【ちょっと思ったこと】
- 手話ニュース
このところ夕食の関係で、20時45分からのNHK教育テレビ「手話ニュース」を見ることが多くなった。その日のニュースがコンパクトにまとめられているというのが主な理由なのだが、手話で言葉を伝えられるというのはスゴイことだといつも感心してしまう。
テレビの番組なのだから、ただ情報を伝えるだけだったら字幕のほうが正確。あえて手話を流すということは、生身の人間からの直接の発信を大切にするためなのだろうか。
詩の朗読の時など、話し手は、機械的なジェスチャーだけでなく、うれしさや悲しさを顔の表情を含めて全身で表現しているように見える。音声による朗読以上に気持ちが伝わってくる。このあたりはネット上の文字列では表現できないかもしれない。
そんななか多少疑問に思うのは、手話で文字情報と同じ内容が100%伝えられているのだろうかということ。習ったことが無いので全く分からないのだが、基本的には名詞、動詞、形容詞、副詞などを繋いでいるだけで、助詞などを含めた細かい文法表現は省略されているようにも見える。もちろん必要があれば、五十音を別途含めることができるのだろうけれど。
昔のTV番組「マジカル頭脳パワー」で、アクション伝言リレーゲームのようなものをやっていたが、ジェスチャーだけでは相手が完全に勘違いしてしまうことがある。ルールのある手話ではそんなことは無いと思うのだが、10人ぐらいが伝言リレーした時に内容はどのくらい正確に伝わるものなのだろうか。もっとも、流言がしばしば誤解や騒動を生むように、音声による伝言だってあまり当てになるものではないけれど。
- ミニマム・サイコロジーを作る
4/12からは授業開始。そんななか、今年度は学部3回生の演習の授業を受け持つことになった。今回の講義題目は「ミニマム・サイコロジーを作る」というもの。3人ごとにグループに分かれ、大学で学ぶべき心理学の基礎知識・技法をわかりやすくまとめ、インターネット上でHPとして公開するという趣旨だ。
心理学関係の授業にはもちろん、教養教育科目としての「心の科学」があるが、「心の科学」は半期15回の授業であるため心理学の内容を網羅できず、むしろ心理学担当教員がそれぞれの専門分野を活かしながら教養としての心理学の一部を語るだけに終わってしまう。また専門科目の「心理学概論」は分担授業であるため、やはりそれぞれの教員の守備範囲を語るにすぎず必ずしも網羅的に学べるわけではない。
そこで今回の演習では英語の分厚いテキスト数冊を教材としながら、学生に自主的に心理学入門のHPを作ってもらうことにした。扱う分野は
心理学史/
生理心理学/
子供の発達/
成人の発達/
感覚・知覚/
学習/
記憶/
思考/
知能/
動機づけ/
情動/
パーソナリティ/
心理療法/
健康心理学/
社会的行動/
実験法/
単一被験体法/
質問紙調査法/
観察法/
面接法/
という全20テーマ。3週を1サイクルとして、1サイクル5テーマ×4回。12週。前後にオリエンテーションとまとめの授業を入れるという構成である。
ミニマム・サイコロジーと言ってもただ断片的知識の羅列に終わってしまっては意味がない。(心理学史や方法論的なテーマを除き)原則として、
- 1週目:それぞれの分野が、何を対象とし、何をめざし、どういう特徴をもった方法でそれを取り組んでいるのかを明らかにする。
- 2週目:現在までの時点でどういうことが明らかにされたのか
- 3週目:その分野を研究することは現代社会の諸問題を解決する上でどういう役割を果たすのか、21世紀に何をもたらすのか
というように、学問の社会的役割を重視させる。
このほか、HPに掲載する以上
- 参考書の丸写しは避け、自分の言葉でまとめる。
- 著作権に十分配慮しながら文献の引用は正確に行う。
- 高校生や一般市民にも理解できる内容とする。
という形で、インパクトがありかつ分かりやすい文章を書くための指導も併せて行うことを意図している。来週水曜以降、ボチボチと大学公用ページのほうに試作品がアップされていくので、ご高覧いただければ幸いです。
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