じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 農学部農場から眺める半田山。なんとなく蒜山高原を思い出す。右は蒜山を合成させてみた写真。 [今日の写真]





12月4日(火)

【ちょっと思ったこと】

携帯電話はJ-POP誌を喰うか?

 12/4の朝日新聞によれば、日本のポップス専門誌3誌『音楽と人』、『Vicious』、『PopBeat』が10月〜11月に相次いで休刊になったという。この業界のことは全く知らないのだが、
  • 背景には不景気だけでなく、携帯電話の普及や、編集姿勢の問題があるようだ。
  • ここ数年、中高生が携帯電話にお金を使い、その分、CDや雑誌を買わなくなったといわれる。
  • インターネットや携帯電話で音楽を簡単にダウンロードできる配信サービスが浸透。95年には26作も出たミリオンセラーが、今年は4作にとどまっていることも、この状況を裏づける。CD離れが音楽誌の退潮の一因でもあるようだ。
という解釈は興味深い。
 もっとも、もし、携帯電話でお金を使いすぎたことが原因であるとするならば、マンガやレンタルビデオや、若者向けレジャー施設の売り上げも同程度に落ち込むはずである。CDとJ-POP誌だけがとばっちりを受けるわけではあるまい。

 ネット経由の配信サービスはCDの売り上げを落とすかもしれないが、情報源としての音楽誌が影響を受けるとは思えない。それと、我が家を見る限り、中高生はそんなにネットに熱中しているようには思えない。

 それにしてもケータイってホンマにケッタイなもんやなあ。一度も使ったことない私にあれこれ言う資格はないんだが。
【思ったこと】
_11204(火)[心理]地域通貨とエコマネー(6):クローズアップ現代「心結ぶ地域通貨・街づくりの挑戦」

 12月4日19時30分からのNHKクローズアップ現代で「心結ぶ地域通貨・街づくりの挑戦」を視た。番組は、地域通貨の役割を大きく2つのタイプに分けて紹介。前半で紹介されたのは、大型スーパーの進出で売上が落ち込む千葉県のゆりの木商店会(西千葉駅前)の「ピーナッツ」。商店街の花壇の植え替えなどで手に入れた「ピーナッツ」を加盟商店の代金の5〜10%にあてることができるという仕組みであった。

 春の小川のモデルともなったという、渋谷の渋谷川周辺の「アール」も紹介されていた。地域の奉仕活動(清掃)をアールで受け取り、100円を上限にアールで支払うことができる。ここでは奉仕活動団体NPOと参加者と企業という3者を循環する仕組みが確立していた。

 余談だが上記の、ゆりの木商店会の取り組みは、今年の10月頃にNHK衛星「ウィークエンドスペシャル 続エンデの遺言1:坂本龍一『地域通貨の“希望”』」でも紹介されていたが、エコマネー・ネットワークや加藤敏春氏の著作では全く取り上げられていない。目ざす方向が、やや異なるのかもしれない。

 番組の後半では、加藤敏春氏がもっとも先進的と評価する北海道・栗山町の「クリン」が紹介された。ビジネスになじまない善意のサービスに対して支払うお金であり、1000クリン60分のサービスとなっている。こちらの特徴は、してあげられることを登録した参加者に3000クリンが手渡され、コーディネーターが登録メニューにしたがってとりもつという仕組み。1999年7月に加藤氏(←番組では写真のみで、お名前は紹介されなかった)を講演に招いたのがきっかけであり、昔この地域の農家で使われていた「手間替え」を通じて町民に浸透していった。

 番組では、居室以外の部屋のガラス拭きのように介護保険でカバーできないサービスのほか、「昔話を子供たちに話す」様子も紹介されていた。自分でできることが何でも登録されており、お年寄りの社会貢献を評価するとともに、これまで交流の無かった世代間にも新たな繋がりが芽生える効果がある。

 番組の内容自体は、加藤氏の著作や「続・エンデの遺言」番組と比べて特に目新しいものはなかったが、この時間帯に取り上げられたことで、新たな関心を呼ぶ効果がきわめて大きいのではないかと思った。




 上記の番組の中で栗山町長は「クリンというのは日本人が持っているお互いを助け合おうという気持ちを再生するもの」と説明していたが、別の面から捉えるならば、日本人特有の「義理人情」、「恩」、「お世話になった」、「お礼」などから生じる「しがらみ」や本音と建て前の使い分けを合理的に解消し、交流を活性化しているようにも見える。

 これまでは「お世話になる」と菓子折、年賀状、お歳暮やお中元という形でお礼をしなければならないとか、一方的に世話になりっぱなしでは申し訳ないという気持ちからサービスを辞退する風潮があったが、エコマネーの場合は、それを支払うという行為だけでしがらみから解き放たれるメリットがある。特定個人間での互助をコミュニティ全体に「流通」させる効果も大きい。

 最後に、卒論や修論でエコマネーを研究するとなると、すぐ、どこかの地域に出向いて実地観察をしなければという発想が出てしまうが、じつは、もっと身近なところでフィールド実験をすることだってできるのである。例えば、大学構内の環境整備と生協をリンクさせて運用する「カレッジマネー」とか、ゼミの中での院生と学部生の相互援助を活性化する「ゼミマネー」のようなものが考えられる。特に、「ゼミマネー」は、サービスの種目を明確にした上でぜひ導入したいと思っている。



1999年5月4日に放送された「エンデの遺言:根源からお金を問う」(メッセージは1994年2月6日 ミュンヘンにて)の続編。ミヒャエル・エンデは1929年生まれ1995没の小説家)。