じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 百日紅。たまたま「オモテ年」にあたっているのか、日照りが続いているせいかよく分からないが、今年はサルスベリが例年以上にいっぱい花をつけている。1999年7月9日の日記にあるように、ここに咲いているのは、もともと「一寸サルスベリ・あすか混合」という矮性早咲き種から育てたもの。但し、こぼれ落ちた種から育った二代目、三代目の株であるため、先祖返りして背丈が大きくなっている。


7月28日(水)

【ちょっと思ったこと】

Googleでヒットしにくい情報

 昨日の日記で、高校野球地方大会の昨年の結果を今年と取り違えたと書いた。その時に追記したように、7月28日時点で、Googleで「高校野球西東京大会」というキーワードで検索すると、一位はYahooのテレビ中継案内、二位にはasahicomの昨年度の優勝校が表示される。高校野球にあまり関心がなく、かつ、「2003年」という表示を見落とすと、今年の結果であるように錯覚してしまう可能性がありそうだ。

 Googleは大変便利な検索ツールであり、私自身、Microsoft Internet Explorerのツールバーに組み込んで愛用しているところであるが、最新情報を見ようと思った時にはけっこう不便なことが多い。

 例えば、今年の夏以降に、心理学関係の学会年次大会がいつ頃行われるのかをGoogleで調べたとする。キーワードとして「心理学会 年次大会」と入れると、7月29日時点では、
  • 日本理論心理学会の2002年度大会がトップ
  • 次いで、すでに終わってしまった日本社会心理学会の大会【2004年7月18日(日)〜7月19日(月)】
  • 3番目は学術集会の一覧という医学系の学会案内サイトに行き当たるが、これもなんと、2002年度のリストとなっている。
 このように古い情報が上位にランクされやすいのは、おそらく、昔から設置されているページのほうがトータルのアクセス数が多いため、また、ユーザーが、古い情報だと知らずにGoogle検索結果から次々とクリックしてしまうために、ランクがなかなか下がらないことに原因があるのではないかと思われる。

 ではどうすれば、最新の情報をゲットできるのか。1つは、「心理学会 年次大会」の代わりに「心理学会 年次大会 2004年」というように年を入れること。こうするとランキングトップには今年度の一覧が表示される(但し、あくまで医療系が中心となるが)。

 「心理学会 学会一覧」という検索語なら有益情報がヒットするかとおもったが、ランキングトップのこちらには、2001年4月の情報しか載っていない。

 本日朝5時45分からの「モーニングサテライト」で、ウォールストリートジャーナルにGoogleの今後の発展性についてのリビューが載ったと紹介されていた。個人的な考えだが、最新情報が上位にランクさせられるようになれば、さらに利便性が増すのではないかと思う。
【思ったこと】
_40728(水)[心理]「活きる」ための心理学(16)競争原理

 自治体主催の生涯学習講座の4回目(7月24日実施)の講義メモの続き。この日の講演予告に「働くことが生きがいに結びにつきにくい理由をさぐり、成果主義、生涯現役主義、高齢者のレジャーと生きがいの問題などを考えます。」と書かれてあったことをふまえ、競争原理のしくみや生きがい、働きがいとの関係について少しだけ話をした。

 まず、競争原理は「原理」と呼ばれるが、行動分析的に見れば、原理ではなくて、行動随伴性のセットであるということを強調した。

 『競争の原理』(堺屋太一・渡部昇一、致知出版社)や、渡部昇一氏の講演などでは、競争原理は
  • 生命発展の不変の原理であり、競争はいわゆる戦いである。.....【中略】.....競争がなければ進歩はない。進歩がなければ生き残れないというのが、この世の宿命なのである。
  • 棲み分け社会は、進化した別の動物が侵入してくるとたちまちやられてしまう。これからの日本の教育を考える上で重要なことは「進化論的な世界に入っていく覚悟を決めること。」そして「選択肢を増やすこと」である。【長谷川の要約】
などと紹介されている。しかし、これらの考えについて
  1. 1つの国において、自由競争が起こることで国が発展し、結果的に競争の勝者が権力を握り、今度は安定のための統制(棲み分け)がなされるようになるという、歴史的な繰り返しがあることは確かだろう。
  2. 但し、生物の進化からのアナロジーは危険。生物進化と経済発展が同一であるという証拠はない。また、生物進化は食物連鎖を前提として成り立っており、決して最強者だけが生き残るわけではない。
  3. 成功者(勝者)のみを過大評価してしまう恐れがある。
  4. 競争原理に含まれる行動随伴性は、資源が無限で努力に応じて結果が得られる環境では、行動を有効に強化するだろう。しかし、資源が有限な環境にあっては、持続可能性重視の共生的環境も必要な場合がある。
という見方もできる。

 いずれにせよ、競争は人間行動をダイレクトに制御する要因にはならない。 また、行動随伴性の視点から眺めてみると、競争に含まれる一番大きな随伴性は「〜すれば現状が維持される。〜しないと現状が失われる。」という「好子消失阻止」や「嫌子出現阻止」の随伴性である。 阻止の随伴性は、防災のように人の命を守る上で有用な反面、「いま攻撃しておかないと自国が侵略される」というように先制攻撃の口実に使われる場合もあるし、「頑張らないと会社がつぶれる」というように叱咤激励の手段として使われる場合もある。次回に続く。