じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 昨日の日記で、2011年9月に購入した腕時計の液晶画面が全く表示されなくなり、その後いったん直ったかと思ったら今度は2012年1月1日の午前中の時刻を表示するようになったと記した。
 その腕時計を窓際に置いたままにしたところ、12月6日の14時過ぎにいったん正確な日時が表示されるようになっていた。しかし、その数時間後には液晶画面の文字がすべて消えてしまった。

ということで、この腕時計の表示だけを唯一の真理であるとするなら、いったん、2012年1月へタイムスリップしたあと短時間だけ現在時刻に生還、その後再び日時不明の闇の空間を彷徨うようになってしまったことになる。

 いっぽう、より科学的に考えるならば、
  • この腕時計が数日間使えなくなったのは、バッテリー劣化が原因ではないかと思われる。
  • 外出時、夏場であれば半袖を着ているので腕時計には常に日があたっているが、冬場は長袖のため袖の下に隠れてしまってあまり充電ができない。
  • 何年間も使っているうちに、バッテリーの劣化が進み、人為的に光をあてても日時は工場出荷時に初期設定されていた2012年1月にリセットされた。
  • しかし、その後電波時計の機能により、いったんは現在時刻を表示。
  • その後再び電池の残量が減って何も表示されなくなった。
ということになるのだろう。引き続き、この腕時計を観察していく予定だが、外出時には必ず別の腕時計を腕にはめるようにしたい。12月3日に記したように、外出時は腕時計無しでもスマホ、歩数計、デジカメなどで現在時刻を知ることはできるのだが、旅行先などではやはり必要。なので日頃、腕時計をつけないで外出をしていると宿泊先などに置き忘れてしまう恐れが大となる。不必要であっても毎日腕時計をつけて外出していれば、腕に時計が無いと違和感があるので置き忘れの心配がない。

追記]12月7日の午後、この腕時計を窓際の明るい場所に数時間放置したところ、再び復活し、現在時刻を表示するようになった。


2024年12月7日(土)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「音楽を聴くと踊りたくなる?」とエコーイック

 12月6日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. 音楽を聴くと踊りたくなるのはなぜ?
  2. なぜ警察官やパイロットの帽子は上が出っ張っている?
  3. ベートーヴェンの肖像画が怒っているのはなぜ?
という3つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。

 音楽を聴くと踊りたくなる理由については、放送では「人間が言葉を話す生き物だから」が正解であると説明された。
 神経科学の観点から人間と音楽の関係を研究している藤井進也さん(慶應義塾大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 「踊る」と一言で言ってもいろんな形がある。音楽を聴きながら足でリズムをとったり、机を指でたたいたりするのも立派な踊り。つまり「踊りとは耳で聴いた音に合わせて体を動かす」ということだが、実は赤ちゃんも持っている能力。
  2. 放送では、藤井さんが生後3か月の赤ちゃんに行った実験が紹介された。赤ちゃんはこの時点でリズムに合わせてからだを動かしていた。
  3. なぜ人間には踊る能力があるのか? その大きな理由の1つとして考えられるのが「人間が言葉を話す生き物だから」。私たちが幼いときどうやって言葉を覚えるのかを考えてみると、多くの場合、耳で聞いた言葉を何とか自分でも繰り返そうとする。言葉を発するというのも、口やのどなどの体のパーツを動かすことだと言える。つまり私たちは、言葉を覚えるのに「耳で聞いた音に合わせて体を動かす」という踊りと同じ仕組みの行動を日々繰り返している。
  4. 音を聞いて口やのどなどの体を動かすのが言葉、手や足など体を動かすのが踊り。言葉を日常的に扱う人間にとって、同じ仕組みである「音楽に合わせて踊る」という行動はとても親しみやすい。音楽を聴いて踊りたくなるのも必然。
  5. さらに人間にとって、多くの人と踊るということには体を動かす以上の意味がある。おそらく古来より踊りを通して心を1つにし、みんなで協力して大きな問題に立ち向かってきたという経験も、現代の我々に踊りが受け継がれている理由の1つだと思われる。

