【小さな話題】11月9日の地震は大相撲中継を打ち切るほど重大だったのか?
11月9日の17時過ぎ、夕食をとりながらNHK総合で大相撲中継を観ていたところ、突然、緊急地震速報が流れ画面が切り替わった。これにより、NHK総合での大相撲中継は打ち切られ、結びの一番に至るまで中継されることは無かった【画面上】。なお、BS4Kの大相撲中継は緊急地震速報後も続けられていた【画面下】。なお、NHKのwebサイトによれば、実際に起こった地震と津波は以下の通りであった。
気象庁によりますと9日午後5時3分ごろ、三陸沖の深さ16キロを震源とするマグニチュード6.9の地震が発生し、震度4の揺れを岩手県の盛岡市、矢巾町、宮城県涌谷町で観測しました。
この地震で気象庁は、岩手県の沿岸に一時、津波注意報を発表し、久慈港と大船渡港、釜石港、宮古港ではそれぞれ10センチから20センチの津波を観測しました。
その後、潮位の変化が収まったことなどから、津波注意報は解除されました。
このことで疑問に思ったのは、
●最大震度4、津波注意報が発令されるという地震は、大相撲中継を打ち切るほど重大な事態であったのか?
という点であった。
もちろん地震や津波は人の命にかかわる事象であって、スポーツ・娯楽の範疇にある大相撲中継より優先的に報道されるべきだという考え方は分かる。また大相撲の動画自体はこちらからも閲覧できるので、生中継でなければならないというほどではない。
しかし、最大震度4の地震が起こるたびに大相撲中継や定時番組を打ち切っていたのでは、日常生活は乱され、また何度も何度も地震報道を視聴することで馴れが生じ、本当に重大な地震が起こった時にも「今度も大したことはないだろう」と油断してしまう恐れがある。
じっさい、東日本大震災の時にも、前震が何度か起こっており、本震の際にも油断していた可能性がある。こちらの記事によれば、前震の経過は以下の通り。
東日本大震災では、本震の前に比較的多くの地震が発生しました。
前震として規模の大きかったものは、平成23年3月9日11時45分に発生した三陸沖の深さ8kmを震源としたマグニチュード7.3の地震であり、最大震度5弱、岩手県で最大60センチの津波を観測したのです。
また、翌日の3月10日6時24分にも、三陸沖(牡鹿半島の東、約130km付近)で、深さ9kmを震源としたマグニチュード6.8の地震が発生しました。
念のためChatGPTに「日本では震度4以上の地震は1年間平均で何回起こっていますか?」
と尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。
直近のデータを見ると、例えば:
2022年には、国内で 最大震度4以上 を観測した地震が 51 回 発生しています。
2023年には同条件で 41 回 発生しています。
2024年には 113 回とかなり増えています。
このことから、「年間平均で何回」という問いに対しては、ここ数年の実績から おおよそ数十回(おおむね40~100回程度) と言えそうです。
要するに、最大震度4の地震が起こるたびに定時番組を中断するとなると毎週1回~2回は起こる可能性がある。これでは地震報道に対する「馴れ」が起こってしまい、本当に重大な地震が起こった時に油断してしまいそうな気がする。
今回の地震では津波注意報が発表された。ChatGPTによれば津波注意報や津波警報は以下の基準で区分されているが、アナウンサーはその危険性を誇大に伝えていたような印象を受けた【後述】。
日本の気象庁では、地震後に発表される津波情報を「津波注意報」「津波警報」「大津波警報」の3段階に分けています。
それぞれの違いは、**想定される津波の高さ(予想される津波の最大波高)** に基づいています。
### 🌊 津波情報の区分(気象庁基準)
| 区分 | 想定される津波の高さ | 典型的な影響・行動 |
| --------- | ---------------- | ------------------------------------ |
| **津波注意報** | 約 **0.2m〜1m** 程度 | 海水浴・釣り・港湾作業などを中止。海岸・河口付近から離れる。船は沖へ。 |
| **津波警報** | 約 **1m〜3m** 程度 | 浸水被害の可能性あり。沿岸部や河口付近では避難が必要。人命に危険が及ぶ。 |
b| **大津波警報** | 約 **3m以上** | 甚大な被害が想定される。すぐに高台や避難ビルなどに避難。 |
【以下略】-
