じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
FDセミナーの開始時刻が13時からとなっていたので、朝早く岡山を出て、午前中に円通寺に寄ってみた。ここを訪れるのはかれこれ25年ぶりになるかと思う。当時は写真撮影厳禁となっており、鞄の中のカメラも入り口で預けなければならなかった。ところが今回は、庭園側の撮影はOKであるという。こちらの情報によれば、「庭はこれまで撮影禁止でしたが、寺は借景が破壊される前に記録を残すため、庭の撮影を解禁しています。」ということだそうだ。四季それぞれの趣があるので、写真好きであればあるほど、何度も足を運ぶことになるだろう。 |
【思ったこと】 _50306(日)[教育]大学コンソーシアム京都 「評価される大学教育」(2)猪口邦子氏の基調講演(2) 3月5日・6日に行われた ●大学コンソーシアム京都 第10回FDフォーラム 「評価される大学教育」 の感想の2回目。昨日の日記に引き続き、猪口邦子氏の基調講演『21世紀国際社会と日本の大学の使命』について感想をのべさせていただく。 講演の中でも触れられていたが、猪口氏はこちらに、非常に充実したWebサイトを開設しておられる。昨日の日記で「シラバスで大切なのは、毎回の授業の必読文献がちゃんと示されていることだ」と述べられたことを書いたが、確かに、こちらやこちらを拝見すると、相当数の文献が紹介されていることが分かる。多少ツッコミを入れさせていただくと、「上智大学2004年度 国際政治研究 (国際政治の諸理論)」の「講読文献」のところが「購読文献」といように誤変換されている。関係者の方がもしココをご覧になっていたら、ご進言をお願いします。。 さて、今回はもう少し細かい点について印象に残ったことをメモさせていただく。 まず、パワーポイントの使い方。猪口氏は、パワーポイントは、地図、図形、年表にとどめ、後は板書をするほうがよい、というお考えを示された。これは受講生にとってのノートのとりやすさ、それと、地図や図形や年表は板書に時間がかかりすぎるという点に配慮されたものと思う。 ちなみに、私が毎年担当している教養教育科目の場合は、スクリーンが正面黒板の手前に降りるような設備となっているため、すべてパワーポイントのみで授業を行っている。板書をするためには、いちいちプロジェクターをoffにして、スクリーンを上部に格納する必要があり、これは現実に不可能だ。このあたり、教室の設計にも配慮が必要かと思う。 板書の意義については、翌日の分科会でも話題となった。受講生との共同作業(=教員は板書し、受講生はノートに記す)という意味もあり、パワーポイントでは代替できない魅力もある。なお、私の場合、パワーポイントスライドの内容は、著作権上問題のある部分を除き、すべて、それぞれの授業専用サイト(公式サイトの右側)に掲載するようにしている。次年度からは、それぞれの授業の一週間前には掲載し、各自が必要に応じて印刷、あるいはダウンロードできるように配慮したいと思っている)。 次に質問の受け方について。猪口氏によれば、良き質問者になることも国際的コミュニケーションにおいて大切なことであるという。日本では質問というと、自分がよく分からないことを訊くという意味に受け止められがちであるが、良き質問は、授業あるいは会議を発展的・建設的な方向に向かわせることができる。じっさい、院生や学生の合同発表会などの様子を見ていると、参加者はもちろん、教員の中にさえ、個人的に関心のあることとの関わり、あるいは個人的な疑問を解決ことだけを目的としたような質問をする人がいるが、これでは他の受講生にとっては時間の無駄である。大勢の人の前で質問する以上は、例えば、講義内容の曖昧な点について確認を求めるとか、新たな視点を提示するといった建設的な質問をすることで、受講生全体の理解を深めることができる。 最後に、英語を上手に使えるようになる秘訣ということであるが、猪口氏のオススメは、とにかく、暗記しなければダメということであると理解した。英語を書くということに関しては代筆してもらうこともできるが、自分で英語を話す時には人に頼れない。これは、国際会議の議長をつとめられた方ならではの重みのある言葉である。具体的には、声を出して反復することが大切。といっても、能力が高い人ほど反復は退屈な作業となるので、例えば、毎日、ニュースサイトのフロントページを声を出して読むというように、各自が関心のあるジャンルを教材に選ぶことがオススメだそうだ。 ということで、私の理解した範囲で、御講演についての感想を終わらせていただく。本日の日記では少々脱線したが、猪口氏の今回の御講演のキーワードはあくまで「認識形成と表現力」ということであった。Googledeで「猪口邦子 認識 形成 表現力」という検索語を入れると、関連サイトが260余りヒットするので御参考にしていただきたい。 次回は、基調講演に引き続いて行われたシンポジウム『誰のための評価?』について感想を述べる予定。 |