じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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[今日の写真] 東大・安田講堂で行われたサステイナビリティ学・シンポジウム。総合司会は幸田シャーミン氏。



2月4日(土)

【思ったこと】
_60204(土)[心理]サステイナビリティ学が拓く地球と文明の未来(1)

 東大・安田講堂で行われた

●サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S) 公開シンポジウム:「サステイナビリティ学が拓く地球と文明の未来」
(2006年 2月 4日 (土) 13:00 〜 17:00 東京大学・東アジア研究型大学連合(AEARU)・日本経済新聞社 共催)

に参加した。会場は超満員。将来の夢を語るというよりも、とにかく今やるべきことは何か、具体的な課題に取り組むための積極的で具体的な提案が行われた。そのいっぽう、行動科学、行動分析学の視点が不足しているなあという印象も受けた。




 シンポではまず、小池百合子・環境大臣が

●「サステイナビリティ:21世紀・日本の挑戦」

と題する記念講演を行った。

 小池氏はまず、consensusを得る時代からconvinceの時代に入っていること、クールビズが単なるファッションではなく28度の設定温度のもとで実施され成果をあげたことなどを指摘された。その上で、2050年といった長期的な視野に立って、日本が取り組むべき方策について、環境省のビジョンを紹介された。

 この「超長期ビジョン」ということでふと思い出したのが、ちょうど1年前に参加した我が国の高等教育の将来像に関わるFDセミナーであった。2005年2月7日の日記にも記したように、中教審の答申は「中長期的(平成17(2005)年以降,平成27(2015)年〜平成32(2020)年頃まで)に想定される我が国の高等教育の将来像」と記されていることから示唆されるように、じっさいには概ね15年先の将来像までしか想定されていない。その時には
代議制民主主義の社会にあっては、内閣は3〜4年で交代し、それとともに基本政策自体が大きく揺れ動いていく。そういう中では、30年先、あるいは百年の大計というのは、政策策定の指針として殆ど意味をなさない。
というような話を聞いたが、環境政策でそんな中期的な方策をとっていたのでは、気づいた時には取り返しのつかない環境破壊に陥っているかもしれない。そういう意味では、とにかく、いま現在蓄積されている知識をもとに可能な限りの予測を行い、最善の方策を示していくことはぜひとも必要であると思う。

 ところで、他の話題提供の中でも共通して言及されていたが、50年、100年後の各国GDPは、今の1位アメリカ、2位日本、3位ドイツ、... といったランクが大幅に変動し、

1位中国>2位アメリカ>3位インド>...>日本

と予測されているようだ。これは人口規模から言ってもたぶんそうなるであろうと思えるふしもあるが、いくらITや海外アウトソーシングで発展めざましいとはいえ、元来資源が乏しく、また古い慣習や身分制度からなかなか脱却できないインド国がそこまでの上位に上がるとは信じられないところもある。もっとも、この予測はあくまで国全体の経済力であり、1人あたりの水準がそこまで伸びるというわけではあるまい。これは1位になると予測されている中国についても言える。いっぽう、旧ソ連時代には張り子の虎的な面があってもとにかくアメリカと競い合っていたロシアは、50年後においてもそれほど発展しないものと予測されているようだ。なお、話題提供の中でも指摘されたが、地球が温暖化すればロシアは暖かくなるので得をするというのは大間違い、凍土からメタンが発生し、大規模な山火事に襲われて最も大きな被害を受けることになる。




 何はともあれ、グローバルな環境問題を考えるにあたっては、中国やインドの存在は無視できない。そういう中にあって、国際的な影響力が低下しつつある日本がどういう役割を果たせるのか、このあたりの展望は、次の小宮山宏・東大総長の講演の中で語られた。

 次回に続く。