年賀状は70枚。私自身は定年退職を機会に、年賀葉書によるご挨拶を例外なく一方的に廃止させていただいたが、妻と連名で投函する親戚宛と、妻が知人宛に差し出す賀状は購入を続けている。昨年は60枚であったが、枚数が足りずにあとから買い足したということだったので、今年は10枚多い70枚とした。 |
【連載】笑わない数学(8)ケプラー予想(2)円充填 昨日に続いて、11月15日にNHK総合で初回放送された、『笑わない数学 シーズン2』: ●ケプラー予想 についてのメモと感想。 放送では続いて、立方最密充填配置の導入として、平面上に円盤を並べる『円充填』が紹介された。前回も述べたように、円を規則的に並べる方法【円の中心が六方格子になった『六方充填配置』。円の中心が直線上になるように並べ、その上下は半径の長さ分だけずらして直線上に並べる】が最も密度が高くなることがガウスによって証明されている。なおガウスの証明については、こちらのノート【期間限定】に、 ガウスは、オイラーの時代に活躍したラグランジュという数学者の研究成果と合わせてこの問題を解決したのですが、実はガウスもラグランジュも円充填問題の解決が直接の目的ではなかったようです。「数論」と呼ばれる分野におけるラグランジュの功績と、その功績をまったく別の分野で活用したガウスの成果を知った後世の数学者たちが、「あれ?2人の研究成果を使えば、規則的な円の充填問題を解決したことになるのでは!?」と気づき、結局、「事実上、ガウスが解決したと言ってよいだろう」ということになったそうです(以上の理由から、ラグランジュが解決したとする書き物もあるようです)。という追記があり、放送でも「ガウスはラグランジュの研究と合わせて事実上、規則的配置の場合を証明したとされる」というテロップが表示されていた。 いずれにせよ、ガウスの証明は、円を規則的に並べた場合【専門的には『正規配置』】を前提としていた。 その後、ハンガリーのラスロ・フェイエシュ=トート(1915-2005)が1940年に『ある幾何学の定理について』という論文で、ランダム(非正規)な配列を含めて、六方充填配置が最も高密度であることが証明された。彼はいきなり無限平面で考えるかわりに、まずは有限の広さの領域に円を並べていくという方法を採用した。
ここまでのところで私の感想・考察を述べさせていただくが、ラスロ・フェイエシュ=トートによる証明は放送で紹介できるほどの分かりやすい内容であり、この私でも理解できた。こんなに簡単な証明に誰も気づかなかったのが不思議なくらいである。もっとも、彼の証明はガウスの証明を前提としている。ガウスの方法まで理解するのはかなり難しそうだ。 あと、1つ気になるのは、 円の密度=(π/T)×nr2≦(π/2√3)×(n個の多角形の面積の合計)/Tという部分の下線部のところだ。平面充填の問題自体は無限に広がる平面を前提としているのでそれでよいのだが、例えばnが1000個の時はTには一致しない。もっとも、「(n個の多角形の面積の合計)/T」の値はnが小さいほど小さくなるはずなので、nが無限でないからといって非正規配置のほうが密度が高くなるということはあり得ないように思われる。 このほか、
次回に続く。 |