じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

2月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

[今日の写真]  飼育中のスジエビ。昨年11月28日に「救出」したエビが元気に暮らしている。過去一度だけ繁殖に成功したことがあったが、大きくなるまで育てることはできなかった。今回はどうだろうか。


2月9日(水)

【ちょっと思ったこと】

食事内容を記録し親や本人に知らせるサービス

 2月10日のNHKまちかど情報室で『大学生の食生活を正しく』という話題を取り上げていた。1番目は、鹿屋体育大学で、寮の学生に朝食をとることを義務づけているという話題。朝食代は一括前払いとなっており、かつ、朝食をとらない場合は届け出を出さなければならない。自主的な健康管理を呼びかけるだけでは限界があったということなのだろう。

 2番目は、九州地区の大学生協で導入されている「大学食堂での食事内容を記録し親や本人に知らせるサービス」というものだ。毎回の食事の内容がカロリーや栄養カテゴリーと共に記録され、希望する親や本人に定期的にフィードバックされるというもの。

 生協食堂で組合員証の呈示だけを求めていた時代には2番目のサービスは実現不可能であった。生協組合員証をICカード化し、ICカードで支払い(プリペードもしくはクレジット)を済ませるようになったことによって実現されたサービスであるとも言える。生協側としても、それらの情報を入手することで、食材を無駄なく調達することができるし、毎日の利用を促すことができるというメリットがある。

 もっとも、最近の生協食堂では、サラダや惣菜の「均一量り売り」を実施しているところが多い。この場合、お皿の重さだけで支払いをすることとなり、お皿の上にミニトマトが乗っているのか海藻サラダが乗っているのか、といった細かい内容はチェックされない。副食の多くが「均一量り売り」方式で提供されている限りは、正確な記録を取ることは難しいのではないかと思う。

【思ったこと】
_50209(水)[教育]我が国の高等教育の将来像(3)大学のポジショニングと機能別分化

 2月6日に東京八王子・大学セミナーハウスで行われた、

「我が国の高等教育の将来像」

というセミナーの感想の続き。  中教審答申の内容はこちらにWeb公開(pdf形式)されているので、併せて御覧いただきたいと思う。
 さて今回の答申13〜14頁には
大学・短期大学・高等専門学校・専門学校が,各学校種ごとに,それぞれの位置付けや期待される役割・機能を十分に踏まえた教育や研究を展開するとともに,各学校種においては,個々の学校が個性・特色を明確化することが重要である。
と記されている。しかし、現実にはすでに各大学が、それぞれの力量と経営上の戦略から改革に取り組んでおり、わざわざ指摘されるまでもないという意見もあった。

 このことに関しては、前日の「プロが担う大学教育ー法人化時代の教学経営」という別セミナー(私自身は、講演のみ参加)でも言及された。
どうでもよいことだが、この記録の「基調講演会場」という写真で、中央ホワイトボードの手前に座ってこっちを向いているのが私。

 講演者によれば、経営上の観点から見た大学のポジショニングは、「先端市場か不易市場か」、および「小さな市場か大きな市場か」という直交軸により四象限に分類される。例えとして妥当かどうか分からないが、レストランに例えるならば、「先端市場か不易市場か」というのは「高級専門料理か、大衆食堂か」、「小さな市場か大きな市場か」は利用客の数を表すと考えてよさそうだ。

 「先端市場かつ小さな市場」というのはコスト高であり、通常は経営が成り立ちにくい。それが可能となるのは、大学院、公的支援が受けられる大学、あるいは、資産豊富な大学に限られる。

 同じく、「不易市場で小さな市場」というのも原理的には成り立ちにくい。しかし、多くの短大が改組・4年制大学化をめざす中で、逆に、生き残り短大として特色を出すことで地域のニーズにあった経営が維持できるところもあるらしい。

 「不易市場かつ大きな市場」を維持する大学の中には、50年以上にわたりずっと同じ教育体制を維持し続けてきた外語系大学もあるという。改組ばかりを口にしてヘンテコな学科、専攻名を考案するよりはずっと堅実かもしれない。

 「先端市場かつ大きな市場」を目ざす大学は、しばしば、文理融合や学際分野に特色を出そうとする。但し、「先端分野」イコール「有望な就職先」というわけでもない。リスクも伴うようだ。

 以上のポジショニングに対しては、「こういう分類では、若者に語りかける座標軸にはなっていないのでは」という指摘もあった。

 なお、元に戻って、今回の中教審答申の中では
各大学は,固定的な「種別化」ではなく,保有する幾つかの機能の間の比重の置き方の違い(=大学の選択に基づく個性・特色の表れ)に基づいて,緩やかに機能別に分化していくものと考えられる。....こうした大学全体としての多様性の中で,個々の大学が限られた資源を集中的・効果的に投入することにより,各大学の個性・特色の明確化が図られるべきである。
という記述もある(14頁)。大学別の種別化ではなく、「幾つかの機能の間の比重の置き方の違い」により「緩やかに機能別に分化」が図られているというのが、個性・特色の内容となっている。

※13頁の枠内あるいは14頁に大学の機能として7つの機能が挙げられているが、質疑によれば、これらは精密にカテゴライズしたわけではなく、あくまで例示ということであった。

 次回に続く。