【連載】チコちゃんに叱られる! 「サッカー日本代表のユニフォームが青いのはなぜ?」/スクールカラー/青と赤はどちらが強い?
6月20日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
- サッカー日本代表のユニフォームが青いのはなぜ?
- なぜ牛たんは仙台名物?
- 【こんなんのコーナー】手のひらに穴があいちゃう現象
- なぜ寝るときに見る夢と将来の夢は同じ「夢」?
という4つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。
さて日本代表のユニフォームの色の話題だが、ラグビー、バスケットボール、バレーボールの場合はいずれも赤と白から構成されている。この点サッカー日本代表だけが青いというのは確かに不自然のように見える。放送では「東大の色」が正解であると説明された。
後藤健生さん(サッカージャーナリスト)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
- サッカー日本代表は『サムライブルー』と言われるように色で知られている。
- アルゼンチン代表は空色(と白)、ブラジル代表は黄色(と緑)、スペイン代表は赤色(と黄色)というように、多くの国では代表チームのユニフォームの色は国旗や国章の色をモチーフにしている。日本でもラグビー、バスケットボール、バレーボールのユニフォームは、日の丸を連想させる赤や白を基調としている。
- サッカー日本代表が国際試合に初めて出場したのは1917年極東選手権競技大会。極東選手権は1913年に東アジア初の国際スポーツ大会として開催され、1917年開催の第3会大会は東京が開催地であった。国際的な大会を開催するのはこれが初めてだった。
- 当時のサッカー日本代表は各チームからの選抜による構成ではなく、国内予選で優勝したチームがそのまま代表をつとめることになっていた。1917年に選ばれたのは東京高等師範学校(現・筑波大学)で、ユニフォームの色はえび茶色だった。代表チームのユニフォームもえび茶色が採用された。
- しかし、1917年〜1927年の10年間における極東選手権の日本代表の成績は1勝9敗(対中華民国0勝5敗、対フィリピン1勝4敗)と惨敗だった。
- 1930年、極東選手権の開催地は再び東京となった。そこで、初めて、各チームの中から優秀選手を選抜して日本代表チームを結成することになったが、全国から選手を集めてテストマッチをするにはお金・時間が無かった。当時の日本のトップリーグである関東大学リーグで最強とされていた東京帝国大学(現・東京大学)の選手を主体にいくつかの大学からの有力選手を追加する形で初の選抜チームを結成した。その時の代表チームのユニフォームは、東京帝国大学のライトブルーの色がそのまま採用された。当時の写真は白黒なので色を判別することはできないが、当時のユニフォームの色を記録した『服飾考』に「上衣はブルーでパンツは白」という記録が残っている。このチームは悲願の初優勝を果たした。
- 1934年の第10回極東選手権大会でも日本はライトブルーのユニフォームを着た選抜チームを作った。
- 1936年のベルリン大会に初めて出場。この時は早稲田大学が主体だったがライトブルーのユニフォームを着用した。優勝候補と言われたスウェーデンに勝利しベスト8まで勝ち残った。
- こうして青色がよい結果を残したことから、1956年メルボルンオリンピック【上衣が青】、1964年メキシコオリンピック【上衣は白、パンツがネイビー】、1988年ソウルオリンピック【上衣は白だが肩のあたりが青い縞、パンツは青】、というように青が使われ続けていた。
- 1988年、日本代表の横山監督の意向で、当時の世界の強豪チームが国旗の色を使用していたことにならって日本チームも日の丸をイメージした赤色のユニフォームに変更された。しかしワールドカップ1次予選で敗退するなど成績はふるわず世間の評判もイマイチであったため赤色のユニフォームは消滅。
- 1992年、初の外国人であるハンス・オフト監督のもとで青色主体のユニフォームが復活しアジアカップで優勝したことから、青は「ゲンのいい色」として定着した。
- 後藤健生さんは、同じ青でもネイビーより東大色であったブルーのほうがいいと私見を述べておられた。
ここからは私の感想・考察を述べる。
まず、大学のスクールカラーの話題だが、岡大でもスクールカラーが制定されている。こちらによれば、岡山大学BLUEがスクールカラー(DIC:183(C90%,M37%))であり、
●ブルーの色調は、岡山大学の叡智を表現するとともに、「晴れの国」の青空を象徴しています。
と説明されている。
東大のスクールカラーについてはこちらに「淡青」という記述があるが由来は不明。さっそくChatGPTに尋ねたところ以下のような回答をいただいた。
東京大学のスクールカラーが「淡青(たんせい)」になった由来は、**旧制第一高等学校(通称・一高)の伝統**にさかのぼります。
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- ### 背景と由来:
- **一高の伝統色としての淡青**
東京大学の前身の一つである「旧制第一高等学校」は、明治時代から\*\*淡い青色の「淡青」\*\*を自校の色として使っていました。これは、学生の制帽や校旗、応援団の衣装などにも取り入れられ、象徴的な存在となっていました。
- **東大への継承**
戦後、学制改革によって第一高等学校は廃止され、東京大学に統合される形となります。その際、**一高の精神や伝統を引き継ぐものとして、「淡青」が東京大学のスクールカラーとして採用された**のです。 - **「淡青」の象徴性**
「淡青」は、知性・品位・冷静さなどを象徴するとされ、**学問の府である東京大学にふさわしい色**としても受け入れられました。応援団などでは「淡青旗(たんせいき)」を掲げ、誇り高い伝統として今も使われています。
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- ### 関連情報:
* 慶應義塾大学のスクールカラーは「三田ブルー(濃紺)」であり、早稲田大学は「臙脂(えんじ)色」。
それぞれの大学には伝統的なスクールカラーがあり、**東大の淡青もその一つとして知られています**。
* 東京大学応援部では「我らが誇る淡青旗」という表現がよく使われ、伝統と誇りを象徴する色として扱われています。