以上の地震・津波についての放送には以下のような問題があった。NHKプラスで当時の放送内容を確認してみよう。
- 地震関連
- 盛岡放送局のアナウンサーは「私は当時、放送局の2階の居室にいた。天井から吊り下げているテレビのモニターが揺れた。机の上の物は落ちなかった。と語っていたが、地震が起こればモニターが揺れるのは当たり前。情報的価値が乏しい体験談。
- 津波関連
- 「津波の高さは1m」と報じられたが、これは「最大1m」とすべきではないか。
- 「第1波の予想時刻はあくまで予想であってこれより早く来ることもある」と言っていたが、本当にそうであるなら予想時刻など示すべきではない。予想時刻の信頼性を損なう恐れがある。
- 「沖合で津波が実際に観測された。この津波がこのあと沿岸に押し寄せます」と言っていたが、正確には「微弱な津波が観測された」であって、大津波がやってくるわけではない。
以上をふまえてChatGPTに以下のように質問してみた。
【質問】11月9日の17時過ぎに岩手県沖でマグニチュード6.9、最大震度4の地震が起こり津波注意報が発表されました。NHK総合ではこれに伴い大相撲中継を打ち切って地震報道に切り替えましたが、地震の規模からみるとこれは大げさではないでしょうか? この規模の地震のたびに臨時ニュースに切り替えていると「今度も大したことは無い」という馴れが生じてしまい、本当に重大な地震が起こった時に油断してしまう恐れはありませんか?
いただいた回答は以下の通り。
非常に鋭いご指摘です。
結論から言うと、**「報道対応としては大げさではない」** というのが専門的・制度的な立場ですが、**「視聴者の心理面での“馴れ”や“警報疲れ”が生じるリスクは確かに存在する」**という二面性があります。以下で順を追って説明します。
- 報道が切り替わった理由 ― 制度上は「当然の対応」
NHKなどの全国放送局は、**「防災報道に関する放送指針」**や**「気象庁との協定」**に基づき、
> 津波警報・津波注意報・緊急地震速報が発表された場合は、番組を中断して地震関連情報に切り替える
ことを原則としています。
この場合、地震の「震度」ではなく、**津波注意報や警報が出たかどうか**が基準です。
- たとえ最大震度が「4」と比較的軽くても、**M6.9・岩手県沖・浅い震源**という条件は「津波発生の可能性あり」と判断される典型です。
- 津波注意報が発令されれば、**沿岸住民に即座に避難を促す**必要があるため、放送切替は「命を守る行動」を最優先する措置とされます。
つまり、「視聴率」や「番組構成」よりも、**1人でも命を守る可能性を優先する**という立場です。
- 「大げさ」に感じる背景 ― 人間のリスク認知のギャップ
確かに、今回のように「最大震度4」「津波数十センチ」という結果だと、「またか」「大したことなかった」という印象を持つ人が多いのも自然です。
これは心理学でいう**「正常性バイアス(normalcy bias)」**と**「馴れによるリスク鈍化」**の典型です。
* 同程度の報道が繰り返される →「いつも結局何も起きない」
* → 次に警報が出たとき「また大したことない」と判断して避難が遅れる
2011年の東日本大震災でも、「前回も大丈夫だった」という経験が避難の遅れにつながった事例が実際に報告されています。
- では、どうバランスを取るべきか
放送局や行政の立場からすると、「報道を控えて油断を助長するリスク」よりも「過剰でも警報を出すほうが良い」というのが原則です。
しかし同時に、**“危険の程度を明確に区別して伝える工夫”** が今後の課題です。
- 「津波注意報」=“命に関わる危険は低いが、海辺には近づくな”
- 「津波警報」=“沿岸で浸水の危険、避難を”
- 「大津波警報」=“命を守るため、直ちに避難”
といったように、**報道側が強弱を明示する言葉づかい・ビジュアルの工夫**が、視聴者の「馴れ」を抑える鍵です。
- ## 🧩 結論まとめ
| 観点 | 評価 |
| ----------- | --------------------------- |
| **制度上・防災上** | 津波注意報発令時の報道切替は適切。命を守る行動を優先。 |
| **心理・社会的** | 「また大げさに感じる」馴れのリスクは実際に存在。 |
| **今後の課題** | 危険度の強弱を明確に伝える報道手法の改善が重要。 |
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