じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真]
 エリカ。昨年1月26日の日記に掲載したのと同じ株。厳しい寒さにもめげず花をつけている。


1月11日(火)

【ちょっと思ったこと】

マックホルツ彗星4回目と素晴らしい画像

 1月11日の夜、双眼鏡でマックホルツ彗星を眺めた。プレヤデスからはさらに遠ざかっていたが、すぐにそれと分かる明るさだった。

 この彗星がプレヤデスに接近した時の写真が各種サイトに公開されているが、なかでもスゴイと思ったのが星の風景というサイトの中の1月7日から10日に撮影されたツーショット写真である。1月8日の日記で「ぼんやりではあるが、ニンジン状に尾が広がっているのも見えた」と書いたが、これらの写真を拝見する限りでは尾はそんなに明るくないようだ。レンズの反射だったのかもしれぬ。

 なお、翌12日の早朝5時半頃の南東の空にはアンタレスと火星がほぼ同じ明るさで、赤い光を放っていた。6時40分頃には金星と水星が接近して光っているのが見えたが、このころには空もだいぶ明るくなり、他の惑星と同時に眺めるのが困難となっている。天文年鑑によれば、金星と水星は6月28日に0度05分まで接近するという。6月の「最接近」は夕刻の空で起こるので早起きの必要はない。西の空が開けている場所なら容易に観察することができるだろう。

1/12追記]
 月の女神様より、こちらの画像を教えていただいた。どうもありがとうございました。日本国内では、この瞬間は昼だった?

【思ったこと】
_50111(火)[心理]「傾向がある」ことへの対策(その2)「有意である」ことへの誤解

 昨日の続き。

 ところで、この連載では「傾向がある」というのはあくまで「統計的に有意である」という意味で使おうと思っているが、毎年の卒論や各種研究発表を聞いていると、時たま「統計的には有意ではないが有意な傾向があった」などという妙な言葉を使う人が出てくる。しかし、あれは全くの慰め言葉。自分の仮説を支持する結果を得たいという気持ちは分かるが、あらかじめ設定された有意水準のもとで検定を行った以上、その結果は、「有意」と「有意でない」のいずれかであって、その中間に「傾向」があるわけではない。このあたりのことはこちらの2.3.1をご参照いただきたい。

 それからこれもよく誤解されるが、「有意である」か「有意でない」は、シロかクロかという判断とは違う。「有意である」は「クロの確率がきわめて高い」、いっぽう「有意でない」は「灰色かもしれないがクロと断定するほどの証拠にはなっていない」という程度の意味にすぎず、シロの積極的証拠にはならない。

 新聞やテレビで「統計的に有意であった」と紹介される調査・実験結果は、概ね、以下の3つのタイプに分けることができる。
  1. 2つのグループの平均値の差が有意であった。
  2. 比率の偏りが有意であった。
  3. 相関係数が有意であった。

 いずれのタイプの場合も、有意水準は「p<.05」とか「p<.01」という確率で示される。しかしこの場合のp値の解釈についてもいろいろと誤解が多い。こちらの2.3.1にも記したように、p値というのは、

●帰無仮説が真のもとでの“観測値の出現率”を計算しているにすぎない。

 「片側検定か両側検定か」とか検定力とか、厳密にはいろいろ書き足す必要があるが、とにかく、大ざっぱに言えば、1.から3.における「有意」とは、それぞれ、
  • 「平均値が等しい」、「もともとの比率どおり」、「相関はゼロ」という仮説が真実であったとして
  • 実際にそこからサンプルを集めた場合
  • 観測された程度またはそれ以上の差や偏りが起こりうる確率は5%未満(あるいは1%未満)である
ということを意味しているにすぎないのである。従って、上にも述べたように、「有意」すなわち「クロ」ではない。調査対象における、緊急性、重大性、操作可能性、コストなどを勘案しながら、実際には差がないのに差があると検定してしまうリスク(Type I error)と、実際には差があるのに差がないと検定してしまうリスク(Type II error)を天秤にかけて、適切に対処していくほかはない。

 次回以降では、「真実はいつ分かるのか」、「有意差があることと、著しい違いがあることは別だ」といったことを述べていく予定。