なお京都大学のスクールカラーについても尋ねたところ、
京都大学のスクールカラーは、\*\*「濃青(のうせい)」\*\*です。
正式に定められた色名は明示されていないものの、**一般には「深い青」や「紺青」に近い色**とされており、東京大学の「淡青」に対比される形で語られることもあります。
- ### 概要:
* 京都大学では、応援団や体育会の旗、制服などにこの**濃い青色**が使用されており、
「**濃青旗(のうせいき)**」として学生や関係者の間では広く認知されています。
* この色は、京都大学の**気品と自由な学風、知の探究心**を象徴するものと考えられています。
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- ### 補足:
* \*\*東京大学の「淡青」\*\*との対比で、
* 「東大=淡青」
* 「京大=濃青」
と記憶されることが多く、応援団などの交流でもよく話題に上ります。
* 他大学と同様、公式なブランドカラーとして色コード(CMYKやRGB)が明示されているわけではないため、具体的な色合いは使用する場面によって若干異なります。
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次に対戦型のスポーツやゲームで、赤や青の色がどのような影響を与えるのかという話題だが、以前、教養系TV番組で赤色のユニフォームのほうが有利という話題を取り上げていたことがあった。このWeb日記でも当然言及していたはずだと思うのだが、過去日記を検索しても見つからなかった。ということでChatGPTに、
●ユニフォームの色の違いで判定結果に差が出るという研究を紹介してください。
と質問したところ、以下のような回答をいただいた。
ユニフォームの色がスポーツの判定や試合結果に影響を与えるという研究は、心理学やスポーツ科学の分野でいくつか存在します。以下に代表的な研究を紹介します。
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- **赤いユニフォームは有利?(ヒル&バートン 2005年)**
- **出典**: Hill, R. A., & Barton, R. A. (2005). *Red enhances human performance in contests*. **Nature**, 435(7040), 293.
- #### ?? 研究概要:
* 2004年アテネオリンピックの**ボクシング・テコンドー・レスリング**など、対人競技でのユニフォームの色(赤 vs 青)と勝敗の関係を調査。
* 明確に**赤いユニフォームを着た選手の勝率が有意に高かった**ことを発見。
- #### ?? 解釈:
* 赤は進化的に「攻撃性」や「優位性」を示す色であり、審判や相手に対して心理的影響を及ぼしている可能性がある。
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- **サッカーでも赤が有利?(フランク&ギルヴィッチ 2007年)**
- **出典**: Frank, M. G., & Gilovich, T. (2007). *The dark side of self- and social perception: Black uniforms and aggression in professional sports*. **Psychological Science**, 3(2), 74?81.
- #### ?? 研究概要:
- * サッカーやアメリカンフットボールでのユニフォームの色とファウルの数を分析。
- * **黒や濃色のユニフォームを着たチームは反則が多くなる傾向**があった。
- * これは実際の反則数だけでなく、**審判がその色に対してネガティブな印象を持つ可能性**を示唆。
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- **審判の判定に色が影響(ホッケーの研究)**
- **出典**: Krenn, B. (2014). *The impact of uniform color on judging tackles in association football*. **Psychology of Sport and Exercise**, 15(2), 222-225.
- #### ?? 研究概要:
* 審判が**赤いユニフォームの選手に対して、より厳しい反則判定を下す**傾向があることが判明。
* 同じプレーでもユニフォームの色が異なると、審判の判断が変わるという結果。
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- **eスポーツでも色の影響(LoS特性)**
- **出典**: Greenlees, I. et al. (2013). *Uniform color and aggression in competitive sports: A test of the signal theory*. **Aggressive Behavior**, 39(2), 121-128.
* eスポーツやシューティングゲームなどのシミュレーション環境でも、**赤チームの勝率が高くなる傾向**が観察された。
* 赤は敵対的・危険な印象を与えるため、反応や注意の向けられ方が変わると考えられる。
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- ### ?? まとめ
ユニフォームの色は、
- * **審判の判断**
- * **相手選手の心理**
- * **観客の印象**
などに無意識に影響を与えることがあり、試合結果に差が出ることがあると示されています。とくに「**赤が有利**」という傾向は複数の競技で繰り返し報告されています。
6月9日の日記に述べたように、特定の色を性格などと関連づけて固定化する風潮には慎重な対応が必要かと思うが、そのいっぽう現実に、ユニフォームの色の違いが審判の公平な判定を揺るがす可能性については科学的根拠に基づいてしっかり対処する必要があるだろう。
次回に続く。
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