 藤井さんによれば、人間が一番踊りたくなる曲に関しては以下のような研究がある。
  • イギリス・バーミンガム大学の研究:複雑すぎず、かといって簡単すぎない、ちょうどいい難しさの音楽がいい。
  • アメリカ・カリフォルニア大学で行われた実験:人間が最も踊りたくなる曲に選ばれたのはスティーヴィー・ワンダーの『Superstition』。

 とはいえ、どういう曲で踊りたくなるのかは、それまで生きてきた環境、過去の経験も関係してくると思われる。そのような後天的影響が少ない【環境やそれまでの経験に左右されない】赤ちゃんの反応を見れば本当に一番踊りたくなる曲が分かるかもしれない。
 ということで、番組では生後1年以内の赤ちゃんに来てもらって検証を試みた。ところが撮影しようとすると泣き出してしまった。この場合、泣いていて手足を動かしているのか、音楽を聴いて動かしているのか、の見分けがつかなくなる。藤井さんが過去に行った実験では、泣き出した赤ちゃんのデータは除外。も約100人の赤ちゃんからデータが取れたのは30人ぐらいであったという。
 ということで実験は3人の赤ちゃん(生後7か月の女児1名、生後3か月の男児2名)それぞれの自宅で母親に撮影され、後日その映像を藤井さんに確認してもらう形で行われた。使われた曲とその結果は以下の通り。
  • マイケル・ジャクソンの『Black Or White』:この曲のリズムに合わせて踊るオウムがいたことから赤ちゃんも踊ってくれると期待された。3人の赤ちゃんのうち生後3か月の男児は曲の前半では動きが見られたが後半のラップの部分からは動きが少なくなった。
  • Creepy Nutsの『Bling-Bang-Bang-Born:日本人200人を対象とした街角調査で一番踊りたくなる曲として挙げられた。3人はそれ なりに動いていたが、リズムに合わせて踊っているようには見えなかった。言葉がたくさん入っているので、踊るよりも聴くほうに注意を集中していたのかもしれない。
  • スティーヴ ィー・ワンダーの『Superstition』:上述のように、カリフォルニア大学で行われた実験で最も踊りたくなる曲に選ばれていた。3人ともリズミカルな動きが出ていた。動くだけでなく、発話も見られた。




 ここからは私の感想・考察になるが、まず、(歌と踊りではなく)歌と言葉の関係については、2020年7月27日の日記でも取り上げたことがあった。そこでは、
  • 歌詞が先かメロディーが先か?
  • (岡ノ谷先生)私たちは、歌があってそれに歌詞を乗っけていった。
  • 言葉を喋るシジュウカラ
などへの言及があったが、歌と踊りの連動については言及されていなかった。

 さて「音楽を聴くと踊りたくなるのはなぜ?」だが、私自身は別段踊りたくなることはない。また、そもそも踊りながら歌を歌うというのは、日本ではピンク・レディーが大人気となった1976年頃からであり、それ以前の歌手は、それほど派手な動きはしていなかったように思う。私が子どもの頃の歌手と言えば春日八郎、もっと前には東海林太郎などが有名だったが、こちらの動画が示すように、マイクの前で直立不動で歌うのが一般的であったように思う。そんなこともあって、私個人としては、

●音楽と踊りは本来別物。但し最近は、メロディーや声の美しさよりも、リズムと踊りで(私から見れば)お経を唱えているような歌が流行しているらしい。

という程度のことしか分からない。

 「音を聞いて口やのどなどの体を動かすのが言葉、手や足など体を動かすのが踊り。言葉を日常的に扱う人間にとって、同じ仕組み」という藤井さんの主張は分からないでもないが、音声で言葉を発することには言語中枢が深く関わっているはずだ。また、音声言語では、リズムに合わせるというより50音に当たるような多様な音を出すように模倣されていく。体の動きはそこまで複雑ではないし、音声と1対1に対応しているわけではない。なお行動分析学の創始者であるスキナーは、音声の模倣は『エコーイック(echoic)』と呼んでおり、リズムに合わせて体を動かす行動とは区別している。【チコちゃんのような一般向け番組の中では無理とは思うが】いずれにせよ、赤ちゃんの発達の初期段階において、音声の模倣と、リズムに合わせて体を動かす行動がどのように連動しているのか、もしくは独立した現象なのか、より詳細な説明が求められるように思う。

 次回に続く。