じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真]  農学部農場の梅が、今年最初の花を咲かせた。


1月16日(日)

【ちょっと思ったこと】

震災とマンション暮らし

 NHKスペシャルで5回にわたり震災10年「いのち守るために」シリーズを放送している。このうち、1月16日(日)放送の「マンション再建 住民の選択」では、「建て替え」か「補修」かの決定ができずに10年目を迎えたマンションのことを紹介していた(←番組によれば昨年11月にやっと87%の賛同で建て替えが決議された)。

 映像を見る限りこのマンションは建物各所に亀裂が入り、補修で元通りになるような状況には到底ないように思われる。にも関わらず「建て替え」に賛同できないのは、Wローンなどの経済的負担が重すぎるからだ。とはいえ危険を放置して廃墟化するわけにもいかない。また住民の間の感情的な対立もそうかんたんには解消しない。

 それより少し前の1月13日(木)には、新潟県中越地震で大被害を受けた山古志村の住民たちの気持ちが綴られていたが、こちらのほうはマンション住民とは対照的であり、気持ちを1つにして復興に取り組んでいるように見受けられた。日々支え合いながら土地に根を下ろして生活している農村と、しょせん区分所有権の集合体にすぎず住居以外に共通基盤を持たない都市マンションとの間で違いがあるのは当然といえば当然かもしれない。

 16日の放送では、別のマンションの事例も紹介されていた。人間関係にくたびれて近郊農村に移り住んだという元・管理組合理事長の話題が印象に残った。

 一戸建てか、マンションか、というのは私自身の老後の生活における重要な選択肢となっているが、最近ではマンション志向が強い。理由は、ベランダからの眺めが良いこと、長期間留守にしていても防犯上の不安が少ないこと、家屋のメンテで気をつかう必要が無いこと、などだ。とはいえ、万が一震災に遭ってしまったら、いろんな対立の渦と新たなローンに追われる恐れは大きい。ま、その時はその時、と考えてもよさそうな気もするけれど...。




「お〜になる」という敬語表現

 夕食時に新番組「平成教育2005予備校」の一部を視た。クイズ内容にそれほど新鮮味は無かったが、

●お気をつけてお帰り下さい。

は敬語として不完全であるということは知らなかった。番組によれば、「気をつけてお帰り下さい」はよいが、「気をつけて」というように「」がついた場合は、「〜になる」とセットで使わないと正しい敬語表現にならないということであった。

 ネットで検索したところ、こちらに詳しい解説があった。

 もっとも最近では「〜になる」という敬語表現はあまり聞かれないなあ。食堂で「トンカツ定食になります」などと言われて違和感を覚えるくだいのものだ。


【思ったこと】
_50116(日)[教育]今年のセンター試験(2)英語出題者の気象知識

[天気図]  昨日の日記で、英語試験の第五問天気図にツッコミを入れた。少なくとも北半球中緯度地方ではマル5のような形(右図)で寒冷前線が現れることはないはずだ、というのが私の指摘であった。

 もちろん、英語力を試す問題としては妥当であり、「我々が居るJonestownの南にAxelrod湖、北西にBlue Hills、北東にPeyton市があるという配置から、解答番号40の正答はマル5以外にはありえないことが分かる。しかし、少なくとも北半球中緯度地方では、寒冷前線が北東から南西方向に南下するということは考えにくい。いったい、Jonestownは地球上の何地方にあるのだろうか。

 まず、熱帯地方の可能性だが、「...it's going to get colder in Jonestown.」という会話があることから、暑い地域であるとは考えにくい。また、雨のマークとして「マルにR」を使用しており、曇り記号は「マルにCでしょう」と子どもが喋っていることから(←実際は、「●」マーク)、英語を母語とする国であると推測される。

 では、南半球ならこういう天気図はあるだろうか。CNN-Weatherからオーストラリア・ニュージーランド方面の天気図を参照してみたが、この地域では寒冷前線は、南西から北東方向に動く模様である。だいいち、南半球では南に行くほど寒いので、北東から南西に寒気が入り込むというのは考えにくい。

 この問題ではもう1つ

●...the wind is from the northeast, and it's likely that the cold front will move past Lake Axelrod by this evening.

という部分も気になった。「北東から風が吹いており、寒冷前線も北東から南西方向に移動しそうだ」と予測しているようだが、寒冷前線というのは風船みたいにフワフワと風に流されて移動するようなものではない。前線自体が風を吹かせるのである。前線近くの風向は、前線の移動方向とは一致せず、しかも、通過前と通過後では逆向きに吹くことが多い。例えば「春一番」の時は、寒冷前線通過前には南風、通過後には北西の風が吹き荒れることになる。そういう意味では、寒冷前線通過前から北東の風が吹くというのは奇妙である。

 このほか、解答番号41、42のところで

●The weather in Jonestown was sunny at ten o'clock in the morning.

が会話内容と合っている選択肢の1つに挙げられているようだが、これもどうだろうか。会話の冒頭でBobbyが「いま10時だ」と言っていることから、子どもたちは10時にはすでに建物内に入っているはず。例えば9時半から入館していたとしたら、10時の時点の屋外の天候は分からないはずだ。Coleさんが「着いた時、晴れていたでしょ?」と言ったのは、9時半頃の天気のことではなかったのか。寒冷前線通過前は天候が急変するので、10時になっても晴れていたか、すでに曇っていたのかは分からないと思うのだが。

 ということで、センター試験英語問題の出題者が気象に関してどの程度の知識を持っていたのか、はなはだ疑問。