じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[写真] 農学部農場の八重咲きの紅梅。受験生たちの努力もこのように花開いてほしい。


2月24日(火)

【ちょっと思ったこと】

地下鉄火災に遭ったら

 夕食時にNHKクローズアップ現代「地下鉄で何が生死を分けたか」を視た。日本の地下鉄車両に比べると韓国の地下鉄車両のほうが、燃えやすい素材(つり革の握り部分、シート、内装材)を使っていること、中央階段付近が煙突効果により高熱の煙の通り道となったことが被害を大きくしたようだ。

 こうしてみると、日本の地下鉄のほうがいくらか安全であるような気がした。それと、番組を視る限りでは、階段を駆け上がって避難するよりも、線路に飛び降りで、ホームから少し離れた位置でじっとしていたほうが生き延びる確率が高いのではないかと思われる。線路側は常に風上となるため、炎や煙に巻かれる恐れがないからだ。但し、電力供給方式によっては線路沿いを歩くと感電する恐れもありそうだ。このあたり、適切な避難誘導が求められる。




サハラ砂漠のふしぎ

 夕食後に、上記番組に引き続いてNHK地球・ふしぎ大自然「サハラ砂漠でワニ発見」を視た。砂漠のど真ん中に火山によってできた湖があり、そこのワニが棲んでいるなどというのは信じられないことだった。

 番組の説明によれば、かつて緑の楽園であったサハラ砂漠がこのように乾燥してしまったのは、どうやら歳差と地球の楕円軌道の影響らしい。この日記でも何度か書いているように、北極と南極を結ぶ地軸はそれ自体首振り運動をしており、北半球が夏至となる日と、地球が楕円軌道上で最も太陽に近づく日(近日点)は、毎年少しずつずれていく。2003年の場合は、1月4日13時58分に近日点通過、いっぽう夏至は6月22日4時10分となっており、約半年のズレがある。

 理解した範囲で記せば、かつて、近日点通過と夏至が近かったころは、北半球はそれだけ多くの熱を受けていた。そのため、サハラ砂漠一帯は今よりもっと強い上昇気流が起こり、そこに向かって大西洋から湿った空気が流れ込み雨を降らしていたという。現在は、上昇気流が弱いため、海面の上のほうで上昇気流がおこるため、砂漠の上では逆に下降気流となって雨が降りにくくなるというわけだ。

 もっとも、この話だけからは、地球温暖化が進むと、砂漠は今より熱せられ上昇気流がおこりやすくなるようにも思える。あるいは、緑化を進めれば進めるほど、上昇気流が起こりにくいというパラドックスも生まれる。このあたりよく分からないのだが、雨が降るか降らないかは、海と大陸(大西洋とアフリカ大陸)の温度差が影響しているはずなので、地球全体の温暖化とは独立した問題であるようにも思える。

【思ったこと】
_30224(月)[心理]日本健康支援学会(7)登山と旅行と園芸とQOL

 しばらく間があいてしまったが、2/15〜2/16に行われた日本健康支援学会学術集会の感想。2/16午後には「健康支援とQOL〜高齢者を対象とした具体的展開に向けて〜」というセミナーが、財団法人日本予防医学協会西日本支部の共催で市民公開講演会「第10回ヘルスサイエンスセミナー」として行われた。司会は下方浩史氏(国立長寿医療研究センター)、話題提供は
  • 新開省二氏(東京老人総合研究所):高齢者のQOLの維持をめざした予防的健康支援
  • 田中喜代次氏(筑波大学):健康支援とQoL(quality of life)〜高齢者を対象とした具体的展開に向けて〜
のお二人であった。本日はこのうちの田中喜代次氏の話題提供について感想を述べたい。

 まず、この演題で気になったのは田中氏が「QOL」の「O」部分を「QoL」というように小文字で統一していることだった。質疑の時間に、敢えてこの点を質問させていただいたところ、特定の信念や学問的立場を強調するというような意図は無く、単に、通常小文字で表されている「of」が大文字になるのはオカシイというお考えに基づくものであった。確かに「of」が大文字になるのはオカシイしいし、特に語呂合わせの必要もないのに略称に含まれるのも奇妙だ。仮に「QL」と略して何か不都合が起きるのかと思ったが、辞書で引く限りでは、「q.l.」が「処方箋で)quantum libet 希望するだけ,適宜(as much as is desired)」(ランダムハウス英語辞典)となっている程度で、特に混乱を招くとは考えにくい。

 それはそれとして、ここでは他の演題に合わせて「QOL」で統一させていただき、話題提供の中味に進むことにしたい。体育学系の御所属ということもあるのだろうか、基本は、運動の習慣化の強調ということにあった。キーフレーズとして“健康利益と生きがい確保のための運動”、“運動は「健康のため」か「生きがい確保のため」か?”などが特に印象に残った。

 高齢になると、病気以外の死亡事故は、交通事故より転倒のほうが多くなる。また、要介護状態となるきっかけの第3位は転倒であることなどから転倒予防はやはり大切である。このほかにも、さまざまな「ニュースポーツ」が普及されつつあり、AT(一定強度)にこだわらない指導をすることで楽しさを優先することの大切さが強調された。

講演の終わりのほうで私が特に元気づけられたのは、高齢となり体力や健康が衰えるなかで
  • 体力的に良好な人&健康である人→登山のサポート
  • 体力的に不良な人&不健康であるが自立できる人→旅行のサポート
  • 低体力・虚弱の人&不健康で自立困難な人→園芸のサポート
という、個人のニーズを尊重した、地域内での暖かい「サポートシェアリングシステムが」強調されたことである。「登山」、「旅行」、「園芸」といえば、まさに私が最も楽しみとする趣味ではないか。こういうサポートシステムが確立していれば私の老後は安泰である。

 このほか、QOLの意味を問う一例として、米国大統領経験者として長寿記録を更新しているレーガン氏が今年の2月6日に92歳の誕生日を迎えたことが挙げられた。よく知られているようにレーガン氏は1994年にアルツハイマーを発症し、数年前からナンシー夫人を認識できなくなっているという。ここでは、「単に長寿であることがQOLには繋がらない」という意味で引き合いに出されたのではないかと思うが、痴呆であってもそれなりのQOLがあり、それを最大限に保つのがダイバージョナルセラピーなどの目的になるかと思う。但し、痴呆にならなければそれに越したことはない。そのための予防策を講じるのはもちろんのことだ。