じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 7月26日(土)の20時30分頃から、東南東の方角で花火大会が行われ、自宅バルコニーから居ながらにして眺めることができた。
 デジカメによる花火の撮影はこれまでもいろいろ試してきたが、結局、静止画で撮影しようとしてもタイミングが間に合わない。動画で撮影しておいて気に入った部分を静止画として切り取るのが無難であるという結論に達した。
 なおこれらの花火がどこで打ち上げられたのかネットで検索してみたが、該当する花火大会は見当たらなかった。『サプライズ花火』が行われたという情報も今のところ無い。どこの花火大会だったのだろうか?


2025年07月27日(日)



【連載】チコちゃんに叱られる! 映像に音楽が加わるとより感動する理由/デフォルトモードネットワーク

 7月25日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
  1. 「君」ってなに?
  2. なんで映像に音楽が加わるとより感動するの?
  3. 「トロフィー」ってなに?
  4. なんでややこしいのに同じ地名がたくさんあるの?
という4つの話題のうち2.について考察する。

 放送では、映像に音楽が加わるとより感動するのは「音楽が意識を「自分」に向けさせるスイッチだから」が正解であると説明された。 音楽に関する脳研究を重ねてきた田中昌司さん(上智大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 映像に音楽が加わるとより感動するのは音楽が意識を「自分」に向けさせるスイッチだから。
  2. 音楽がついてない映像を見ている時、脳の中では視覚野がモノの形などを認識。聴覚野が音を、言語野が言葉の内容などを理解する。この3つの部位が情報をやり取りしながら、いま見たり聞いたりしたことがなにでどういうことなのかを理解したり記憶したりしている状態。
  3. つまり、「なにを見ているのか?」を分かろう、覚えようとしている状態。
  4. 音楽が加わることで感慨深い気持ちになるのは『デフォルトモードネットワーク』が関係しているから。
    • デフォルトモードネットワークは外からの情報に集中していない時に活動する脳のネットワーク。
    • デフォルトモードネットワークは音楽を聞いている時にも活動していることがわかってきた。
  5. 放送では岡村さんの出番直前の様子を音楽の無い状態と音楽が加わった状態で体感するというデモ実験が行われた。
    • 音楽がない時は、なにが映っているか、岡村さんがなにをしているのか?を理解しようとしていた。そのようなときは映像に集中しているのでデフォルトモードネットワークの活動は抑制されている。
    • 音楽のついている映像を観ると音楽がスイッチになってデフォルトモードネットワークが活動しやすくなる。
    • デフォルトモードネットワークが働くと映像から過去の自分の記憶を呼び起こし、共感しようとする。そして懐かしさや悲しみなどの色々な感情が伴う。過去の自分の経験を自分のことのように思いながら【←?】映像を見るようになる。意識が心の内面、つまり「自分」に向くので映像が違って見える。
  6. このように音楽がスイッチとなり、自分のことのように思い、共感・感動するようになる。
  7. 放送ではこのほか、笑福亭鶴瓶さんの過去の動画についても音楽無しの条件と音楽ありの条件で比較が行われた。

 ここからは私の感想・考察を述べるが、今回の放送は時間が限られていたせいか、はなはだ不十分な説明に終わっていたように思う。というのは、私が理解した範囲では、今回の説明は以下のように組み立てられていた。
  1. 脳は、D状態の時と非D状態の時がある。
  2. D状態になると意識が「自分」に向くようになり共感・感動がおこりやすくなる。
  3. 音楽なしで映像を見ている時は非D状態。
  4. 音楽を聴くとD状態になる。
  5. よって音楽がつけられた映像を見ることはD状態で映像を見ることになり感動しやすくなる。

 上記の「D状態」とは「デフォルトモードネットワークが活動している状態」のことであるが、今回の説明ではその活動が何をもたらすのか殆ど説明されていなかった。また「音楽を聴くとD状態になることが分かってきた」といっても、どんな音楽でもそうなるのか、嫌いな音楽や、映像と無関係の場違いの音楽でもそうなるのかは何も説明されていなかった。なので、上記では「D状態」つまり「デフォルトモードネットワーク」という専門用語が使われることで権威づけされていたが、その用語を省き以下のように書き換えても情報的価値は変わらない。
  1. 人間は、ふだんは視覚情報や聴覚情報をもとに外界を捉えようとしている。
  2. しかし、音楽を聴くと意識が「自分」に向き共感・感動がおこりやすくなる。
  3. よって音楽がつけられた映像を見ると音楽がスイッチとなってより感動しやすくなる。

要するに、「デフォルトモードネットワーク」という専門用語を使って説明しても、そのような専門用語なしで説明しても、説明力に差が無いということになる。

 さて、そもそも「デフォルトモードネットワーク」とはどういうことなのか? 過去日記をざっと検索したところ、少なくとも2回、取り上げていたことが分かった。
  • 2021年7月3日ヒューマニエンス 「“天才” ひらめきのミステリー」その6 マインドワンダリングの功罪
  • 2023年4月30日チコちゃんに叱られる!「こどもの日の柏餅」「2種類の洗濯機」「脳のデフォルトモードネットワーク」
なお、デフォルトモードネットワークに関しては、

「発達障害と脳」の最新研究! 計画的に行動できない、目の前のことを優先しがち……「ADHD」の背後にある「脳のしくみ」とは?

という記事の2〜3ページ目でも言及されている。
さらに、デフォルトモードネットワークという脳活動の状態がADHDに関係しているという指摘もあります。人間の脳は、何も考えていないとき(安静時)でも、脳の複数の領域が同期して活動していることが知られており、この脳活動の状態をデフォルトモードネットワークといます。車のエンジンで例えたら、アイドリングしている状態です。
それら複数の領域で構成されるデフォルトモードネットワークの活動により、新しい刺激に対して備える「構え」をつくることで適切に反応できます。
しかし、ADHDの人はデフォルトモードネットワークの活動が低いために構えが不十分で、新しい刺激に対して過剰に反応してしまうというのです。

 このように、『デフォルトモードネットワーク』に関する研究は日々進歩しており、素人の私がそのこと自体にケチをつけるつもりは毛頭ないが、いくら放送時間が限られていて十分な解説が困難であったからとはいえ、「映像に音楽が加わると感動する」理由を「デフォルトモードネットワーク」だけで説明するのは短絡的過ぎるように思われた。

 そもそも、どんな音楽でも「音楽が意識を「自分」に向けさせるスイッチだから」というのであれば、例えば冬ソナのラストのシーンで日本の演歌、例えば『津軽海峡冬景色』を流したらより感動的になるはずだ【←実際は冬ソナの主題歌が流れている】。しかし実際は場違いだとして失笑を買うだろう。

 そう言えば、いま観ている朝ドラ『あんぱん』の主題歌『賜物』はドラマの中身に合わないのではないかという声があったが、回を重ねるごとにドラマのイメージの一部になってきたような気がする。なお直近の7月25日放送の第85話ではついに嵩がのぶへの愛を告白し、2人が抱き合うシーンで終了となったが、その時の音楽は『賜物』のアレンジではなくもう少しシンプルなメロディとなっていた。最終回のラストシーンでは間違いなく『賜物』が流れるはずで、その時には賜物とドラマ内容との違和感を感じる人は殆どいなくなっているものと予想される。


 次回に続く。