じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
文学部中庭で見つけたジャンボキノコ。6月28日撮影。こちらと同様、キクメタケではないかと思われる。キノコの写真を直ちに掲載すると稀に持ち去る人がいるので、一週間ほどたってから公開することにしている。7月2日の時点では、すでに胞子だらけで真っ黒になっている。 |
【ちょっと思ったこと】
猛暑続く 昨日の日記で、初めてエアコンをかけて寝たと書いたが、こちらの記録によれば、7月3日の岡山は最低気温25.8度の熱帯夜であった。真昼の最高気温35.4度、また3日夜は21時すぎまで30度以上、翌3日朝も熱帯夜が続いた。 これに対して東京では、3日の最高気温29.5度、最低気温19.1度であり6度ほど低いことが分かる。西日本から上京する人は涼しいなあと感じるが、逆に東京方面から西日本に出張する人はたまったものではなないだろう。熱中症にならぬようご注意ください。 |
【思ったこと】 _40703(土)[心理]「活きる」ための心理学(3)「性格」概念の有用性と限界 自治体主催の生涯学習講座(4回シリーズ)の出講2回目。この日のテーマは「性格と行動」であり、 自分や他人を理解することと、性格を知ることは同じことであるように考えられがちですが、それだけでは不十分です。血液型性格判断などの俗説の問題点を指摘しながら、毎日の行動がどういう仕組みで起こっているのか、理解することを目ざします。という趣旨で2時間の講義を進めた。 前半では、まずパーソナリティあるいは性格の定義について簡単に紹介した。なおこの件については、長谷川が学部演習の一環として開設したミニマムサイコロジーというサイトにも、受講生が作成した解説記事があるので参照されたい。 次に、長谷川自身は、「性格」概念を
上記のうち2番目は、食べ物の好みを例にとれば分かる。例えば、大切なお客を食事に招待する場合を考えよう。何百種類もの料理について、そのお客の好みの個別に調べることは現実に困難である。しかし、お客の好みを「和食嗜好」、「洋食嗜好」、「中華嗜好」というように3つの軸で分類整理しておけば、次にどういう料理を用意すれば喜ばれるかということがある程度予測できるようになる。 同様に、ある性格検査でその人の社交性が高いか低いかを知っておけば、その人が大勢の人々の前でどういう行動をとるかということがある程度予測できる。 このような有用性があるとはいえ、「性格」は必ずしも行動の原因ではない。上の例で、あるお客が「中華嗜好」であったとすると、そのお客は「酢豚」や「八宝菜」や「餃子」、あるいはもっと高級な「北京ダック」や「フカヒレ料理」をたくさん食べるかもしれない。しかし、それは決して「中華嗜好」なる脳内物質やら脳内回路があって、「中華料理を食べる」という行動の原因として機能しているわけではない。何かを選んで食べるという行動の原因は全く別のメカニズムによって起こるのである。 「性格」は行動の原因ではないという事例として、このほか「紙と石にマッチの火を近づける」という例を挙げることがある。紙と石の同時に火をつければ ●紙→燃える→紙には「燃えやすい性質」 ●石→燃えない→石は「燃えにくい性質」 というようにそれぞれの「性格」が見出され、これを知ることによって例えば、
「同じ環境」に置かれた複数の人間がそれぞれ別の行動を起こした時、我々は、その差違は個々人の「性格」の差によって生じると考えがちである。しかし、それは
「個体差」あるいは「性格の違い」を行動の原因と見なしている限りは、行動を前向きに改善することはできない。「性格を変えればいい」などと無責任なことを言っても、具体的な方策を見出すことは不可能であろう。 次回に続く。 |