じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
雨の多い日が続いている。時計台前のアメリカフウの新緑が水たまりに映っていた。 ========== --> |
【思ったこと】 _30425(金)[心理]人間の本質は「少しでも楽をしたい」と「みんながやってるなら構わない」か? 金曜日の午後に講義棟横を通ったところ、出入り口付近、さらには、図書館と講義棟の間の道路や文学部玄関ロータリーに二重にも三重にも自転車が停められ、緊急用車両の出入りや郵便・宅配便の配達にも支障があるほか、無理に通ろうとする自動車と通行人との接触事故が心配される状況にあることに気付いた。 このような現象は1996年に私自身が三学部交通安全委員長をつとめた時にも見られたものであった。いろいろ手を尽くしたが、警備員を雇用する予算は無いし、学生アルバイトでは事故やトラブルに巻き込まれた時の保障が無い...などなど有効策が見つからず困惑していたのだが、その後たまたま事務長補佐に着任されたM氏が、毎朝ボランティアで現場に立ち、迷惑駐輪した自転車は強制移動するなど徹底した駐輪指導にあたっていただいたため、あっという間に解決。その後、M氏の在任中に迷惑駐輪が問題にされることは一度も無くなった。 ところがそのM氏が年度末をもって定年退職となる。新学期の最初の一週間は何とか持ちこたえたものの、駐輪禁止区域に停める自転車が次第に増え、もはや手をつけられない状況になった。とりあえず、交通安全対策担当の委員長と学部長宛に、ここに掲載した証拠写真を添付して要望を出してみた。 迷惑駐輪が起こる原因として考えられるのは、まず、自転車の多さである。岡大はキャンパスが広く、文学部と一般教養棟を移動するだけでも徒歩なら10分はかかる。休み時間が10分しかないため、自転車なしでの移動は困難だ。 加えて、岡山市内は全体に平坦であり、岡山駅と大学の間を自転車で通う学生も多い。自転車通学率は全国の国立大の中でも一位二位を争う高さだと聞いた。 では、駐輪場を増やせばそれで解決するのか? 実はここにも、利便性やロケーションの問題が絡んでいる。写真右下は、上記2枚と同じ時間帯に撮影した、文学部中庭の駐輪場の様子である。このように、出入り口から離れた駐輪場はちっとも利用されていない。少しでも近いところ、楽なところを利用するというのは人間の本質なのだろう。 もう1つ、こういう現象は、迷惑駐輪がある程度の数を超えると爆発的に広まる。写真左の「駐輪禁止」の看板は、じつは、私自身が、新学期にこっそりと別の場所から移動して「設置」したものであった。授業が始まって3日目、この看板の前にはまだ迷惑駐輪は一台も無かった。こういう場所に最初の自転車を停めることは非常に目立つ。一人の行動が環境を大きく変える結果をもたらす状況にあったのだ。ところだ、写真左のようにすでに数十台が停められている状況のもとでは、さらに一台余計に停めたところで環境はそれほど変わらない。学生たちは、ここで突然モラルを消失するわけではない。行動に伴う結果があまりにも小さく、かつ利便性が高い時には、「みんながやってるなら構わない」という行動は必然的に強化されてしまうのである。 こういう場面ではいくら「モラルを守ろう」などと説いても効果は少ないと思う。一番手っ取り早いのは、十分に警告した上で、迷惑駐輪自転車をワイヤーでロック、あるいはタイヤの空気を抜いてしまう(空気ポンプは教務で念書と引き替えに貸し出し)という強硬措置をとることだろう。あるいは、キャンパス景観の悪化を承知で出入り口付近の植栽をすべて取り払い、いちばん便利な場所を駐輪場に改装することである。 |