じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
朝食前の散歩から戻る途中、日の出前の東の空に「光の柱」が立っていることに気づいた。早足で家に戻ってベランダから撮影。すでに陽は昇っていたが、なんとかカメラに収めることができた。撮影時刻は6時28分頃。 |
【思ったこと】 _50313(日)[教育]大学コンソーシアム京都 「評価される大学教育」(7)河合塾「学生による授業評価比較調査」の問題点(2)授業評価アンケートは質問項目が多ければいいというものではない 3月5日・6日に行われた ●大学コンソーシアム京都 第10回FDフォーラム 「評価される大学教育」 の連載7回目。前回に引き続いて、 ●滝紀子氏(河合塾大学事業本部長):学生による授業評価−−−14大学の授業評価制度の総括と今後の課題 のご発表内容に関して、問題点を指摘させていただくことにしたい。 発表スライドの13枚目では、各大学(←実際には、各大学で実施されている調査の一部分)の授業評価アンケートにどのような質問項目が含まれているのかを、
各大学(←実際には、各大学で実施されている調査の一部分)でどういう質問項目が含まれているのかということを情報として提供するだけならばいい。しかし、★マークの数を合計してポイント評価するというのはいかがなものだろうか。 授業評価アンケートに限らず、心理学の卒論研究における質問紙調査、某ベーカリーレストランで毎回のように配布されるアンケート用紙などすべてにあてはまることであるが、この種のアンケート調査でまず第一に考えなければならないのは、回答者に過重な負担を与えてはならないということだ。 岡大の全学統一アンケートの質問項目は、昨年度までは7項目、今年度からは質問内容を全面的に改定し、9項目で実施されている(こちら参照)。確かに、質問する側だけの都合を考えるならば、9項目では少なすぎるじゃないか、もっといろいろなことを訊くべきだという主張が成り立つ。しかし、回答する側は、前期、後期それぞれの最終授業の時間に、すべての授業科目について回答を求められているのである。毎時間に30項目やら50項目やらの質問をされたのでは、たまったものではない。 同じことは卒論研究の質問調査でもあてはまる。卒論生はついつい自分の研究の都合ばかりを考えて、回答時間30分、何ページにもわたる質問調査を心理学の授業時間にをさせてくださいなどと申し出てくることがあるが、そんなことにいちいち応じていたのでは授業は成り立たない。では、授業終了時に配布し、後日、回収箱に入れてくださいなどと依頼すればよいかというと、そんな面倒なことに協力してくれる学生はそんなに多くはない。記述式の質問調査なども、殆どが白紙で返ってくるはずだ。 分科会の質疑の中で、15回の授業の終了時ばかりでなく、5回目、10回目というように、授業の途中でもアンケートを実施したらどうかというような意見があったが、これも上述と同様である。大学病院みたいに、患者さんに毎日、検査、検査ばかりを実施すれば、その病気についての研究には役立つ情報が得られるだろう。しかしそのことで病気が治るわけではない。授業改善も同様であり、授業評価アンケートばかりにあけくれていたのでは授業は成り立たない。 ●「必要な質問項目」をすべて含むことが最善ではない。回答者の負担を最小限に抑え、かつ回答者が真剣にそれに答えてくれるような環境づくりをすること。 が何よりも大切であると思う。 では、回答負担を減らすために、どうやって、質問項目を減らしていけばよいのか。 例えば、すでに実施されている質問の中で、90%以上の授業科目で高い評価結果が得られているような質問項目は削除してもよいだろう。ごく少数の授業科目に限って問題点が残っているような場合は、例えば、自由記述アンケートや意見箱への投書を受け付けるというような「問題点発見型」の調査でもチェックできる。 殆どの回答者が「どちらとも言えない」という中立的な回答をするような質問も削除すべきである。「どちらとも言えない」ばかりでは回答結果に情報的価値は無い。そういう回答が多数を占めるのは、質問内容が抽象的すぎるか、曖昧であるか、ケースバイケースでどちらにもとれるというような場合が多い。そういうこともあるので、質問項目を選定するにあたっては、回答者である学生の意見を事前によく聞くことも大切である。こちらにも説明されているように、岡大では、今年度からの質問項目改訂にあたり、かなり長い時間をかけてそのあたりの協議を行っている。 以上2回に分けて、河合塾の比較調査の問題点を指摘させていただいたが、もちろん、御報告の中には有用な情報も多数含まれていた。次回はポジティブな部分について感想を述べさせていただきたいと思う。 |