じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
ユスラウメ。実から生えたもの。後ろの濃いピンクは桃の花。 |
【思ったこと】 _00405(水)[心理]「日本型英語」と英語「第二公用語」論議(4)「言力」と言葉の呪術的な使い方 昨年10/26の日記の続き。“日本人が「日本型英語」を使えるようになるための「Japenglish」のすすめ”というタイトルで連載してきたが、このところの「英語公用語論」談義をふまえて連載のタイトルを変更した。 朝日新聞連載中の「英語公用語論」2回目(4/5)は丸谷才一氏が登場。丸谷氏は「英語第二公用語」について明確な概念規定が無いことを指摘された上で、「二十一世紀日本の構想」懇談会報告書にある「言力政治の強化」の問題点を指摘しておられた。 この「言力」というのは、戦前の「権力政治」、戦後の「金力政治」に対比させたもので、これからは言葉を武器とする言力政治の時代だと報告書に述べられている点。丸谷氏は、民衆を説得する場合の言葉の使い方には、本格的な使い方と、呪術的な使い方があり、「尊皇攘夷」、「八紘一宇」、戦後の「民主主義」、小沢一郎氏が使った「守旧派」、「普通の国」などと同様に、「英語第二公用語」が呪術的に使われていると指摘、「英語第二公用語」の概念だけでなく「英語を第二公用語とすることも視野に入れる必要がある」という表現の曖昧さを含めて、ストライクゾーンを決めないで野球をするものだと批判しておられた。 言葉の呪術的な使い方というのは、この日記の連載で言えば、「キャッチフレーズ」とか「レトリック」と同じような意味をもつものと言える。小渕前首相が精力的に作った「有識者会議」では、この種の呪術的な使い方がまかり通る恐れがあった。というのは、「有識者」として選ばれた委員諸氏は「明確な概念規定」を重視する人達ばかりとは限らなかったからである。 こう言っては失礼かもしれないが、河合隼雄先生御自身の心理学でも、言葉が呪術的に使われているところが多々あるように思える。私自身が学部生時代に教育学部の河合先生の授業を直接拝聴し、結果的にそれと相容れない徹底的行動主義の方向に進んだのも、そうした呪術的な使い方に嫌気がさしたためであったかもしれない。 丸谷氏も指摘しておられるように、「言力政治」というのは、“身分だの財力だのにはよらないで、言葉の力で民衆を説得して、それによって政治を行うこと」。河合氏の「(公文書類の副文に英語を添えることで)翻訳不可能なあいまいなお役所用語は排除され、的確で分かりやすい日本語にもなるだろう。」というご指摘(4/3の日記参照)自体は、「明確な概念規定」を求める1つの方法を提示したものであったと言えるが、そのキャッチフレーズとなるべき「英語第二公用語」自体が明確に概念規定されていないというのは皮肉であったとも言える。 もっとも、具体的な提言ではなく起爆剤として提示するだけなら、概念規定が曖昧なほうがかえって後の議論が活発になる可能性もある。じっさい、最近の大学改革論議などでも、まず概念規定の曖昧なカタカナ語がヒョッコリ飛び出し、それを明確にする議論を積み重ねる中で合意がはかられるというプロセスがしばしば見受けられる。 なお、朝日新聞オピニオン欄の連載はさらに継続しており、4/6には月尾嘉男・東大大学院教授のご意見が掲載されていた。「英語第二公用語論」が、英語の当面の攻勢に対する緊急避難と言える点、15〜24歳世代の英語使用者数は、中国語、ヒンディー・ウルドゥー語、アラビア語に次いで4番目になっていること、機械翻訳の活用などについても指摘しておられた。 |
【ちょっと思ったこと】
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【今日の畑仕事】
チンゲンサイ、ハツカダイコン、ニンジン、ブロッコリーを収穫。 |
【スクラップブック】
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