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ウォーキングコース沿いで見かけたメスのトンボ。昨日掲載したメスのシオヤトンボ【画像右】と比べると、縁紋が黒色になっていることからシオカラトンボの可能性が高い。 |
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【連載】アルツハイマー病 克服に挑む(1) NHK-BSで5月14日に再放送【初回放送は3月7日。NHK-BSでは3月13日】された、『フロンティア』で ●アルツハイマー病 克服に挑む についてのメモと感想。 アルツハイマー認知症については、昨年6月のサイエンスzeroでも取り上げられており、以下の日付で考察したことがあった。
今回の放送は上掲のサイエンスzeroの内容を繰り返したような内容であり私が視聴した限りでは特に目新しい発見は紹介されていなかったように思われたが、発症の確率が高いと想定される家系の人たちの気持ちが伝えられており、(未発症の人を含む)患者目線がうまく取り込めていたように思えた。 昨年のサイエンスzeroの時にも言及されていたが、アルツハイマー病の場合、症状が顕著になってしまった時点ではもはや元に治すことはできない。これを予防するためには、20年以上前から早期に発見をした上で原因物質を取り除く必要があるが、これだけ長いスパンになると薬の有効性を治験で確認することは難しい。何らかの薬を長期間服用したことでアルツハイマーの発症が防げたとしても、それが薬の効果なのか、それとももともとその人は遺伝的に発症する確率が低かったのかを見極めることは簡単ではない。家族性アルツハイマー病の一族が研究対象に選ばれる理由は、単に遺伝病自体の治療を目的としているだけではない。おそらく以下のような道が開けることになると期待される。
元の話題に戻るが、放送のChapter1では『アルツハイマー病 克服に遺伝子から挑む』という話題が取り上げられた。放送ではまず実際にアルツハイマー病を発症したスーザン・ベルさんの事例が紹介された。スーザンさんは以前は中学校の校長であったが、定年退職後に代用教員を務める中、単語のスペリングを忘れる、短期記憶に関する障害、車を運転中の事故、塗り絵の作業がうまくできないといった現状が伝えられた。一番の心配は、この先の病気の進行であった。 続いて、家族性アルツハイマー病の概略が説明された。
研究参加の5年後には男性の1人が発症、49歳で亡くなった。残りの3人は2023年の時点で55〜58歳になっていたが、いまだ発症していない。また女性(レイチェル)はその後、遺伝子が引き継がれていないことを確認したが、残り2人の男性はいまだ検査結果を確認していないという。 DIANの主任研究員によれば、アルツハイマーの異状は発症の15〜20年前から始まっている。アミロイドβが溜まり始めた20年前は、まだ記憶障害もなく発症に気づかない。この20年間と、発症後の病気の進行の10年間を合わせた30年間の過程がある。例えば70歳で発症した人は50歳頃からアミロイドβが溜まり始めている。 もう1つの『タウ』の変化は急激に起こる。画像検査でわずかなタウが確認されると、1年後には脳全体に広がるという。 以上のように、家族性アルツハイマー病の家系の人たちの協力のもと、アルツハイマー病の発症過程についてはかなりのことが分かってきた。しかし、DIANの主任研究員ランダル・ベイトマンさんが、 ●医師ならば患者や家族を助けたいと願うでしょう。そのためには介入して何かを変える必要があります。それが(医学と)科学の違いです。医師は科学者として病気を理解するだけでは不十分です。病気を何とかしたいと考えるのです。 と語っておられたように、医学では治療や予防を実現するための更なる研究が求められるが、そう簡単にはいかない。 次回に続く。 |