じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 3月19日の岡山の最低気温は1.2度となり、久しぶりに霜が降りた。暑さ寒さも彼岸までというが、3月20日は春分の日。19日がこの冬最後の降霜となるだろうか。


3月19日(土)

【ちょっと思ったこと】

地下鉄サリン10年と、若者に仕組まれる罠

 3月20日は地下鉄サリン事件が起こった日であり、今年で10年を迎える。あの事件では12人の命が奪われ、5000人以上が負傷したと伝えられているが、意外と知られていないのが、後遺症の実態である。

 恥ずかしながら私自身も、3月17日放送のNHKクローズアップ現代地下鉄サリン事件という放送を視て、初めてその一端を知った次第だ。「5000人以上が負傷」と言われても、普通は、交通事故や自然災害による「負傷」をイメージしてしまい、時が経てば元通りに回復するものだと錯覚してしまう。しかしサリンは猛毒の神経ガスである。番組で紹介された40代の女性の場合も、「全身のほとんどが麻痺し、目も失明、言葉もうまくしゃべれなくなった。今なお家族の介護を受けながら、寝たきりの生活を続けている。」という。それより前の松本サリン事件の被害者、河野澄子さんも、こちらで伝えられている通りだ。

 この事件では、まずは裁判を迅速に行い、教祖を初めとする加害関係者を厳正に刑事罰に処すことが必要であるが、それだけでは、被害者の生活は何も変わることが無い。被害者に対する支援のためにあらゆる手だてを尽くすことで初めて、事件の真の解決をもたらすことができる。しかしその実態は、こちらのニュースが伝える通りであり、
  • 【地下鉄サリン事件は】警察が阻止できた。強制捜査が入ることは公然の秘密だったのに、なぜ教団幹部の行動を確認していなかったのか
  • 国が具体的な支援策を提示しないことは、被害者の社会に対する不信感を募らせ、無力感と絶望感を増大させる
といった批判が相次いでいるという。とにかく、事件を風化させてはならない。




 さて、この事件の再発を根本から防止するためには、事件の加害者たちが、どのようなプロセスで勧誘され、マインドコントロールされ、あのような行為に至ったのかということを詳細に分析しておく必要がある。これに関しては、すでに何冊かの本も出されているが、何はともあれ、若者たちが、カルト宗教の巧妙な勧誘に引っかからないよう、日頃から十分な啓発活動を行うことが大切かと思う。

 毎年のことであるが、この時期になると、カルト宗教の信者たちが、新入生相手に巧妙な勧誘活動を行う。つい最近私が把握したケースの場合も、表向きは「ゼミ紹介」「サークル紹介」「合格祝賀会」「国際交流に興味ないか」などと称して誘いをかけてくるため、新入生にとっては、それが、大学公認の団体(校友会、学生・教職員教育改善委員会、生協の学生委員会)による公式の案内活動であるのか、それになりすました団体であるのか、簡単には見分けがつかないという問題がある。

 実際には、9割以上の学生は、その種の勧誘の危険性をわきまえており、滅多なことでは個人情報を晒したりはしない。問題は、全体の1%、あるいは0.5%といったごく少数の学生が、そういうことには無頓着であり、大学から配布される注意書きを読まず、ガイダンスでの口答注意も耳に入らず、そのまま、吸い込まれていってしまうという点にある。彼らは決して特殊ではない、しかし、彼らがマインドコントロールされていく心理というのは、学生全体の平均的傾向をいくら分析しても捉えることは困難。

 私自身も1つくらいはお役に立とうと思い、公用サイトで入学手続にこられる皆さんへの注意を呼びかけているところであるが、そもそも、そういう注意書きを読んでくれるような学生は滅多なことでは勧誘されないタイプだ。問題は、注意書きを読んでくれないような学生をどうやって守っていくかということにある。

3/20追記]
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