じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



07月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

クリックで全体表示。



 各種報道によれば、天皇皇后両陛下は、国際親善のため7月6日から8日間の日程でモンゴルを公式訪問されている。ChatGPTに尋ねたところ、今回(2025年7月6日〜13日)のモンゴル訪問は、天皇としては歴代初の公式訪問、但し徳仁天皇は皇太子時代の2007年に外務省の公式日程として訪問されたことがあるという。
 そもそも日本人の先祖はモンゴロイドに属しており、元寇から大相撲に至るまで長い歴史があるが、日本国天皇がモンゴル・ウルスを訪問したのが歴史上初というのは少々意外だった。

 写真は2019年7月にモンゴルを訪れた時に撮影したもので、
  • 写真上:スフバートル広場の風景
  • 写真下:ザイサン・トルゴイの戦勝記念碑

 写真下の紀念碑を訪問されることは絶対に無いだろう。

2025年07月8日(火)



【連載】サイエンスZERO「ヒトの豊かな声」(その1)

 7月6日に初回放送された、NHK・Eテレ『サイエンスZERO

のど研究最前線!ヒトの“豊かな声”の秘密

についてのメモと感想。

 声を出せる動物は、各種哺乳類のほか、鳥類、カエル、(発声のメカニズムが大きく異なるが)セミやコオロギなどの昆虫など多種多様である。しかしヒトに最もよく似た声を出せそうなオウムやインコでも、「オハヨウ」や「コンニチハ」の音の高さや音色は固定されており、1オクターブ異なる「コンニチハ」を自由に発声することはできない。いずれにせよ、「ヒトが声を出せるのは声帯があるからだ」というような単純な理由では説明がつかないことが理解できた。

 放送では概要紹介に続いて、ナビゲーターの浅井理アナが『千の風になって』を独唱された。浅井さんは、東京大学農学部、同大学院農学生命科学研究科修了という学歴の持ち主で、大学院時代はイルカの遺伝子について研究をしていたというが今回の美声はどこから出てきたのだろうか。もしかすると学生時代にグリークラブなどに所属しておられたのかもしれない。

 続いて発声の基本的なメカニズムが説明された。
  • ヒトは肺から送り出された空気により声帯が振動し、鼻や口に伝わることで声を出している。
  • 声帯はギターの弦のようなもので、強く張ると高い声、ゆるめると低い声になる。
  • さらに口の中の空間を変化させることで「あいうえお」みたいな声になっていく。
 このような多様な声を出すことのできる「のど」であるが元々は別の役割があった。

Jorgewich-Cohen et al.(2022).Common evolutionary origin of acoustic communication in choanate vertebrates. Natture Communications. 2022 Oct 25;13(1):6089. 【無料で全文閲覧可】

によれば、最も古くから声を出していたと思われるのは肺魚。およそ4億年以上前から声を出していた可能性があるという。放送では肺魚をつついた時に出される「クワッ」というような声【←長谷川の聞き取りによる】が紹介された。肺魚は肺ばかりでなく、地球上で初めて原始的な「声帯」を持った生き物であるという。但し、声帯の本来の役割は声を出すためではなく、食べ物が気管に入るんを防ぐことにあった。肺魚の口から続く管は途中で食道と気管に分岐しており、食べ物が気管に入るという「誤えん」のリスクがあった。そこで誕生したのが「三角形のヒダ」であり、食べ物が分岐点を通る際に収縮して気管にフタをすることで誤えんを防いでいた。そのフタが使い回されて、声を出す声帯となった。

 続いて、2020年度イグ・ノーベル賞受賞者の西村剛さん(大阪大学)がスタジオに登場。ちなみにイグ・ノーベル賞の受賞対象は、

ワニも、ヒトと同様に、ヘリウムガスを吸うことで声が変わる」原理を明らかにした。

とのこと【こちらに紹介記事あり。】

 誤嚥防止目的の「フタ」が声を出す器官に変わっていくためには、声を出すことが生存や繁殖に有利に働く必要がある。西村さんによれば、
  • 声を出すことで求愛する。他の個体にモテる。
  • 超音波の声で距離を測り食べ物を得る。
などのメリットがあれば次の世代に残っていく。

 さて、ヒトにはヒトならではの声の特徴がある。
  • 安定した音を長く出し続けられる。
  • 音の高さを繊細にコントロールできる。
では、どうしてそれができるようになったのか?

 次回に続く。