じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 10月18日朝の日の出。川村学園女子大学の斎藤哲瑯教授のグループが今年6月に関東と東北の小学5年生から中学2年生まで2100人あまりを対象に行った調査によれば、「日の出・日の入りを1回も見たことがない」と答えた子どもは全体の50.7%で、平成3年以降4回行われた調査の中で初めて半数を超えたという。
日の出の時間帯にまだ寝ているというのは分かるが、日の入りだったら、塾通いの途中でも見られるはず。「木の実や野草をとって食べたことが一度もない」(57.4%)や、「川や海などで魚釣りをしたことが一度もない」(47.4%)という自然体験の乏しさと、「日の入りや日の出を見たことがないという体験」の乏しさは必ずしも同質ではないように思う。単に、高層ビルがたくさん建っていて地平線が見えにくくなっているためだろうか。


10月17日(日)

【ちょっと思ったこと】

松井秀喜選手は偉大だが、NHKの偏重報道はどうかと思う

 各種報道によれば、大リーグプレイオフ、ヤンキース対レッドソックスの第3戦が16日(日本時間17日午前)に行われ、4番の松井秀喜選手は本塁打2本、2塁打2本を含む6打数5安打5打点の大活躍。地区シリーズから通算したプレーオフの打率は5割、ヤンキースは19対8で大勝して、2年連続のリーグ優勝に王手をかけた。

 松井選手のこのような活躍はまことに偉大。今後さらにワールドシリーズでも勝利に貢献していけば、(イチロー選手は非公式辞退してしまったが)国民栄誉賞候補に挙げられても不思議ではない。

 しかし、だからと言って、翌日朝になってもNHKニュースで大々的に取り上げるのはどうかと思う。朝6時台のNHKニュースは、トップ項目5項目
  • 国会 きょうから衆院予算委
  • 松井秀喜選手 5安打5打点
  • 郵便局の設置基準 緩和の方向で検討
  • 脂肪つきにくくする仕組み解明
  • 知事選 新潟は泉田氏 富山は石井氏
の2番目に松井選手のことをランクし、また朝7時台ではなっなんと冒頭の映像で、国会論戦が始まるというニュースと合わせて松井選手大活躍を伝えていた。ちなみに、朝6時台で、松井選手のニュースの中味が伝えられたのは6時9分頃、6時10分頃からのスポーツコーナーはサッカーのニュースだけで日本シリーズの結果は伝えられなかった。6時半からのスポーツコーナーのほうは、日本シリーズ、次いで松井選手という順であった。

 Googleで「じぶん更新 マツイ」を検索すると25件がヒットするが、その大半はNHKの「マツイ偏重報道」を批判したものである。くれぐれもお断りしておくが、松井秀喜選手御自身にはこのことの責任は一切無い。松井秀喜選手の地道な努力とその成果をけなすつもりは毛頭無い。

 しかし、このことと、ニュースとしての重みとはゼンゼン性格が異なる。

 新聞テレビ欄によれば、松井選手が大活躍した試合は10月17日の朝9時10分から12時まで(日本時間)、NHK衛星第1で中継されていたことになっている。その映像は、17日夜のNHKニュースでも繰り返し伝えられた。視聴者の大半は、17日のうちにそのことを知っていたはずである。なぜ、そのような古いニュースが、翌日6時台のトップ項目の2番目、あるいは7時台冒頭の映像で流されなければならないのか、受信料を払っている一視聴者として、このことを問題視しないわけにはいかない。

【思ったこと】
_41017(日)[心理]血液型差別番組を考える(12) 血液型相性判断をクリティカルな目で捉え直す(その1)

 これまでの考察で、「血液型と性格」の議論は

レベル1:統計的には有意であるが実用的には役に立たない程度の僅かな差
レベル2:実用的価値があるほどの顕著な差
レベル3:生まれつきの属性(性別、血液型、人種など)と結びつけて他人を判断してしまうことの不当性

 という3つのレベルに分けて考えるべきだということを繰り返し主張してきた。そして、10月14日の日記では、少なくともレベル2の議論に限っては、「血液型肯定論」、「血液型否定論」という対立軸を設けるのは誤りであり、むしろそれらは、
  • 血液型コダワリ主義:なんでもかんでも「血液型と関係があるかないか」に結びつけてしまう人。
  • 血液型クリティカルシンキング:自分の考えに固執せず、血液型以外が関与する可能性も幅広く考慮に入れられる人。
と呼ぶべきであると主張した。このうち「血液型コダワリ主義」は当初「血液型教条主義」と呼んでみたが、少々硬すぎる表現であり、今回は「コダワリ主義」に改めてみた。これ以外にも、「血液型固執論」、「血液型コジツケ論」などいろいろ浮かぶが、今ひとつピンと来ない。「コダワリ主義」という呼称はあくまで仮称であり、最善の呼称については依然として思案中であることをお断りしておく。

 さて、先日の「発掘!あるある大事典2 秋の芸能人血液型スペシャル」(10月11日の日記参照)では
各血液型者男女各1000人、計8000人にQ1「相性の良い異性の血液型は?」、Q2「相性の悪い異性の血液型は」という質問を行い、「相性が合う」回答数と「合わない」という回答数の差をランキングに使った。
という調査を行ったという。「血液型コダワリ主義」の人たち、あるいは番組制作者や司会者は、そこで見られた違いを何でもかんでも血液型の違いに起因するものであると解釈してしまう。これに対して「血液型クリティカルシンキング」の立場は、
  • 物事を一面的ではなく、多面的に見たり考えたりする
  • 問題を解決するのに、いろいろなやり方を考え、試そうとする
  • 自分の考えに固執せずに、論理的な正しさや客観性を重視する
という立場から、「血液型による違い」には何らかの歪みやアーティファクト、別の原因などが働いているのではないかと、多面的な分析を行おうとするのである。

 この「クリシン」の立場からとりあえず考えられる問題点は、10月11日の日記にすでに記してある。やはり、一番可能性が高いのは、
回答者はおそらく、自分の身の回りの人たちとの相性を周到に分析したのではなく、「血液型ステレオタイプ」に基づく「性格類型」、つまり、実際の血液型者ではなく、ステレオタイプに植え付けられた「血液性格型」への相性について答えている可能性が高い。
という点だ。例えば、過去のテレビ番組、雑誌記事、単行本などの影響により「血液型X型」について何らかの悪いイメージが植え付けられてしまっている人は、生身のX型者との相性ではなく、「X型イメージ」に対する好き嫌いによって相性についての回答をしてしまう。そして、同じ先入観をもって初対面のX型者に接し、実際とイメージが矛盾した時には「あなたの血液型はX型だが、X型にはとうてい見えない」というようなステレオタイプ丸出しの反応をしてしまうのである。

 ネットで検索したところこちらの方がすでに同じことを指摘しておられるが、まさにその通りである。
 発掘!なんとか大事典で、8000人にアンケートしたなどというから何かと思えば、なんとばかげた調査もあったものである。それで分かったことは、8000人分のステレオタイプの集積であって、なにか8000人も使って検証したのではなかった。
「血液型による相性について人々が持っているある種の信念」についての調査である。なにがばかげているかって、8000人もそろえても、8万人いや8億人そろえても、相性についての何かを検証するデータにもなりはしないであろう。
 では、その可能性を証明するにはどうすればよいか。クリシンの練習として、次回までにぜひ一緒に考えていただきたい。