じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【連載】チコちゃんに叱られる! 「なぜエレベーター待ちはイライラする?」(その1)「検証実験」の問題点 6月22日に続いて、6月13日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
放送ではまず、「電車待ち」や「信号待ち」に比べて「エレベーター待ち」のほうが待ち時間が長く感じられること、その結果としてイライラする、ということについて検証実験が行われた。方法は以下の通り。
また1分後の条件別のイライラ度は、
ここまでのところでいったん私の感想・考察を述べるが、デモンストレーション実験とはいえ、上記の実験結果を「エレベーター待ちの体感時間が最も長く、またイライラしていた」と証拠づけるのは少々問題があるように思う。 まず、体感時間やイライラ度の数値はかなりの個体差があり、平均値で比較すると極端に数値が大きかった人の影響を受けやすくなってしまう。 もしエレベーター待ちの体感時間が最も長く感じられるという法則性があったとすれば、それぞれの参加個人の比較(個体内比較)において、 ●エレベーター待ち体感時間>電車待ち体感時間、エレベーター待ち体感時間>信号待ち体感時間 という大小関係が示されるはずだが、実際にそのような結果になったのは、6人中3人のみであった。ノンパラメトリックの検定ではこの程度の傾向は有意差無しと判定されるだろう。 イライラ度の比較も同様であり、平均値での比較は極端に大きな数値が反映しやすくなってしまう。じっさい、各参加者ごとの個体内比較で ●エレベーター待ちイライラ度>電車待ちイライラ度、エレベーター待ちイライラ度>信号待ちイライラ度 という大小関係を示した参加者は、6人中2人に過ぎず、ノンパラメトリックの検定で有意差が出るほどの違いではなかった。 上掲の実験は、以上のほか、以下のような問題を含んでいる。
次回に続く。 |