じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 夕焼けに染まる農学部東西通りの銀杏並木(3月7日18時撮影)。この季節、街明かりの少ない地域では日没後の黄道光が観測できるはず。


3月8日(火)

【ちょっと思ったこと】

ライブドアvsフジテレビにTopニュースとしての価値はあるか

 このところよく耳にするのが、ニッポン放送の株の買い付けをめぐるライブドアとフジテレビの争いについてのニュースである。3月9日朝6時台のNHKおはよう日本では、ニュースのTop項目で「株問題 焦点は司法の判断へ」というタイトルでこの問題を取り上げ、さらに7時台のニュースでは、いきなり、堀江社長と日枝会長の顔写真を流した。また、朝日新聞(大阪本社)の一面トップでも「ニッポン放送株 フジ36.47%確保」という見出しでこのニュースを取り上げていた。

 3月8日にフジテレビのTOB成功という新しい変化があったことは事実ではあるが、そもそも、なんでこんな問題がTopニュースでなければならないのか、私にはよく理解できない。

 しょせんこの問題は、一私企業の支配権争いのようなもの。制度上の不備は法改正で対処する必要があるとして、とにかく、ライブドアが勝とうがフジテレビが勝とうが、それによって日本国民が重大な危機に晒されるというような出来事ではない。

 仮にライブドアの勝利によってニッポン放送やフジテレビの放送内容が変わったからといって、民放としての特色と多様性の範囲内の変化であるならば気にすることもなかろう。というか、少し前の「血液型」番組に対する「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の対応を見てもわかるように、青少年に悪影響を与えるようなテレビ番組の内容については、経営者が誰であっても歯止めがかけられるようになっているはずだ(←堀江氏がフジテレビの社長になったら番組が悪質になると言っているわけではゼンゼンない。念のため)。

 そんな一企業のことより、公共放送としてのNHKのあり方を議論することのほうがよっぽど重要だと思うのだが...。

【思ったこと】
_50308(火)[教育]大学コンソーシアム京都 「評価される大学教育」(4)大学ランキングは必要か?(2)

 3月5日・6日に行われた

●大学コンソーシアム京都 第10回FDフォーラム 「評価される大学教育」

の感想の4回目。昨日に引き続き、

●『誰のための評価?』

というシンポの中の清水建宇氏(朝日「大学ランキング」編集長・朝日新聞論説委員)の話題提供について感想を述べることにしたい。

 昨日の日記でも述べたが、教育評価のランキングとなると、どうしても、教育のインフラ程度の比較、つまり、各大学の教育環境(校舎、教員/学生比、図書館利用度、IT環境)などについての比較しかできないという問題点がある。

 これをおぎなうため、大学ランキングでは、学長や企業の注目度という指標も取り入れている。学長は、自分の大学の経営に責任を持つという立場から他大学の状況について強い関心をもっている。そこで、主観評価ではあっても、「注目度」を集積すればそれなりの信頼性が出てくるという発想がなりたつ。企業の人事担当者の評価も同様だ。

 もっとも、いくら学長といえども、他大学に出向いて詳細な調査をしているわけではない。次回以降で詳しく述べる予定であるが、各大学のFDの比較調査の中にはかなりいい加減なものもあり、そういう調査結果を鵜呑みにして「聞いたことがある」程度の噂やイメージが定着してしまえば、主観評価もかなり偏ったものになるだろう。




 質疑の時間に、「相対評価が必要であるとしてもランキングまでは不要。せいぜい、ホテルの格付けのように★マークの数で表すとか、ABCDEの5段階評価程度でよいのではないか」といった質問が出された(←文言は、趣旨を損なわない範囲で長谷川のほうで改変)。

 これに対して清水氏は、そういう大雑把なものではダメだ、より詳細な評価が必要であると答えておられた。もっとも、数値がいくら細かくても、その値に信頼性・妥当性が無ければ意味が無い。それと、小数点刻みで順位づけをしたところで、選択(←昨日の日記参照)が容易になるという保証もない。このあたりはもっと議論が必要かと思う。

 なお、清水氏は、それぞれの評価項目についての詳細なランキングは重視するものの、総合的なランキングについては否定的な意見を述べられた。これは私も同感である。「総合」にふさわしいような網羅的な調査が可能であるのか、内容評価項目をどう重みづけするか、といった点できっちりした合意がなければ数値だけが一人歩きしてしまう。

 次回に続く。