じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
「思い出のアルバム」の「桃のお花も、きれいに咲いて」の歌詞ぴったりに、卒業式 の日に見頃となった桃の花。写真左は20年近い老木。右は、その桃の実から育った娘の木。子供を送り出す母親の気持ちを象徴するような風景かも。 |
【思ったこと】 _00326(日)[教育]『受験勉強は子どもを救う』か(8)タスクのないグループは個人を退行させる? 3/20の日記の続き。今回は、和田秀樹氏の「第3章:受験勉強の人生における意味とは」に関連して、グループ心性について考えてみることにしたい。 和田氏は第3章の中で「課題(タスク)のないグループは個人を退行させる」として、シゾフレ人間(分裂病型人間)にとって受験勉強が役立つという主張を展開されている。ここで引き合いに出されている「グループ心性の理論」とは、ビオン[Bion (1961). Experiences in groups.]が提唱したもの。和田氏自身のご専門に「集団精神療法学」が含まれていることからみて、かなり自信のありそうな御発言だ。 和田氏によれば、人間がグループになると必ず2つの側面が表れる[p.172]。1つはタスクを遂行する作業グループ、もう1つは、“グループに置かれることで生じる精神的な不安に対処すべく、グループ全体があるパターンの行動を起こすという基底想定グループ”と呼ばれるもの。基底想定グループには次の3つがある。
日記猿人登録日記作者の中でもある種のグループ心性が生じることは確か。カリスマ性の高い日記、「つがい」、「闘争、逃避」、次に述べる「スケープゴーティング」などは、それぞれ思い当たるところがある。ではこのグループ理論は受験勉強とどう関係してくるのだろうか。和田氏は、いじめを引き合いに出してこれを論じている。 和田氏によれば、いじめというのはグループ心性の中で生じるスケープゴーティング。いじめを無くす手段としては、
そこで、受験勉強一般も、高校において、グループに与える1つのタスクとなり、グループ心性から個人心性に戻す役割を果たし、全体として人間を退行させないタスクとして機能しているというのが和田氏の主張である[p.178]。 以上の和田氏の御主張の中で、具体的なタスクを与えることの重要さはよく分かるのだが、グループ心性のどの特徴がスケープゴーティングを生み出すのかについては、私にはよく理解できなかった。受験勉強がいじめを無くす1つの方策になりうるという程度の控えめな主張として受け止めておきたい。 和田氏は「集団精神療法学」の立場から心性という言葉を使っておられたが、行動分析的視点から見直してみると、グループなり個人なりの行動の特徴を決定づけるのは結局のところ随伴性ではないかと私には思われる。上記の、「タスクを与える」、「仮想的を作る」、「カリスマ性のあるリーダーに従う」というような状況の設定はすべて随伴性の変更を意味している。随伴性の変更がそれまでと違った行動を強化したり、それまでと違うタイプの事象が強化子として機能するようになる。その結果として変わるのが心性だ。「心性を変える」ための具体的な働きかけは、結局のところ、随伴性を変えることに帰着するというのが私の考え。 |
【ちょっと思ったこと】
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【今日の畑仕事】
夕食後の散歩時にハツカダイコンを収穫。 |
【スクラップブック】
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